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調査・報告 人材支援パートナー  畜産の情報 2026年4月号

中・長期で農業現場に伴走する、人材支援パートナーという選択 〜YUIMEとともに目指す、農業人材支援のあり方〜

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YUIME株式会社
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【要約】

 YUIME株式会社は、「日本の一次産業を、世界の一流産業にアップデートする」というビジョンの下、特定技能制度を活用し、季節・地域・分野に応じた柔軟な人材派遣を行っている。
 農業は、繁忙期に労働需要が集中し、通年雇用が難しいという構造的問題を抱え、畜産分野では逆に、通年・長期間での雇用による飼養管理技術の習熟が必要であるが、当社は、必要時期に必要人数を必要な期間、確実に配置する仕組みを整え、生産性と持続性の両立を支援している。外国人材は若くて労働意欲が高く、継続的な就労によって作業習熟やリーダー人材への成長が進んでいる。群馬県の畜産経営では、特定技能外国人2人を受け入れたことにより、飼養管理や作業に要していた時間を経営判断などに充てることができ、時間を有効に利用できるようになったという。
 入国前後の生活・就労支援、資格取得支援など、定着に向けた包括的支援体制を構築するとともに、将来のマネジメント層育成にも取り組み、外国人材と日本人材が補完し合う体制づくりを通じ、持続可能な農業現場の実現を目指している。

1 はじめに

 YUIME株式会社(以下「YUIME」という)は、「日本の一次産業を、世界の一流産業にアップデートする」というビジョンの下、一次産業に特化した人材支援事業を展開してきた。2019年4月1日の改正出入国管理法の施行を契機に、日本人および「特定技能1号」の在留資格を持つ外国人スタッフを、1)季節、2)地域、3)分野−といった農業特有の条件に応じて全国の生産現場へ臨機応変に派遣している。特定技能制度における「派遣」と「登録支援機関」の双方を担うパイオニア企業として、現場の実態に即した人材支援の仕組みづくりに取り組んでいる。
 こうした取り組みの根底にあるのが、農業という産業の構造そのものへの理解である。畜産では、365日作業が発生するため、短期雇用の形態では飼養管理への理解や技術の習熟が進まず、生産現場での活躍が難しい。
 YUIMEでは、この分野特有の事情を前提に人材派遣を設計し、必要な時期に必要な人数を必要な期間、確実に配置することで、生産計画に沿った安定的かつ効率的な作業体制の構築を支援している。単なる人手不足への対症療法ではなく、現場の負荷を平準化し、生産性と持続性の両立を図ることこそが、YUIMEの人材派遣の基本的な考え方である。

2 外国人材について

(1)長期的な就労を前提とした人材活用

 2019年、慢性的な人手不足を背景に、労働を目的とした在留資格である「特定技能制度」が創設された。特定技能制度は、技能移転(国際協力の推進のため、人材育成を通じ、開発途上地域などへの技能、技術または知識の移転を行うこと)を目的とした技能実習とは異なり、人手不足への対応を目的に、労働力として外国人材を受け入れる制度である。YUIMEは、本制度における認可第一号の事業者として、農業分野での特定技能人材の受け入れと派遣を開始している(図1)。
 
 
 
 特定技能の在留資格には1号と2号があり、外国人材はまず特定技能1号で来日し、最長5年間の就労が可能となる。特定技能1号で一定期間就労し、技能試験や日本語試験などの条件を満たすことで、在留期間に上限のない特定技能2号へ移行することができる点が大きな特徴だ。
 YUIMEが派遣する外国人材は、特定技能制度の下で来日し、日本の農業分野で継続的に働くことを前提としている。同一の生産現場で就労を重ねることで、作業内容への理解や習熟度が高まり、作業の安定化や役割分担の明確化につながっている。
 一定の経験が求められる業務においても、継続的な就労を通じて現場に即した対応が可能となり、日本人スタッフとの協力体制の構築にも寄与している。また、外国人材の中にはリーダー的な役割を担う人材へと成長するケースも見られる。
 

(2)外国人材の特徴

 特定技能人材は、若くて労働意欲が高い点が特徴といえる。日本語能力(N4〈基本的な日本語を理解することができる〉程度)および農業分野の試験に合格しており、平均年齢は20代前半である。母国での就労機会の不足や家族への仕送りを目的に来日する人材が多く、毎月3〜5万円程度の仕送り実績からも、意欲の高さがうかがえる(写真1、2)。技能実習経験者は全体の約1割にとどまるものの、継続的な就労を前提とした仕組みにより、作業の習熟度向上、リーダー的な人材への成長、複数現場での経験による総合的なスキル向上といった中・長期的な現場への貢献が期待されている。
 



