畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 畜産の情報 > 生産能力調整措置などから子豚価格は下落傾向、前年同月比18.6%安

海外需給【豚肉/中国】畜産の情報 2025年10月号

生産能力調整措置などから子豚価格は下落傾向、前年同月比18.6%安

印刷ページ
25年6月末の繁殖雌豚頭数、前期比で横ばい
 中国農業農村部によると、2025年6月末時点の繁殖雌豚頭数は、4043万頭(前年同月比0.1%増、前期比0.1%増)と前期並みとなった(図1)。同頭数は、同部が最適な飼養水準(以下「最適水準」という)とする3900万頭を3.7%上回っている。
 



 
25年6月の豚と畜頭数、前年同月比23.7%増
 2025年6月の豚と畜頭数は、3006万頭(前年同月比23.7%増)と大幅に増加した(図2)。現地関係者は、25年上半期も継続して繁殖雌豚頭数が最適水準を上回ったことから肥育豚飼養頭数が増え、と畜頭数の増加につながったとしている。
 


 
25年7月の豚肉小売価格、前月比0.3%高
 2025年7月の豚肉小売価格は、同年初めからの下落傾向が落ち着き、前月比0.3%高の1キログラム当たり25.4元(532円:1元=20.93円(注1)、前年同月比12.8%安)となった(図3)。この要因について、中国農業農村部が同年8月に公表した「農産物需給動向分析月報」(以下「月報」という)によると、夏季の高温により豚肉消費の伸び悩みは継続しているものの、前月に比べて豚のと畜頭数が減少したことが影響したとされている。
 豚肉生産にも影響する同年7月の子豚価格は、前月比4.1%安の同35.7元(747円、前年同月比18.6%安)と、前月に続き下落している。月報によると、一部の農場では、生産能力調整(注2)のため、繁殖用雌豚の飼養頭数を削減するとともに、子豚の売却を積極的に進めたためとされている。また、高温多湿な地域では、肥育中の暑熱ストレスによる事故リスクの増加を懸念した肥育農家の導入意欲が低調であることも要因に挙げられている。
 
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年8月末TTS相場。
(注2)2025年7月17日に国務院新聞弁室は上半期の農業・農村経済の運営状況を報告する記者会見を実施し、養豚業について生産能力を調整する措置を発表した。詳しくは、海外情報「中国農業農村部、養豚と肉牛、酪農の動向について見解を公表(中国)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_004184.html)をご参照ください。
 



 
25年1〜7月の豚肉輸入量、前年同期比4.5%増
 2025年1〜7月の豚肉輸入量は61万8152トン(前年同期比4.5%増)と、ブラジルを除くすべての主要輸入先で前年同期を上回った(表)。最も輸入量が多いスペインは、1〜4月の累計輸入量が9.3万トン(同1.2%増)と前年同期をわずかに上回る程度であったものの、5月以降は、前年同期を大幅に上回るペースで増加し、7月には累計18.2万トン(同13.2%増)となった。要因として、同年4月に中国はスペインと「包括的戦略的パートナーシップ強化行動計画」を締結し、農産物の貿易拡大の推進に合意したことによる影響が考えられる。
 



 
(調査情報部 山ア 葵)