25年7月の牛肉生産量、前年同月比3.1%減
欧州委員会によると、2025年7月の牛肉生産量(EU27カ国)は52万6880トン(前年同月比3.1%減)とやや減少した(図1)。これは、飼料価格の下落と牛肉価格の高騰による肥育期間の長期化の傾向から、1頭当たり枝肉重量が300.1キログラム(同1.5%増)とわずかに増加したものの、飼養頭数の減少や高乳価を背景とした一時的な搾乳牛の更新時期の延長により、と畜頭数が175万5740頭(同4.5%減)とやや減少したことが影響した。また、同年1〜7月の累計牛肉生産量は367万5870トン(前年同期比3.0%減)と前年同期をやや下回った。
25年9月の枝肉卸売価格、前年同月比34.2%高
2025年9月の牛枝肉平均卸売価格(注1)は、1キログラム当たり6.94ユーロ(1248円、1ユーロ:179.81円(注2)、前年同月比34.2%高)と記録的な高値が続いている(図2)。これは、EU域内での牛肉需要の堅調な推移に加え、肥育牛の供給が限られていること、および輸入牛肉の国際相場の高騰によるものとみられる。
現地報道によると、クリスマスなど年末需要に向けた在庫積み増しの動きもあり、去勢牛および若齢牛への引き合いは強いとされている。
(注1)若雄牛(A)、去勢牛(C)および若齢牛(Z)のうち枝肉の格付けが上(R)、枝肉の脂肪の付着度合が平均的(5段階中3)なものの平均価格(A/C/Z-R3)。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年10月末TTS相場。
25年1〜8月の牛肉輸出量は減少、輸入量は増加
2025年1〜8月の牛肉輸出量は、28万7095トン(前年同期比11.4%減)とかなり大きく減少した(表1)。域内の牛肉価格が高値で推移していることから、冷蔵牛肉の輸出量は同9.0%減、冷凍牛肉の輸出量は同16.8%減となった。
一方、同期間の牛肉輸入量は、19万5643トン(同13.0%増)とかなり大きく増加した(表2)。これは、域内需給のひっ迫に加え、24年にアルゼンチンが牛肉輸出規制を緩和したこと、さらに高級牛肉無税枠(481枠)(注3)を超えてもなおウルグアイ産牛肉への引き合いが強かったことなどが背景にある。冷蔵牛肉は同3.9%増、冷凍牛肉は同31.2%増と、それぞれ輸入量が増加している。
(注3)高級牛肉無税枠(EU規則481/2012。Quota481)は、一定期間の穀物給与などが義務付けられている。
(調査情報部 渡辺 淳一)