25年8月の豚肉生産量、前年同月比0.9%増
欧州委員会によると、2025年8月の豚肉生産量(EU27カ国)は165万トン(前年同月比0.9%増)とわずかに増加した(図1)。豚と畜頭数は1755万頭(同1.0%減)と前年同月をわずかに下回った一方、1頭当たりの枝肉重量が93.95キログラム(同1.9%増)とわずかに増加し、生産量の増加につながった。
主要生産国別の状況を見ると、スペインはと畜用豚の域内からの輸入を増やし、同年1〜8月の豚肉生産量を前年同期比6.3%増加させた(表1)。デンマークは同期間の豚と畜頭数を5.6%増加させ、生産量も同5.6%増加した。同国の同年6月時点の豚飼養頭数は1189万頭(前年同月比5.6%増)、このうち繁殖用豚は115万頭(同0.5%増)と2年連続で増加している。
25年10月の豚枝肉卸売価格は、低下
欧州委員会によると、2025年10月の豚枝肉卸売価格(EU27カ国)は、1キログラム当たり1.78ユーロ(326円:1ユーロ=183.1円(注1)、前年同月比10.4%安)となった(図2)。同価格は4カ月連続で前月を下回り、下落幅は拡大している。国別に見ると、中国向け輸出の多いスペインが同9.5%安となり、同国の価格下落が域内全体の価格に下落圧力を与えた。ドイツ(同11.4%安)、フランス(同8.8%安)およびポーランド(同14.6%安)の同価格も軒並み下落した。
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年11月末TTS相場。
25年9月の豚肉輸出量、前年同月比4.3%増
欧州委員会によると、2025年9月のEU域外への豚肉輸出量(EU27カ国)は15万9365トン(前年同月比4.3%増)とやや増加した(表2)。中国が同年9月10日から暫定的なアンチダンピング関税を適用(注2)したことにより、同国向け輸出は同42.8%減と大幅に減少した。しかし、韓国、台湾、米国およびウクライナ向けなどの大幅な増加により、結果的には前年同月を上回った。なお、韓国政府は10月23日、ドイツで口蹄疫が発生して以来禁止していた同国からの豚肉輸入を再開した。現地報道によると、韓国はバラ肉などの主要な買い手でもあるため、この再開はドイツの養豚業界に一定の新たな見通しをもたらしているという。
(調査情報部 渡辺 淳一)