25年5月の国産トウモロコシ価格、国内の需要を反映してやや上昇
中国農業農村部は2025年6月24日、「農産物需給動向分析月報(2025年5月)」を公表した。この中で、25年5月の国産トウモロコシ価格は前月からやや上昇した(図1)。同月のトウモロコシ需給を見ると、コーンスターチ製造企業などの需要は高い水準を維持しており、また、飼料需要も比較的安定しているとされている。一方、輸入は低水準で推移する中、トウモロコシ需給はひっ迫傾向にあり、港湾地域の倉庫や各企業の在庫は減少が続いていると報告されている。このため、短期的な国産トウモロコシ価格は、安定しながらもやや強含みでの推移が見込まれている。
輸入トウモロコシ価格を見ると、養豚主産地の中国南部向け飼料原料集積地となる広東省黄埔港到着は、25年5月が1キログラム当たり2.08元(43円:1元=20.49円(注)、前月比5.6%安)とやや下落した。また、同月の国産トウモロコシ価格(東北部産の同港到着価格)は同2.36元(48円、同4.4%高)とやや上昇したことで、輸入と国産との価格差は広がった。
25年5月の国産大豆価格、需要は停滞も在庫の低下でわずかに上昇
2025年5月の国産大豆価格は、前月からわずかに上昇した(図2)。同月の大豆需給を見ると、気温の上昇により大豆各製品の消費が季節的な閑散期に入ったため、製造企業は原料の調達に慎重を期し、必要に応じた在庫の補充を行ったと報告されている。一方で、主産地の在庫はほぼ枯渇と報告されており、限られた市場在庫を背景に、短期的な国産大豆価格は、安定しながらもやや強含みでの推移が見込まれている。
各地の価格動向を見ると、主産地である黒竜江省の食用向け国産大豆平均取引価格は、25年5月が1キログラム当たり3.98元(82円、前年同月比14.3%安)と前年同月をかなり大きく下回ったものの、前月に続き上昇した。また、大豆の国内指標価格の一つとなる山東省の国産大豆価格は、同4.56元(93円、同10.1%安)と前年同月をかなりの程度下回ったものの、前月に続き上昇した。同月の輸入大豆価格が同3.64元(75円、前月同)となったことで、輸入と国産の価格差は拡大した。
国際相場に影響する大豆の輸入量は、前年に比べて低い水準にある。25年(1〜4月)の輸入量は2319万トン(前年同期比14.6%減)とかなり大きく減少した。また、輸入額は同28.2%減の26億9900万米ドル(3935億円:1米ドル=145.81円(注))と報告されている。主な輸入先は米国(総輸入量の55.8%)、ブラジル(同39.4%)、カナダ(同3.1%)となり、米国と中国の双方による追加関税応酬前の駆け込み輸入から、米国の割合は高くなっている。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年6月末TTS相場。
(調査情報部 横田 徹)