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海外需給【豚肉/カナダ】畜産の情報 2025年12月号

25年の豚肉生産量、と畜頭数の増加から前年比で2.4%増の見込み

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25年7月の豚総飼養頭数、前年同月比1.3%減
 カナダ統計局(Statistics Canada)によると、2025年7月1日時点の豚総飼養頭数は1382万頭(前年同月比1.3%減)とわずかに減少した(表1)。内訳を見ると、繁殖豚が122万頭(同0.4%減)、肥育豚は1256万頭(同1.3%減)となった。と畜頭数の増加に加え、生産者が積極的な増頭を行わなかったことにより、引き続き繁殖豚が減少しているため、総飼養頭数が減少した。
 



 
25年9月の豚と畜頭数、前年同月比1.8%増
 カナダ農務・農産食品省(AAFC)によると、2025年9月の豚と畜頭数は211万3000頭(前年同月比1.8%増)、同年1〜9月の累計では、カナダ西部のマニトバ州における豚肉大手加工施設の稼働率上昇や、廃用母豚のと畜能力向上などから、1633万1000頭(前年同期比2.8%増)といずれもわずかに増加した(図1)。
 25年のカナダの豚肉生産量について米国農務省海外農務局(USDA/FAS)は、と畜頭数の増加(2980万頭、同0.7%増)などから214万トン(同2.4%増)とわずかな増加を見込んでいる。
 



 
25年9月の肥育豚価格、前年同月比21.3%高
 AAFCによると、2025年9月の肥育豚価格は、米国の肥育豚価格(注1)が上昇している中で、100キログラム当たり301カナダドル(1キログラム当たり336円:1カナダドル=111.79円(注2)、前年同月比21.3%高)と大幅に、同年1〜9月の平均価格は同278カナダドル(1キログラム当たり311円、前年同期比11.2%高)とかなり大きく、いずれも上昇した(図2)。
 
(注1)カナダの肥育豚価格は一般的に、米国の肥育豚価格に基づいて算定されるため、同価格の変動による影響を受ける。詳細は『畜産の情報』2019年11月号「カナダ豚肉産業にみる多様性と肥育豚価格の算定方式をめぐる議論(https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_000834.html)」をご参照ください。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年10月末TTS相場。



 
 
25年1〜7月の豚肉輸出量は前年同期比4.5%減
 カナダ統計局(Statistic Canada)によると、2025年7月の豚肉輸出量は7万9625トン(製品重量ベース、前年同月比11.3%減)とかなり大きく減少し、同年1〜7月の累計では62万6388トン(前年同期比4.5%減)とやや減少した(表2)。
 7月の輸出量を輸出先別に見ると、日本向けは2万1094トン(同7.9%増)とかなりの程度増加した一方、米国向けは2万2281トン(同3.9%減)、メキシコ向けは1万3655トン(同4.0%減)と、ともにやや減少した。また、中国は同年3月20日以降、カナダ産豚肉に対して25%の追加関税を課しており(注3)、同国向けの輸出量は3445トン(前年同月比61.6%減)と大幅に減少した。
 
(注3)カナダ政府が2024年10月以降、中国製の電気自動車や鉄鋼、アルミニウム製品の輸入に追加関税を課したことを受けて採られた措置の一部となっている。
 



 
(調査情報部 大西 未来)