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海外需給【牛乳・乳製品/米国】畜産の情報 2026年1月号

25年10月の生乳生産量は増加、同月のバター卸売価格は大幅に下落

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※米国政府機関の一部閉鎖により直近の情報を入手できなかったため、執筆時点にて入手可能な統計情報に基づいています。
 
25年10月の生乳生産量は前年同月比3.7%増
 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2025年10月の乳用経産牛飼養頭数は957万5000頭(前年同月比2.2%増)とわずかに増加した(図1)。25年は右肩上がりで頭数が増加していたものの、生産者の収益性の悪化などから年内で初めて前月から減少となった。同月の生乳生産量は、乳用経産牛飼養頭数および1頭当たり乳量(同1.4%増)の増加により、883万1000トン(同3.7%増)とやや増加した(図2)。主要な酪農生産州で生産量が増加しており、前年に、乳用牛の高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)感染の影響を受けていたカリフォルニア州では同6.9%増となった。
 



 
 
25年10月のバター卸売価格は前年同月比39.2%安
 米国農務省農業マーケティング局(USDA/AMS)によると、2025年10月のバター卸売価格は、堅調な生乳生産や生乳に含まれる乳脂肪分増加によるバター供給量の増加から、1ポンド当たり1.62米ドル(1キログラム当たり563円:1米ドル=157.63円(注)、前年同月比39.2%安)と前年同月を大幅に下回り、21年2月以来の最安値となった(図3)。近年、消費者は栄養価の高い乳製品を求めている。生産者は、飼料の工夫や改良により、乳脂肪分とたんぱく質含有量の多い生乳(水分含有量を最小限に抑えた高成分濃度の生乳)の供給が可能となっている。
 また、同月のチーズ卸売価格は、堅調な生乳生産により供給過多となり、同8.8%安の同1.76米ドル(同612円)と前年同月をかなりの程度下回った(図4)。
 
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均為替相場」の2025年11月末TTS相場。
 




 
(調査情報部 大西 未来)