25年の鶏肉生産量は前年比1.4%増の見込み
ブラジル地理統計院(IBGE)によると、2025年1〜3月の鶏肉生産量は347万2000トン(前年同期比2.5%増)と、第1四半期時点では過去最大を記録した前年をわずかに上回った。
また、ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)によると、25年のブラジルの鶏肉生産量は1548万2000トン(前年比1.4%増)と前年をわずかに上回ると見込まれている(図1)。これは、国内外の堅調な需要が主な要因と考えられている。
25年1〜7月鶏肉輸出量は前年同期比2.4%減
ブラジル開発商工サービス省貿易局(SECEX)によると、2025年1〜7月の鶏肉輸出量は、275万2629トン(前年同期比2.4%減)と前年同期をわずかに下回った(表)。
ブラジルでは、25年5月15日に家きん飼養施設で高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の感染が確認されて以降、複数の州で感染が確認されている。HPAIの発生前後の輸出量に着目すると、25年1〜4月までの輸出量は同9.3%増であったが、5〜7月の輸出量は同17.1%減となっている。
輸出先別に見ると、25年はアラブ首長国連邦と日本向けが輸出量の上位となっている。これは、HPAIの発生により、いくつかの国はブラジル全土、または発生した州からの輸入を停止したのに対し、両国は輸入を停止する範囲を発生した市に限定する対応をとったためとみられる。現在は、さまざまな国が順次輸入制限を撤廃していることで、今後の輸出量に変化が出てくるとみられる。
25年の鶏肉卸売価格は下落に転じる
サンパウロ大学農学部応用経済研究所(CEPEA)によると、直近(2025年8月22日時点)のブラジルの鶏肉卸売価格(サンパウロ州)は、1キログラム当たり7.25レアル(198円:1レアル=27.26円(注)、前年同日比0.7%高)となった(図2)。25年に入り同価格は上昇傾向で推移していたが、HPAIの発生により生産量の3割を占める輸出に悪影響が出たことで下落に転じた。5月下旬から始まった下落は6月末まで続いたが、それ以降は輸出の再開などから前年並みの水準を維持している。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年8月末のTTS相場および現地参考為替相場(Selling)。
(調査情報部 原田 祥太)