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海外需給【牛肉/米国】畜産の情報 2025年11月号

25年8月の牛肉生産量はかなり大きく減少、卸売価格は大幅に上昇

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25年8月の牛肉生産量は前年同月比11.9%減
 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2025年8月のフィードロット導入頭数は178万頭(前年同月比9.9%減)とかなりの程度減少し、さらに出荷頭数は157万1000頭(同13.6%減)とかなり大きく減少した。導入頭数と出荷頭数の減少については、1)牛飼養頭数の減少、2)メキシコからの肥育もと牛の輸入停止(注1)、3)肥育期間の長期化−などが継続している影響とみられる。この結果、同年9月1日時点のフィードロット飼養頭数は1108万頭(同1.1%減)とわずかに減少した。
 このような中、8月の牛と畜頭数は233万3000頭(同13.7%減)とかなり大きく減少した(図1)。その結果、同月の1頭当たり枝肉重量は394.2キログラム(同2.1%増)とわずかに増加したが、同月の牛肉生産量は91万5000トン(同11.9%減)とかなり大きく減少した(図2)。
 25年の牛肉生産量についてUSDAは、1171万4000トン(前年比4.3%減)とやや減少すると見込んでいる。
 
(注1) 詳細は海外情報「米国はメキシコからの生体牛の輸入を再度停止(米国)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_004112.html)をご参照ください。
 





 
 
25年8月の牛肉卸売価格、前年同月比23.9%高
 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2025年8月の肥育牛価格は、堅調な需要と供給頭数の減少から、100ポンド当たり239.00米ドル(1キログラム当たり790円:1米ドル=149.88円(注2)、前年同月比22.3%高)と前年同月を大幅に上回り、当調査開始以来の最高額を記録した。
 また、同月の牛肉卸売価格(カットアウトバリュー(注3))は、同389.50米ドル(同1287円、23.9%高)と前年同月を大幅に上回って推移している(図3)。
 
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年9月末TTS相場。
(注3)各部分肉の卸売価格を1頭分の枝肉に再構成した卸売指標価格。
 



 
25年7月の牛肉輸出量は前年同月比18.6%減
 USDA/ERSによると、2025年7月の牛肉輸出量は9万5522トン(前年同月比18.6%減)と大幅に減少した(表)。中でも中国向けは、中国海関総署(GACC)による更新期限を迎えた米国内の中国向け牛肉輸出施設登録の更新が行われず(注4)、米国から中国への牛肉輸出の大部分が停止している状況にあるため、1158トン(同93.5%減)と大幅に減少した。
 25年の輸出量についてUSDAは、牛肉生産量の減少や直近の輸出動向を踏まえ、119万8000トン(前年比12.1%減)とかなり大きく減少すると見込んでいる。
 
(注4)5年ごとの認可登録の更新時期を迎えていた2025年3月、GACCにより豚肉・鶏肉の輸出施設の認可登録が更新された一方で、牛肉の輸出施設の一部については未更新の状況が続いている。
 



 
(調査情報部 国際調査グループ)