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海外需給【牛乳・乳製品/EU】畜産の情報 2026年3月号

生乳取引価格、2カ月連続で前年同月を下回る

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25年11月の生乳出荷量は前年同月比4.9%増
 欧州委員会によると、2025年11月の生乳出荷量(EU27カ国)は1165万トン(前年同月比4.9%増)となり、前年同月をやや上回った(図1、表)。現地報道では、1)堅調な生乳取引価格、2)飼料価格の低下と質量ともに良質な粗飼料生産、3)安定している乳牛飼養頭数−が影響しているとみられている。
 生乳出荷量を主要生産国別に見ると、ドイツ(同7.5%増)、フランス(同6.3%増)、オランダ(同7.3%増)、ポーランド(同4.2%増)、イタリア(同3.4%増)と上位の生産国が軒並み前年同月を上回った。一方、アイルランド(同2.3%減)は前年同月を下回ったが、同国については欧州委員会が12月22日に硝酸塩指令に基づく適用除外措置を26年1月1日から3年間延長することを決定しており、今後の生乳出荷量への影響が注目される。
 なお、同委員会によれば、11月の乳脂肪分は4.31%(同0.02ポイント増)、無脂乳固形分は3.58%(同0.02ポイント増)であり、両乳固形分は1〜11月の全ての月で前年同月を上回った。
 

 
25年12月の生乳取引価格は前年同月比10.9%安
 欧州委員会によると、2025年12月の生乳取引価格(EU27カ国平均)は、100キログラム当たり48.77ユーロ(1キログラム当たり90円:1ユーロ=184.86円(注1)、前年同月比10.9%安)となり、2カ月連続で前年同月を下回った(図2)。ホエイを除く乳製品価格の下落を背景に、生乳取引価格も下落傾向で推移している。
 
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2026年1月末TTS相場。
 

 
多くの乳製品価格、前年同期を大幅に下回る
 欧州委員会によると、2026年1月18日の週の製品別乳製品価格(EU27カ国平均)は、バターが100キログラム当たり429ユーロ(1キログラム当たり793円、前年同期比42.0%安)、全粉乳が同305ユーロ(同564円、同28.8%安)、脱脂粉乳が同208ユーロ(同385円、同17.7%安)、チーズが同373ユーロ(同690円、同21.9%安)と、いずれも前年同期を大幅に下回った。一方でホエイは同107ユーロ(同198円、同9.0%高)と上昇傾向が続いている(図3)。
 生乳出荷量の増加により在庫可能な製品の生産量が増加しており、25年11月はバターが17万1100トン(前年同月比9.4%増)とかなりの程度増加したほか、脱脂粉乳は10万2300トン(同18.7%増)と大幅に、チーズは79万8900トン(同2.4%増)とわずかに増加した。これらの増産が乳製品価格の下落につながっているとみられる。
 さらに米国産バターの価格下落も、EU産バター価格の下落に影響している。現地報道によれば、直近では米国のバター価格に上昇傾向が見られるものの、ユーロに対するドル安によりEU産乳製品の価格競争力は低下しているという。
 なお、中国商務部は12月23日からEU産のミルク・クリームおよびチーズに対し反補助金保証金の納付を求めており(注2)、今後のEU産乳製品の輸出および価格動向が注目される。
 
(注2)詳細については、海外情報「EU産乳製品に対し中国が反補助金関税を暫定的に開始(EU、中国)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_004282.html)をご参照ください。
 
 
 
(調査情報部)