2025年第3四半期の生乳生産量、前年同期比1.1%増
中国国家統計局によると、2025年第3四半期(7〜9月)の生乳生産量は、天候に恵まれたことで牧草やコーンサイレージなどの飼料が十分確保できたことなどを受け、1057万トン(前年同期比1.1%増)とわずかに増加した。この結果、25年第3四半期まで(1〜9月)の生乳生産量は、2921万トン(同0.7%増)とわずかに増加した(図1)。
25年10月の生乳価格、前年同月比3.0%安
中国農業農村部によると、2025年10月の生乳価格は1キログラム当たり3.04元(68円:1元=22.43円(注1)、前年同月比3.0%安)とやや下回った(図2)。一方、25年9月以降の生乳価格は、前月比で0.01元(0.2円)ずつ上昇している。
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年11月末TTS相場。
この要因について同部は、25年11月に公表した「農産物需給動向分析月報(2025年10月)」(以下「月報」という。)の中で、(1)乳用牛の淘汰により生乳生産量の最適化が進む中、中秋節および国慶節の大型連休(25年は10月1〜8日)で乳製品消費が活発化したこと、(2)10月中旬からの「双十一(ダブルイレブン)」(注2)に向けてEC(電子商取引)プラットフォームや小売業者が乳製品の仕入れを行ったこと−を挙げている。
(注2)中国の一大ECセールイベント。ダブルイレブンは11月11日を指す。
25年1〜10月の乳製品輸入量、脱脂粉乳と飲用乳を除き増加
2025年1〜10月の主要乳製品8品目の輸入量は、脱脂粉乳と飲用乳を除く6品目で前年同期を上回った(表)。2品目の輸入量が減少した要因について現地専門家は、(1)中国国内のバターの生産増加に伴い、国産脱脂粉乳の生産量が増加している一方、発酵乳向けの脱脂粉乳の需要が頭打ちであること、(2)中国の生乳生産量が引き続き高水準であり、輸入飲用乳の需要が低いこと―を挙げている。
26年の中国の乳製品輸入量について米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は、25年11月に公表した「Dairy and Products Annual」の中で、(1)全粉乳は中国国内での生産量が小幅に減少することを受け前年並み、(2)脱脂粉乳は高品質な海外製品への堅調な需要を受け前年並み、(3)飲用乳は中国国内での生乳生産量の安定を受けわずかに減少、(4)チーズおよびバターは中国国内での需要の増加を受け小幅に増加、(5)ホエイは養豚向けおよび育児用調製粉乳向けの堅調な需要を受け前年並み―と予測している。
(調査情報部 平山 宗幸)