 

3 外国人材の受け入れで実現した、安定した牧場経営

 畜産経営は、365日止まることのない仕事だ。牛の給餌、牛舎の清掃、健康状態の確認、繁殖対応など、日々の作業の積み重ねによって生産が成り立っている。だからこそ、人手不足は単なる「忙しさ」の問題ではない。管理の質の低下や経営判断の遅れにつながり、最終的には牧場の持続性や経営そのものに影響を及ぼす。
 群馬県の磐上畜産は、もともと日本人スタッフ2人体制で運営していたが、若手社員が県外へ転職。もう一人のベテランスタッフも体調面の不安から、安定して働くことが難しくなった。その後、農業系のエージェントなどを通じて募集を続けたものの通勤圏内で条件に合う人材は見つからず、採用しても長く続かないという状況であった。
 結果として約10カ月間、社長1人で飼養管理を行うこととなった。毎日の作業に追われ、休みもほとんど取得できず、目の前の業務をこなすことで精一杯となり、経営の改善や将来の計画を考える余裕はなかったという。このままでは牧場を維持することすら難しくなっていた。そんな危機感の中で検討したのが、YUIMEを通じた特定技能外国人の受け入れだった。導入前に最も不安だったのは、言葉の問題だった。しかし、近隣の事業者から外国人材の働きぶりについては話を聞いており、「真面目で一生懸命に働く」という印象を持っていたという。何より、牧場を続けていくためには新たな人材確保が不可欠だったことから、外国人材の受け入れを前提に導入を進めた。
 

(1)現場を支える、安定した人員体制

 現在は、特定技能外国人2人と社長の3人体制で牧場を運営している(写真3)。外国人スタッフは朝7時に出勤し、給餌や牛舎の清掃などの日常的な作業を担当。昼休憩を1時間取り、午後の作業は16時には終了。残業はほとんどなく、分娩ぶんべんや事故など通常と異なる状況が発生した場合のみ、社長へ連絡するルールとしている。
 



 
 外国人材を受け入れた当初は、社長自ら作業を実演しながら一つ一つ指導を行った。現在では日常の管理業務の多くを2人に任せられるようになり、牧場全体の運営を支える存在となっている。社長はトラブル対応や経営判断に集中できるようになり、時間の使い方が大きく変わった。「人がいる」という当たり前の状態が戻ったことで、経営の視点にも変化が生まれた。それまでのように毎日の作業を回すことだけに追われるのではなく、今後の設備や規模の見直しなど、中長期の経営を考える余裕が生まれたという。外国人スタッフ2人は業務にも十分慣れてきており、将来的には牧場面積の拡張など、規模拡大も視野に入れている。
 外国人材の受け入れに当たり、特別な対応は多くない。ただし、宗教上の理由から食事内容や、生活環境の整備には気を配っている。住居についても、外国人の入居が可能な物件を探す必要があり、現在は自転車で通勤可能な距離にアパートを確保している。外国人の入居を断られるケースもあるため、今後は受け入れ先として利用できる住居情報が整理されることへの期待もあるという。
 また、言葉の壁は、やはり一定程度存在する。そのため、細かなニュアンスが伝わりにくい場面もあることから、「実際に作業など見せながら教える」ことを基本としている。
 

(2)就労を前提とした「特定技能制度」がもたらす安定した運営

 外国人スタッフの受け入れを通じて感じているのは、日本で働くことに対する「覚悟」の大きさだという。家族を母国に残し、就労を目的に来日しているからこそ、長く働こうとする意識の高さが現場の安定につながっている。社長は「日本で働くと決めた時点で覚悟がある。5年間はしっかり頑張るという意識が強く、長く続いてくれる安心感がある。むしろ日本人の方が条件面などの要望が多いこともある」と話す。
 実際に働く外国人スタッフからも、前向きな声が聞かれた。技能実習を経て特定技能の認定を受けて再来日したスタッフは、「社長が優しく、働きやすい環境。畜産の仕事が好き」と話し、特定技能2号を取得して長期的に日本で働くことを目標にしている。もう一人のスタッフも、日本で働けることへの満足感を語り、日本語の習得に意欲を見せている。このように、外国人材は単なる労働力ではなく、牧場の将来をともに支える頼もしい存在となっている(写真4)。
 
 
 
 人手不足に悩む畜産経営者に向けて社長は「コミュニケーションにおいて工夫は必要だが、一緒に働けば想像以上にうまくいく。言葉の壁はゼロにはならないが、都度向き合うことが大切だと思う」と語る。
 今後、事業を続けていく中では、新たな人材が必要になるタイミングも訪れる。そのときには再び、YUIMEのサポートを活用したいと考えているという。
 外国人材の受け入れは、単なる人手不足対策にとどまらない。安定した労働力の確保が、経営者に時間と判断の余裕を生み、事業の維持から成長へと視点を変える。その変化こそが、畜産経営の未来を支える大きな力となっている。

