25年8月の国産トウモロコシ価格、国内需給を反映してわずかに下落
中国農業農村部は2025年9月25日、「農産物需給動向分析月報(2025年8月)」を公表した。この中で、25年8月の国産トウモロコシ価格は前月からわずかに下落した(図1)。同月のトウモロコシ需給を見ると、供給面では新穀の供給開始前に当たるため、市場への供給は穀物業者の手持ち在庫が主体となり、全体的に供給は不足傾向とされている。一方、需要面では特にコーンスターチ製造企業などの需要低下により、需給はやや軟調とされる。8月下旬における全国の主要コーンスターチ製造企業の製品在庫量は、前年同期比25.6%増の134万トンと高い水準にあることが報告されている。
このため、新穀の供給開始まで国産トウモロコシ価格は安定的な推移が見込まれている。
輸入トウモロコシ価格を見ると、養豚主産地の中国南部向け飼料原料集積地となる広東省黄埔港到着は、25年8月が1キログラム当たり2.12元(45円:1元=21.18円(注)、前月比1.0%高)とわずかに上昇した。また、同月の国産トウモロコシ価格(東北部産の同港到着価格)が同2.38元(50円、同1.7%安)とわずかに下落したことで、輸入と国産の価格差は縮小した。
25年8月の国産大豆価格、備蓄大豆の競売継続により軟調な動き
2025年8月の国産大豆価格は、前月同となった(図2)。同月の大豆需給を見ると、供給面では産地の在庫が枯渇する中で、中央政府や地方政府による備蓄大豆の競売が継続して行われており、落札済みの大豆が順次市場に流入していることで、供給量は安定しているとされる。需要面では、気温の低下に伴い大豆製品の消費が徐々に回復してきたことや、新学期開始による学食の再開なども末端需要の増大に寄与するとされている。しかし、備蓄大豆競売価格の下限がわずかに引き下げられた影響で、国産大豆価格は軟調な動きとなっており、新穀の供給開始までは安定的な推移が見込まれている。
各地の価格動向を見ると、主産地である黒竜江省の食用向け国産大豆平均取引価格は、25年8月が1キログラム当たり4.08元(86円、前年同月比12.9%安)と前年同月をかなり大きく下回ったものの、2カ月連続で前月水準を維持した。また、大豆の国内指標価格の一つとなる山東省の国産大豆価格は、同4.68元(99円、同8.9%安)と前年同月をかなりの程度下回ったものの、前月水準を維持した。さらに、同月の輸入大豆価格は同3.98元(84円、前月比5.9%高)となり、輸入と国産の価格差は縮小した。
国際相場に影響する大豆の輸入量は、前年水準を上回ってきた。25年(1〜7月)の輸入量は6104万トン(前年同期比4.6%増)とやや増加した。また、輸入額は同9.6%減の271億4400万米ドル(4兆683億円:1米ドル=149.88円(注))と報告されている。主な輸入先はブラジル(総輸入量の69.2%)、米国(同27.2%)、カナダ(同1.5%)、アルゼンチン(同1.1%)であり、ブラジルなどからの輸入が増加している。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年9月末TTS相場。
(調査情報部 横田 徹)