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海外需給【牛乳・乳製品/NZ】畜産の情報 2026年1月号

25/26年度の生産者支払乳価は引き下げへ

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25年10月の生乳生産量、前年同月比1.7%増
 ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2025年10月の生乳生産量は313万トン(前年同月比1.7%増)とわずかに増加した(図1)。25/26年度(6月〜翌5月)の10月までの生乳生産量も、781万2000トン(前年同期比2.3%増)と前年同期を上回って推移している。
 この要因についてニュージーランド証券取引所(NZX)は、比較的安価な飼料価格に支えられたことが、増加につながったとみている。
 今後の生乳生産の見通しについてNZXは、牧草の生育状況は地域でばらつきが出る可能性があるものの、飼料供給量が増加していることから、全体としては前年度をわずかに上回ると予想している。一方で、年末年始の降雨量が増加するラニーニャ現象の発生確率が80%と見込まれており、放牧地の状態悪化による生乳生産への影響を注視している。
 



 
25年10月のバターおよびバターオイル、チーズの輸出量増加
 ニュージーランド統計局(Stats NZ)によると、2025年10月の乳製品輸出量は、主要4品目のうちバターおよびバターオイル、チーズがいずれも前年同月を上回った(表、図2)。品目別に見ると、バターおよびバターオイル、チーズは、いずれも中国向けの増加が寄与した。一方、脱脂粉乳は中国、サウジアラビア向けが、全粉乳はインドネシア向けが、いずれも減少したことが影響した。なお、年度累計(25年6〜10月)では、全粉乳、バターおよびバターオイルがいずれも前年同期を上回った。
 





 
 
25年11月18日のGDT平均価格、主要4品目すべてで下落
 2025年11月18日開催のGDT(注1)平均取引価格は、主要4品目すべてで前回開催時(25年11月4日)を下回った(図3)。取引全体では、米国、欧州、アルゼンチン、ニュージーランドの堅調な乳製品生産により需給が緩んだことで、市場の下落傾向が強まり、全乳製品の平均取引価格は1トン当たり3678米ドル(57万9763円、1米ドル=157.63円(注2)、前回比2.4%安)とわずかに下落した。
 このような中、NZ乳業最大手のフォンテラ社は25年11月25日、25/26年度(6月〜翌5月)の生産者支払乳価について、生乳の固形分(注3)1キログラム当たり平均0.5NZドル(46円:1NZドル=91.64円(注2))引き下げ、同9.5NZドル(871円)とし、25/26年度の同乳価の予測範囲を同9.00〜11.00NZドル(825〜1008円)から9.00〜10.00NZドル(825〜916円)に修正すると発表した。この理由について同社のハレル最高経営責任者は、今年度はNZ国内および他国において、乳製品供給量が堅調に推移しており、需給緩和から最近のGDT平均価格が下落しているためと説明している。
 
(注1)グローバルデイリートレード。月2回開催される電子オークションで、当該価格は乳製品の国際価格の指標とされている。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年11月末TTS相場。
(注3)乳脂肪分および乳たんぱく質。
 


 
(調査情報部 田中 美宇)