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国内需給【牛乳・乳製品】畜産の情報 2026年1月号

7年10月の全国の生乳生産量、前年同月を8カ月ぶりに下回る

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北海道の生乳生産量、10月は前年同月比0.2%減
 令和7年10月の生乳生産量は、60万4114トン(前年同月比0.3%減)と8カ月ぶり、前年2月のうるう年による影響を踏まえると実質15カ月ぶりに前年同月を下回った(図1)。地域別では、北海道が35万3438トン(同0.2%減)となり、15カ月ぶりに前年同月を下回った。また、都府県でも25万676トン(同0.5%減)と、2カ月連続で前年同月を下回った。



 
 10月の生乳処理量を用途別に見ると、牛乳等向けは33万1537トン(同2.4%減)と、3カ月連続で前年同月を下回った。このうち、業務用向けについては2万4508トン(同10.9%減)と5カ月連続で前年同月を下回った。
  一方、乳製品向けは26万8994トン(同2.4%増)と8カ月連続で前年同月を上回った。これを品目別に見ると、クリーム向けは5万9482トン(同0.7%増)と2カ月ぶりに上回った。チーズ向けについても、3万4500トン(同1.3%増)と2カ月連続で上回った。また、脱脂粉乳・バター等向けでも、12万9089トン(同4.7%増)となり、15カ月連続で前年同月を上回った(農畜産業振興機構調べ「交付対象事業者別の販売生乳数量等」)。
 
全国の10月の牛乳生産量、前年同月比2.8%減
 10月の牛乳等生産量を見ると、飲用牛乳等のうち牛乳は、26万6700キロリットル(前年同月比2.8%減)と前年同月を下回った。成分調整牛乳は前年割れが継続しており、1万7002キロリットル(同7.1%減)となった。また、加工乳については、1万1772キロリットル(同9.2%減)と3カ月連続で前年同月を下回った。
 はっ酵乳は、8万8153キロリットル(同0.7%減)と2カ月ぶりに下回った。
 
10月のバター在庫量、前年同月比24.0%増
 10月のバターの生産量は5254トン(前年同月比4.8%増)と、8カ月連続で前年同月を上回った(図2)。一方、出回り量は6836トン(同2.6%減)と5カ月連続で下回った(農畜産業振興機構調べ)。在庫量については、14カ月連続で前年同月を上回り、10月末は3万851トン(同24.0%増)となった(図3)。
 




 
 
10月の脱脂粉乳在庫量、前年同月比35.2%増
 10月の脱脂粉乳の生産量は、1万1368トン(前年同月比7.0%増)と前年同月をかなりの程度上回った(図4)。一方、出回り量は1万1823トン(同3.2%減)と9カ月連続で下回った(農畜産業振興機構調べ)。10月末の在庫量は、6万4221トン(同35.2%増)と11カ月連続で上回った。(図5)。
 




 
 
11月の牛乳類全体販売個数、前年同期を下回る
 令和7年8月の飲用乳価の改定に伴い、牛乳等の製品価格の値上げが行われた。一般社団法人Jミルクが令和7年12月5日に公表したJミルク需給短信(月報)によると、8月から直近11月までの各月の牛乳類販売個数の前年比は、4品目(牛乳、成分調整牛乳、加工乳、乳飲料)全てで下回って推移した。一方、11月は、乳飲料以外の3品目で前月と比べると、減少幅が縮小した。牛乳の各月の販売動向を見ると、8月は前年同月比0.8%減、9月は同2.0%減、10月は同2.4%減、11月は同0.9%減となった。値上げ当初の減少幅がそれほど大きくなかったことについては、各社の販売促進の取り組みなどに加えて、店頭価格の値上げまでに一定の時間を要したからと考えられる。直近11月の前年同期比の減少幅は、3カ月ぶりに縮小したものの、今後は気温の低下とともに消費が減退することから、引き続き、牛乳類の需要の動向を注視する必要がある。
 
(酪農乳業部 天野 明日香)