生産量
令和7年10月の牛肉生産量(注1)は、3万767トン(前年同月比1.5%減)と前年同月をわずかに下回った(図1)。品種別では、和牛は1万6278トン(同2.4%増)、交雑種は8210トン(同2.1%増)と、ともに前年同月をわずかに上回った一方、乳用種は6231トン(同13.6%減)と前年同月をかなり大きく下回った。
なお、過去5カ年の10月の平均生産量との比較では、3.5%増とやや上回る結果となった。
(注1)生産量の合計は、その他の牛、子牛を含む。
輸入量
10月の輸入量について、冷蔵品では、米国産が現地価格の高止まりなどにより減少した一方、豪州産が増加したことなどから、1万6547トン(前年同月比5.5%増)と前年同月をやや上回った(図2)。冷凍品では、米国産ショートプレート(バラ)や豪州産のうち主に加工用のひき材などに使用されるトリミングの輸入量が増加したことなどから、3万2587トン(同15.5%増)と前年同月をかなり大きく上回った(図3)。この結果、輸入量の合計(注2)では、4万9168トン(同11.9%増)と前年同月をかなり大きく上回った。
なお、過去5カ年の10月の平均輸入量との比較では、冷蔵品は6.9%減とかなりの程度下回った一方、冷凍品は8.6%増とかなりの程度上回る結果となった。
(注2)輸入量の合計は、煮沸肉、ほほ肉、頭肉を含む。
家計消費量等
10月の牛肉の家計消費量(全国1人当たり)(注3)は145グラム(前年同月比1.1%減)と前年同月をわずかに下回った(総務省「家計調査」)。
なお、過去5カ年の10月の平均消費量との比較でも、14.4%減とかなり大きく下回る結果となった。
10月の外食産業全体の売上高は、客単価の上昇が続く中、根強い節約志向から、半額などのお得なキャンペーンに集客効果が見られ、ファストフード業態やファミリーレストランの低価格業態が堅調だったほか、一時期鈍化していたインバウンド需要の回復などが下支えし、前年同月比7.3%増と前年同月をかなりの程度上回った(一般社団法人日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査」)。
このうち、食肉の取り扱いが多いとされる業態として、ハンバーガー店を含むファストフードの洋風は、引き続き定番の季節限定メニューやお得なキャンペーンによる集客が好調で、同10.4%増とかなりの程度上回った。また、牛丼店を含むファストフードの和風は、値引きキャンペーンを実施していた前年に比べて客数が減少したが、客単価が上昇し、同8.1%増と前年同月をかなりの程度上回った。一方、ファミリーレストランの焼き肉は、客数が減少し、同0.3%減と前年同月並みとなった。
(注3)1世帯当たりの数値を当該月の世帯人数で除して算出。
推定期末在庫・推定出回り量
10月の推定期末在庫は、14万8721トン(前年同月比4.9%減)と前年同月をやや下回った(図4)。このうち、国産品は9824トン(同12.5%減)とかなり大きく、在庫の大半を占める輸入品は13万8897トン(同4.3%減)とやや、いずれも前年同月を下回った。
推定出回り量は、7万9606トン(同7.7%増)と前年同月をかなりの程度上回った(図5)。このうち、国産品は3万347トン(同0.4%減)と前年同月をわずかに下回った一方、輸入品は4万9258トン(同13.5%増)と前年同月をかなり大きく上回った。
(畜産振興部 丸吉 裕子)