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海外需給【牛肉/ブラジル】畜産の情報 2025年10月号

25年1〜7月の牛肉輸出は好調を維持

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25年の牛肉生産量は前年比4.3%減の見込み
 ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)によると、2025年は牛群の拡大期の始まりに伴い、雌牛を保留する傾向となることで、と畜頭数は減少すると見ている。その結果、同年の牛肉生産量は1052万5000トン(前年比4.3%減)と前年をやや下回り、牛飼養頭数は2億3196万頭(同0.3%減)と前年並みと見込まれている(図1)。同国の牛肉生産量は、直近3年間は増加してきたが、見込み通りとなれば4年ぶりの減少となる。
 



 
25年1〜7月の牛肉輸出量は前年同期比13.6%増
 ブラジル開発商工サービス省貿易局(SECEX)によると、2025年7月の牛肉輸出量は27万6879トン(前年同月比16.7%増)と単月では過去最大の輸出量を記録した(図2)。また、同年1〜7月までの累計牛肉輸出量は、156万3591トン(前年同期比13.6%増)と過去最大を記録した前年をかなり大きく上回った(表)。
 7月までの輸出量を輸出先別に見ると、輸出量全体の約5割を占める中国向けは79万70トン(同15.2%増)とかなり大きく増加した。また、米国向けは16万9176トン(同2.1倍)、メキシコ向けは6万7188トン(同2.9倍)と、それぞれ高い増加率となった。
 ただし、米国向けの月別輸出量について、2〜5月は各月とも前年同月比2.0〜9.7倍と大幅な増加を記録したものの、6〜7月は一転して同12.5〜23.3%減となった。この背景には、米国のトランプ政権による関税政策が関係しているとみられている。この政策が実施される以前は、ブラジルから米国へ輸出される牛肉に対する関税は26.4%(6万5000トンの低関税輸入枠消化後)が課されていたが、25年4月5日に相互関税として10%が追加され、さらに、同年8月6日には追加関税として40%が加算され、合計76.4%の高い関税率となったことで、今後の米国向け牛肉の輸出量に影響が生じるとみられる。
 




 
 
25年肥育牛価格は緩やかな下降傾向
 サンパウロ大学農学部応用経済研究所(CEPEA)によると、2025年8月25日時点の肥育牛価格は1キログラム当たり20.70レアル(564円:1レアル=27.26円(注)、前年同日比30.6%高)となった(図3)。
 25年の肥育牛価格は、前年と比較すれば高水準であるものの、年初以降緩やかな下降傾向で推移している。これは、ブラジルで発生した高病原性鳥インフルエンザの影響で鶏肉価格が下落したことにより国内需要が強まったことや、前述した米国による追加関税が発表されたことなどが要因とされている。
 
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年8月末のTTS相場および現地参考為替相場(Selling)。
 





 
(調査情報部 原田 祥太)