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海外需給【豚肉/EU】畜産の情報 2025年10月号

豚肉生産量は増加を継続するも、輸出量はわずかに減少

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25年5月の豚肉生産量、前年同月比1.7%増
 欧州委員会によると、2025年5月の豚肉生産量(EU27カ国)は、177万2300トン(前年同月比1.7%増)とわずかに増加した(図1)。これは、豚と畜頭数が1826万8680頭(同0.0%減)と前年同月並みであったが、1頭当たりの枝肉重量が97.01キログラム(同1.7%増)とわずかに増加したことが影響した。一方で、24年12月時点の繁殖用雌豚飼養頭数は1021万頭(同2.9%減)とわずかに減少しており、25年下期における豚肉生産量の減少につながる可能性がある。欧州委員会は25年7月29日に公表した農畜産物の短期的見通し(注1)の中で、25年の豚肉生産量を前年比0.4%減の2115万414トンと予測している。
 
(注1)海外情報「欧州委員会、食肉の短期的需給見通しを公表(EU)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_004185.html)をご参照ください。
 

 
 主要生産国別の状況を見ると、スペインは堅調な輸出需要などを背景に1〜5月の豚肉生産量は前年同期比6.5%増となった(表1)。また、デンマークは、同国最大手食肉企業のデニッシュクラウンが5月の出荷豚の取引価格を大幅に引き上げたことなどを背景に、同2.0%増となった。
 



 
25年7月の豚枝肉卸売価格、5カ月ぶりに低下に転じる
 欧州委員会によると、2025年7月の豚枝肉卸売価格(EU27カ国)は、前年同月比4.6%安の1キログラム当たり2.05ユーロ(355円:1ユーロ=172.97円(注2))となった(図2)。同価格は5カ月ぶりに前月を下回った。
 現地報道によると、豚肉生産量の増加やブラジルの輸出量の拡大によるEUの輸出量の減少で域内の供給量が増加した中で、熱波による需要の減退および流通業者が夏季休暇需要向けの豚肉を7月以前に確保していたことによるものとみられている。ただし、20〜24年の平均価格との比較では、依然として高値で推移している。
 
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年8月末TTS相場。
 



 
25年上半期の豚肉輸出量、前年同期比0.6%減
 欧州委員会によると、2025年6月のEU域外への豚肉輸出量(EU27カ国)は、15万3644トン(前年同月比3.3%減)とやや減少した(表2)。この結果、同年上半期の同輸出量は前年同期比0.6%減とわずかに減少した。主要輸出先別の状況を見ると、EU産豚肉の相場高や為替相場の影響から日本向け輸出量は同19.8%減と大幅に減少し、また、家畜疾病による輸出規制や英国産豚肉との価格差の縮小により、同上半期の英国向け豚肉輸出量は同5.2%減とやや減少した。
 

(調査情報部 渡辺 淳一)