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海外需給【豚肉/ブラジル】畜産の情報 2026年1月号

25年1〜10月豚肉輸出量は引き続き好調

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25年1〜6月の豚肉生産量は、前年同期比4.2%増
 ブラジル地理統計院(IBGE)によると、2025年1〜6月の豚と畜頭数は2943万2000頭(前年同期比2.5%増)、豚肉生産量は274万1000トン(同4.2%増)と、いずれも前年同期を上回って推移した(図1)。
 



 
25年1〜10月の豚肉輸出量は、前年同期比13.5%増
 ブラジル開発商工サービス省貿易局(SECEX)によると、2025年1〜10月の豚肉輸出量は111万636トン(前年同期比13.5%増)と前年同期をかなり大きく上回った(表)。
 輸出先別に見ると、第1位のフィリピン向けは28万503トン(同58.2%増)と同国内の豚肉生産がアフリカ豚熱(ASF)による影響で減少している中、国内需要を補うため、継続して輸入量が大幅に増加した。一方、第2位の中国向けは、経済成長の減速と国内の豚肉生産の増加により12万3823トン(同31.9%減)と大幅に減少した。
 



 
25年10月の生体豚価格は、前年同月比3.0%安
 サンパウロ大学農学部応用経済研究所(CEPEA)によると、2025年10月のブラジルの生体豚取引価格(サンタカタリーナ州)は、1キログラム当たり8.27レアル(244円:1レアル=29.55円(注)、前年同月比3.0%安)となった(図2)。
 また、ブラジル農牧研究公社(EMBRAPA)によると、同月の生産コスト指数は363.01(同2.0%高)と前年同月をわずかに上回った。
 25年においては、生産コスト指数が横ばいで推移しているのに対し、生体豚取引価格はやや上昇傾向となっていることから、年間では生産者の収益性が緩やかに改善しているとみられる。
 ブラジル国内市場については、高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)が発生した影響により、6月以降に鶏肉価格が下落傾向となったことで、豚肉は競争力を低下させていた。しかしながら、9月に入り鶏肉輸出に回復の傾向が見られたことで、国内の鶏肉価格も上昇し、その結果、豚肉は鶏肉に対する競争力を取り戻すこととなった。これにより、国内の豚肉消費が下支えされるとみられている。
 
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年11月末TTS相場および現地参考為替相場(Selling)。
 



 
(調査情報部 原田 祥太)