25年1〜6月の鶏肉生産量は前年同期比2.9%増
ブラジル地理統計院(IBGE)によると、2025年1〜6月の鶏処理羽数は32億8580万羽(前年同期比1.9%増)、鶏肉生産量は704万5000トン(同2.9%増)と、いずれも過去最大を記録した前年をわずかに上回るペースで推移している(図1)。
25年1〜10月の鶏肉輸出量は前年同期並み
ブラジル開発商工サービス省貿易局(SECEX)によると、2025年1〜10月の鶏肉輸出量は403万6361トン(前年同期比0.2%減)と前年同期並みとなった(表)。25年5月15日にブラジルの家きん飼養施設で高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の感染が確認されたことで、同国全域からの家きん肉などの輸入を停止した中国向けの輸出量が22万6676トン(同50.9%減)と大幅に減少したものの、その他の輸出先の増加分でカバーされた形となった。
中国と同様に、ブラジルから家きん肉などを輸入している国々は、HPAI発生に伴いそれぞれ輸入停止措置を講じてきた。その後、ブラジル政府による対応が進むにつれ、各国は同措置を順次解除しており、ブラジル農牧供給省(MAPA)は、9月22日にEUによる段階的な解除、11月7日に中国による解除を発表した。また、日本は発生地域ごとに解除が進み、11月14日に全域で解除となった(注1)。主要な輸出先による輸入停止措置の解除の影響が、今後の輸出量に表れてくるとみられる。
25年の鶏肉卸売価格は上昇傾向に転じる
サンパウロ大学農学部応用経済研究所(CEPEA)によると、直近(2025年11月24日時点)のブラジルの鶏肉卸売価格(サンパウロ州)は、1キログラム当たり8.12レアル(240円:1レアル=29.55円(注2)、前年同日比0.7%安)となった(図2)。HPAIの発生以降、下落傾向が続いていたが、各国の輸入停止措置の解除が進んだ結果、9月に入り上昇傾向に転じた。前述したEUによる輸入停止措置の解除に伴い、ブラジル国内の業界は楽観的な見方を強めている。また、同国業界関係者は、輸出の回復とクリスマスシーズンによる国内需要の増加に伴い、25年末まで価格は堅調に推移すると見込んでいる。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年11月末のTTS相場および現地参考為替相場(Selling)。
(調査情報部 原田 祥太)