令和5年10月25〜26日にホテルメトロポリタンエドモント(東京都千代田区)にて開催した第14回コンテストでは、審査員長の山本博紀氏(北海道乳業株式会社取締役、製造部部長)をはじめとした14人の審査員で、計12部門の審査を行いました(表3、4)。
非公開の一次審査、二次審査を経て、一般公開で最終審査を行い、上位3賞(農林水産大臣賞、農畜産業振興機構理事長賞、中央酪農会議会長賞)、審査員特別賞、金賞(6アイテム)、優秀賞(20アイテム)を選出しました(写真1)。
さらに、生産者の新たな取り組みに話題性を持たせ、今後の取り組みの推進につなげていくことを狙いとしてトライアル部門を一新し、他の部門から独立して、製品コンセプトなどの内容も含めて審査を行い、ベスト・トライアル賞を選出することとしました。
審査の結果、栄えある農林水産大臣賞は美瑛放牧酪農場(北海道上川郡美瑛町)の「フロマージュ・ド・美瑛」(写真2)、農畜産業振興機構理事長賞は三良坂フロマージュ(広島県三次市)の「アカショウビン」(写真3)、中央酪農会議会長賞は丹波チーズ工房(兵庫県丹波市)の「丹波ブルー」(写真4)、審査員特別賞はCHEESEDOM(北海道久遠郡せたな町)の「瀬棚-SETANA」(写真5)、ベスト・トライアル賞はCHEESE STAND(東京都渋谷区)の「いちじくブッラータ」(写真6)がそれぞれ選出されました。
農林水産大臣賞を受賞した美瑛放牧酪農場の「フロマージュ・ド・美瑛」は、夏の青草を食べた牛のミルクで作られた長期熟成の大型チーズです。審査員の一人であるイタリア料理店「Piatto Suzuki」のオーナーシェフ・鈴木 弥平氏は、「ヨーロッパのチーズと間違えるほどの形と色に惹きつけられた。うまく熟成すると現れるアミノ酸の結晶が口の中でジャリっと感じられ、うまみが広がる。日本から世界に発信できるチーズだ」と評しました。
表彰式の最後に、山本審査員長は、「チーズのレベルが非常に高く感心している。私がチーズを始めた35年前は65工房程度しかなかったと記憶しているが、今は全国で350工房を超えた。チーズ工房の横のつながりも強まった。コンテストや展示会などで情報交換しながら切磋琢磨し、レベルを上げ、世界に通じるレベルに到達している。今回出品されたチーズは甲乙つけがたい良いチーズばかりだった。トライアル部門でもわれわれの想像を超えるものがたくさんあり、非常に勉強になった。工房の方々には向上心を忘れず、これからも良いチーズを作ってほしい」と総括しました。
審査・表彰式終了後は、全国のチーズ工房が一堂に会する展示試食会を4年ぶりに開催しました(写真7)。一般消費者や小売・流通関係者など約600人が来場し、国産ナチュラルチーズの試食や全国各地の生産者との交流を楽しんでいらっしゃいました。