令和7年度上半期(4〜9月)の食肉の畜種別の需給動向は以下の通り。
1 牛 肉
生産量、和牛・交雑種は増加するも乳用種は減少
上半期の牛肉生産量は、17万1334トン(前年同期比1.0%減)と前年同期をわずかに下回った(図1)。品種別に見ると、和牛は9万605トン(同3.9%増)とやや、交雑種は4万6094トン(同1.5%増)とわずかに、いずれも前年同期を上回った。乳用種は3万4341トン(同12.7%減)と前年同期をかなり大きく下回り、和牛については和牛受精卵移植技術の活用により生産量が増加した一方、乳用種については引き続き減少傾向で推移し、全体では減少に転じた。
輸入量、冷蔵品・冷凍品ともに減少
上半期の牛肉輸入量は、冷蔵品、冷凍品ともに減少したことから、27万2194トン(注1)(前年同期比7.9%減)と前年同期をかなりの程度下回った(図2)。
(注1)輸入量は、煮沸肉、ほほ肉、頭肉を含む。
冷蔵品については、国内需要が低調な中、現地価格の高止まりの影響などにより、ほとんどの輸入先からの輸入量が減少したことなどから、9万271トン(同13.1%減)と前年同期をかなり大きく下回った。国別に見ると、全体の53%を占めた豪州産は4万8205トン(同2.8%減)とわずかに、同38%を占めた米国産は3万4078トン(同24.8%減)と大幅に、いずれも前年同期を下回った。
冷凍品については、米国産ショートプレート(バラ)が現地価格の軟化から輸入量が増加した一方、全体的には現地価格の上昇を受けて、ほとんどの輸入先からの輸入量が減少したことなどから、18万1820トン(同5.1%減)と前年同期をやや下回った。国別に見ると、全体の46%を占めた豪州産は8万3482トン(同9.0%減)と前年同期をかなりの程度下回った一方、同36%を占めた米国産は6万5698トン(同21.8%増)と前年同期を大幅に上回った。
推定出回り量、国産品・輸入品ともに減少
上半期の牛肉推定出回り量は、物価の上昇による消費者の生活防衛意識の高まりや円安などの影響から、42万817トン(前年同期比2.7%減)と前年同期をわずかに下回った(図3)。このうち、国産品は16万5921トン(同2.6%減)、輸入品は25万4897トン(同2.9%減)と、ともに前年同期をわずかに下回った。
また、上半期(9月)の牛肉推定期末在庫は、14万9418トン(同4.1%減)と前年同期をやや下回った。このうち、輸入品は13万8987トン(同3.8%減)とやや、国産品は1万431トン(同7.7%減)とかなりの程度、いずれも前年同期を下回った。
2 豚 肉
生産量、わずかに減少
上半期の豚肉生産量は、猛暑の影響などによりと畜頭数が減少したことなどから、42万3770トン(前年同期比0.9%減)と前年同期をわずかに下回った(図4)。
輸入量、冷蔵品は増加するも冷凍品は減少
上半期の豚肉輸入量は、冷蔵品は増加した一方、冷凍品は減少したことから、50万1023トン(注2)(前年同期比4.3%減)と前年同期をやや下回った(図5)。
(注2)輸入量は、くず肉を含む。
冷蔵品は、主要輸入先の一つであるカナダ産の輸入量が増加したことなどから、20万912トン(同8.8%増)と前年同期をかなりの程度上回った。輸入先別に見ると、全体の56%を占めるカナダ産は11万2895トン(同21.2%増)と前年同期を大幅に上回った一方、同34%を占める米国産は6万7772トン(同3.4%減)と前年同期をやや下回った。
冷凍品は、国内の輸入品在庫が多いことに加え、為替相場や輸入先での現地相場高騰の影響などから、30万63トン(同11.4%減)と前年同期をかなり大きく下回った。輸入先別に見ると、全体の32%を占めるスペイン産は9万4930トン(同3.2%減)とやや、同13%を占める米国産は3万9329トン(同19.9%減)と大幅に、いずれも前年同期を下回った一方、同18%を占めるブラジル産は5万3841トン(同38.4%増)と前年同期を大幅に上回った。
推定出回り量、国産品・輸入品ともに減少
上半期の豚肉推定出回り量は、物価高騰が続く中、消費者の低価格志向を受け、90万5855トン(前年同期比1.2%減)と前年同期をわずかに下回った(図6)。このうち、国産品は42万5891トン(同0.6%減)、輸入品は47万9963トン(同1.7%減)と、ともに前年同期をわずかに下回った。
また、上半期(9月)の豚肉推定期末在庫は、23万4720トン(同5.4%増)と前年同期をやや上回った。このうち、輸入品は21万3175トン(同6.0%増)と前年同期をかなりの程度上回った一方、国産品は2万1545トン(同0.2%減)と前年同期並みとなった。
3 鶏 肉
生産量、わずかに増加
上半期の鶏肉生産量は、消費者の健康志向の持続などにより、86万55トン(前年同期比2.1%増)と前年同期をわずかに上回った(図7)。
輸入量、ブラジル産は減少するもタイ産は増加
上半期の鶏肉輸入量は、国内の節約志向などを背景とした堅調な鶏肉需要はあるものの、ブラジルにおける高病原性鳥インフルエンザ発生に伴う輸送船の遅延などの影響により、30万3439トン(前年同期比2.8%減)と前年同期をわずかに下回った(図8)。輸入先別に見ると、全体の70%を占めるブラジル産は21万1649トン(同4.1%減)と前年同期をやや下回る一方、同29%を占めるタイ産は8万7959トン(同1.4%増)と前年同期をわずかに上回った。
推定出回り量、国産品は増加も輸入品は同水準
上半期の鶏肉推定出回り量は、需要が堅調に推移していることから、全体では115万6378トン(前年同期比0.5%増)と前年同期をわずかに上回った(図9)。このうち、国産品は85万1947トン(同0.7%増)と前年同期をわずかに上回った一方、輸入品は30万4431トン(同0.1%減)と前年同期並みとなった。
上半期(9月)の鶏肉推定期末在庫は、16万4129トン(同3.3%減)と前年同期をやや下回った。このうち、輸入品は13万250トン(同4.6%減)と前年同期をやや下回った一方、国産品は3万3879トン(同2.2%増)と前年同期をわずかに上回った。
(畜産振興部 越川 紗弥)