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海外需給【牛乳・乳製品/EU】畜産の情報 2026年1月号

バター価格が引き続き下落

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25年9月の生乳出荷量は前年同月比2.9%増
 欧州委員会によると、2025年9月の生乳出荷量(EU27カ国)は117万5000トン(前年同月比2.9%増)と、わずかに増加した(図1、表)。
 現地報道によると、1)夏季の気温が前年より和らいだこと、2)生乳価格が堅調に推移していること、3)一方で、ブルータングによる分娩の遅れがあること−などが影響している。特に、24年に発生したブルータングの影響を受けて生乳生産量を減少させた国が回復傾向にあり、オランダが同6.9%増、ドイツが同4.9%増と、それぞれ出荷量を増加させた。
 



 
25年10月の生乳取引価格は前年同月比2.3%高
 欧州委員会によると、2025年10月の生乳取引価格(EU27カ国の平均)は、100キログラム当たり52.91ユーロ(1キログラム当たり97円:1ユーロ=183.10円(注)、前年同月比2.3%高)と18カ月連続で前年同月を上回った(図2)。10月の乳価は引き続き高水準にあるものの、価格見通しの指標となる脱脂粉乳とバター価格から逆算される生乳取引価格は同月に大きく下落した。
 
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年11月末TTS相場。
 



 
バター価格が続落
 欧州委員会によると、2025年11月23日の週の製品別乳製品価格(EU27カ国の平均)は、バターが100キログラム当たり545ユーロ(1キログラム当たり998円、前年同期比29.7%安)と下落傾向が続いている(図3)。生乳やバターの生産量が増加していることに加え、米国産バターに比べEU産バターが高止まりしていたため、国際市場における価格競争力が低下していることが影響している。このほか、全粉乳が同338ユーロ(同619円、同22.0%安)、脱脂粉乳が同212ユーロ(同388円、同18.4%安)と、いずれも前年同期を大幅に下回った。一方、チーズは同435ユーロ(同796円、同1.3%高)と、前年同期をわずかに上回った。
 



 
(調査情報部 平石 康久)