25年1〜9月の牛肉生産量、前年同期比3.4%増
中国国家統計局によると、2025年1〜9月の牛肉生産量は、生乳価格の下落から乳用牛の淘汰が進んだことなどにより、550万トン(前年同期比3.4%増)とやや増加した(図1)。
中国農業農村部は25年4月、25年の牛肉生産量を750万トン(前年比3.7%増)とする予測を発表しているが(注1)、過去3カ年の第4四半期(10〜12月)の牛肉生産量が240万トン前後で推移していることを踏まえると、同予測を上回る可能性が高いと考えられる。
25年10月の牛肉卸売価格、前年同月比3.4%高
中国商務部によると、2025年10月の牛肉卸売価格は1キログラム当たり64.3元(1442円:1元=22.43円(注2)、前年同月比3.4%高)となり、同年7月以降、4カ月連続で前年同月を上回った(図2)。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年11月末TTS相場。
この要因について中国農業農村部は、25年11月に公表した「農産物需給動向分析月報(2025年10月)」の中で、気温の低下に伴い、火鍋などの牛肉消費が増加し、輸入品だけでなく国産牛肉の引き合いも強まったためとしている。また、今後の牛肉価格については、第3四半期末時点での牛飼養頭数(乳用牛を含む)が9932万頭(前年同期比2.4%減)と減少している一方、引き続き火鍋などにより国産牛肉の引き合いが強まることから、小幅に上昇すると見込んでいる。
25年1〜10月の牛肉輸入量、冷凍・冷蔵ともに米国産が5割以上減少
2025年1〜10月の牛肉輸入量を見ると、輸入の大部分を占める冷凍牛肉は234万7432トン(前年同期比2.9%増)とわずかに増加した(表1)。一方、冷蔵牛肉の輸入量は5万8961トン(同1.3%減)とわずかに減少した(表2)。中国政府の米国産牛肉に対する追加関税などの影響により米国産の輸入量が冷凍・冷蔵ともに5割以上減少した一方、ブラジル産や豪州産が増加したことで、輸入量全体の変動は小幅にとどまった。
26年の牛肉輸入量(冷凍および冷蔵)について米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は、25年9月に公表したレポートの中で、中国国内での乳用牛の淘汰に伴い繁殖雌牛が減少したことで、子牛頭数が減少し、牛肉生産量も減少することから、わずかに増加すると見込んでいる。
(調査情報部 平山 宗幸)