26年1月若齢牛価格、記録的な高温により下落傾向も需要は継続
豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、肉牛生体取引価格の指標となる東部地区若齢牛指標(EYCI)価格は、直近2026年1月30日時点で1キログラム当たり840豪セント(924円:1豪ドル=109.96円(注1))と高水準を推移しているものの、1月中旬から緩やかに下落している(図1)。
MLAや業界アナリストによると、豪州東部全域で続く記録的な高温により、一部の競売場がアニマルウェルフェアの観点から閉鎖され、牛の出荷頭数が減少していることが価格に影響していると報じられている(図2)。
一方、報道情報によると、主要な肉用牛生産地域であるクイーンズランド(QLD)州では、好天で牧草生育が順調なことから、牧草肥育用の去勢牛の需要が高まり、局所的に牛の価格も上昇していると報じられている。今後、ブラジル産牛肉との競合や中国の新たなセーフガード措置(注2)に対して市場がどのように反応していくか、業界も動向を注視している状況にある。
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2026年1月末TTS相場。
26年1月成牛と畜頭数、年初から高水準を維持して推移
2026年1月第4週の成牛と畜頭数は、14万3640頭(前年同期比1.9%増)と、昨年に引き続き年初から高水準で推移している(図3)。
一部の食肉加工業者は、中国の新たなセーフガード措置の割当数量が埋まる前に、単価が高い中国向けの穀物肥育牛肉を優先して処理しているとされており、処理頭数にも影響を与えていると報じられている。
25年牛肉輸出量は最高記録を更新、中国の輸入規制への対応を検討
豪州農林水産省(DAFF)によると、2025年12月の牛肉輸出量は14万7533トン(前年同月比15.8%増)とかなり大きく増加し、25年の累計は154万5760トン(同15.0%増)と過去最高値を記録した(表)。
今後の輸出見通しについては、米国内の牛肉需給動向と中国の新たなセーフガード措置が大きな焦点となっている。
現地報道によると、米国の肥育牛出荷頭数はいまだ低水準にあり、米国内の牛肉供給の不足傾向は継続していることから、引き続き豪州産牛肉の需要は高いとされている。また、競合国であるブラジルが利用する米国向け牛肉の低関税複数国枠が既に全量埋まったことから、豪米間のFTA(自由貿易)枠を利用できる豪州の優位性は高まっていると報じられている。
中国の新たなセーフガード措置について、豪州に対する26年の割当数量20万5000トンを超過した分については、55%の関税率が適用されることから、25年の輸出量を踏まえれば、代替市場への転換が約7万トン分必要となる可能性がある。現地アナリストによると、業界は自主的な割当管理制度を導入し、中国向け輸出のタイミングと価値を最適化する方策を協議中とされている。また、二次的な影響として、同様に輸出実績より少ない割当数量となったブラジル産牛肉との代替市場での競争激化が懸念されており、ブラジルも同様に割当管理制度の導入を検討していることから、その時期によって同措置の影響が顕在化するタイミングが早まると分析されている。
(調査情報部)