本稿では、令和6年(1〜12月)の肥育牛、肥育豚および牛乳の概要について紹介する。
【肉用牛(肥育牛)生産費】すべての肥育牛で生産費が減少
1.去勢若齢肥育牛
令和6年の去勢若齢肥育牛1頭当たりの全算入生産費(注1)は、137万5264円(前年比6.3%減)と、同統計開始以降で過去最高となった前年をかなりの程度下回った(表1、図1)。
このうち、もと畜費は、平成30年度をピークにおおむね低下傾向にあり、令和6年は71万3400円(同10.9%減)と前年をかなりの程度下回り、費用合計の52.0%を占めた。
また、飼料費(注2)は、国際価格の下落などから、47万9085円(同2.0%減)と前年をわずかに下回り、費用合計の34.9%を占めた。
なお、1経営体当たりの販売頭数は39.6頭(同2.7%減)、1頭当たりの販売価格は128万9233円(同1.0%安)と、ともに前年をわずかに下回った。
(注1)「資本利子・地代全額算入生産費」の略称。
(注2)飼料費には、配合飼料価格安定制度の補 塡金は含まない。以下同じ。
2.交雑種肥育牛
令和6年の交雑種肥育牛1頭当たりの全算入生産費は、81万8721円(同3.7%減)と前年をやや下回った(表1、図2)。
このうち、もと畜費は、令和2年をピークに低下傾向にあり、令和6年は32万8546円(同7.4%減)と前年をかなりの程度下回り、費用合計の40.0%を占めた。
また、飼料費は、国際価格の下落などから、40万4485円(同2.4%減)と前年をわずかに下回り、費用合計の49.3%を占めた。
なお、1経営体当たりの販売頭数は150.0頭(同1.6%減)と前年をわずかに下回った一方、1頭当たりの販売価格は79万9150円(同7.4%高)と前年をかなりの程度上回った。
3.乳用雄肥育牛
令和6年の乳用雄肥育牛1頭当たりの全算入生産費は、55万3847円(同7.5%減)と前年をかなりの程度下回った(表1、図3)。
このうち、もと畜費は、平成29年度以降おおむね同水準で推移してきたが令和4年をピークに低下し、令和6年は19万8478円(同13.5%減)と前年をかなり大きく下回り、費用合計の35.7%を占めた。
また、飼料費は、国際価格の下落などから、29万221円(同4.5%減)と前年をやや下回り、費用合計の52.2%を占めた。
なお、1経営体当たりの販売頭数は200.9頭(同9.6%減)とかなりの程度、1頭当たりの販売価格は48万5740円(同4.1%安)とやや、いずれも前年を下回った。
以上のように、令和6年の全算入生産費は、すべての肥育牛において前年を下回る結果となった。これは、近年、全算入生産費を押し上げていた飼料費やもと畜費が減少したためとみられる。なお、全算入生産費の増減率を品種間で比較すると、去勢若齢肥育牛が前年比6.3%減、交雑種肥育牛が同3.7%減、乳用雄肥育牛が同7.5%減となった。また、10年前に当たる平成26年度と比較すると、もと畜費については、去勢若齢肥育牛は40.7%増、交雑種肥育牛は21.2%増、乳用雄肥育牛は48.1%増となっており、飼料費については、去勢若齢肥育牛は46.0%増、交雑種肥育牛は19.1%増、乳用雄肥育牛は10.7%増となっている。
肥育期間については、去勢若齢肥育牛は前年並み、交雑種肥育牛および乳用雄肥育牛は、ともに前年をわずかに下回った。また、販売時生体重については、去勢若齢肥育牛および交雑種肥育牛は前年並み、乳用雄肥育牛は前年をわずかに下回った。
【肥育豚生産費】飼料費が減少した一方、労働費が増加し、生産費は前年並み
令和6年の肥育豚1頭当たりの全算入生産費は、4万5715円(前年比0.2%減)と、同統計開始以降(注3)で過去最高となった前年並みの水準であった(表2、図4)。
このうち、飼料費は、そのほとんどが配合飼料によるものであることから、輸入配合飼料原料価格の変動が全算入生産費に与える影響が大きい。令和6年は、国際価格の下落などから、3万72円(同2.6%減)と、同統計開始以降で過去最高であった前年をわずかに下回った。なお、費用合計に占める飼料費の割合は65.6%となった。また、飼料費に次いで割合が高い労働費は、6061円(同11.8%増)と前年をかなり大きく上回り、同統計開始以降の最高値を更新した。
なお、10年前に当たる平成26年度と比較すると、飼料費については30.2%増、労働費については47.3%増となっている。
1経営体当たりの販売頭数は1466.7頭(同6.8%減)と前年をかなりの程度下回った一方、1頭当たりの販売価格は4万5937円(同7.3%高)と前年をかなりの程度上回った。また、販売時月齢については、6.3カ月(同0.0%)、販売時生体重については、116.4キログラム(同0.2%減)と、ともに前年並みとなった。
(注3)調査対象農家が肥育経営農家から一貫経営農家に変更となった平成5年以降。
(畜産振興部 丸吉 裕子)
【牛乳生産費】牛乳生産費、前年比2.3%減と8年ぶり減少
令和6年の全国の搾乳牛1頭当たりの全算入生産費は、流通飼料費や乳牛償却費の減少により、100万8759円(前年比2.3%減)と8年ぶりの減少となった(表3、図5)。地域別に見ると、北海道は96万2383円(同1.8%減)、都府県は106万7070円(同2.6%減)と、いずれもわずかに減少した。
費用の内訳は、物財費と労働費に大別され、令和6年におけるそれぞれの割合は、84.5%、15.5%と、前年と比較すると、物財費の割合が0.5ポイント減少した。さらに、物財費のうち、特に大きな割合を占める飼料費は、依然として高止まってはいるものの、輸入原料の国際相場が軟調に推移し、配合飼料価格が下落したことから、都府県で前年をやや下回った結果、全国でもわずかに下回った。また、乳牛償却費は、北海道は前年をかなり大きく下回り、都府県はかなりの程度下回った。
1頭当たりの労働時間は、全国平均では93.19時間(同1.8%減)と、6年連続で短縮した。北海道では84.65時間(同3.0%減)と前年をやや下回ったが、都府県においては103.95時間(同0.0%増)と前年並みであった。
(酪農乳業部 田中 麻紀)