4 外国人材の受け入れ体制 〜定着を見据えた支援〜

 YUIMEでは、外国人材を単に派遣するのではなく、入国前後から、就労、定着に至るまでを一貫して支える受け入れ体制を構築している。農業現場で安心して力を発揮してもらうためには、作業スキルの提供だけでなく、日本での生活や文化への理解、継続的なフォローが不可欠であるという考えに基づくものだ。その取り組みの第一歩として、入国時にはオリエンテーションを実施している。日本の文化や生活習慣、就労に関する基本的事項に加え、YUIMEとしてのルールや現場で求められる行動基準について、各人の母国語を含む多言語で丁寧に説明することで、来日直後の不安を軽減し、早期の職場への適応を支援している。さらに、新規入国者に対しては入国後6カ月間の重点サポート期間を設け、3カ月に1回の定期面談を実施している。就労状況のみならず、生活面や人間関係、体調面の変化などを継続的に把握し、問題が顕在化する前に対応できる体制を整えている。
 こうしたフォローを補完する取り組みとして、外国人材向けに「YUIMEマガジン」を毎月発行し、入国手続きや在留資格に関する情報、日本での生活のポイント、免許・資格取得の案内、日本語学習の機会、日本各地の祭事や文化の紹介記事などを掲載し、働くための情報だけでなく、日本で暮らし続けるための知識を継続的に提供している。また、就労の幅を広げ、現場での活躍を後押しするため、免許・資格取得の支援にも力を入れている。自動車運転免許やフォークリフト免許、特定技能2号試験、日本語能力試験(JLPT)などの取得・合格をサポートし、作業の高度化や役割の拡張につながる成長機会を提供している(写真5)。
 

5 外国人材が長く働ける理由 〜YUIMEと農家が連携して整える現場の工夫〜

 外国人材の受け入れに当たっては、言語や文化の違いに起因する問題が引き続き存在している。作業手順や安全に関する理解の差、生活ルールや就労観の違いなどが、現場運営上の問題となる場合も少なくない。
 YUIMEは、受け入れ事業者と連携しながら、外国人材が日本で安心して、できるだけ長く働ける環境づくりにも力を入れている。慣れない土地で働く不安や孤独を少しでも和らげられるよう、休日には観光に出かけたり、地域の祭事に参加したりと、地域とつながる機会を大切にしている事業者も少なくない。宿舎についても、同じ国籍同士になるよう部屋割りに配慮し、生活面での戸惑いを減らす工夫を行っている。生活ルールはYUIMEのオリエンテーションで伝えるだけでなく、派遣先事業者と協力し、ゴミ出しの方法や日常の約束事を母国語で掲示するなど、現場ごとに分かりやすさを重視している。
 食事は全員自炊が基本となるため、宗教的な背景にも極力配慮し、例えば豚肉を調理した器具とそうでない器具を分けて、専用のフライパンや調理器具を用意するなどの対応を、事業者と連携しながら行っている。さらに、言葉の壁を越えて現場業務を正確に理解できるよう、事業者と共に動画形式の現場マニュアルの製作を進めている。派遣先との密な情報共有を通じて、現場・人材の双方に無理のない環境づくりを行い、負担を最小限に抑える運用を重視している。

6 外国人材と働く現場で見えてきた、日本人材の必要性

 一方で、農業の現場においては、外国人材の受け入れ・育成を担う日本人の人材、特にマネジメント層の不足も大きな問題となっている。現場を理解し、作業の指示や教育の役割を担う人材が不足していることで、受け入れ側の負担が増し、結果として外国人材の定着率や現場の生産性に影響を及ぼすケースも見られる。
 こうした問題に対する取り組みの一つが、YUIMEが新たに展開する「本気の農業インターン」である(図2)。
 

 
 本気の農業インターンは、農業を仕事として選択するかどうか、あと一歩が踏み出せない日本人をYUIMEが自社で雇用し、提携事業者のもとで実務経験を積む機会を提供する仕組みである。この仕組みは、現場での就業を通じて双方の理解を深め、最終的に事業者での直接雇用につなげることを目指している。
 事業者にとっても、人材の適性を確認しながら、将来の中核人材としての採用判断ができる点が大きなメリットとなっている。また、外国人材と共に働く中で、現場運営や人材マネジメントを実践的に学ぶことにより、受け入れ側と現場の双方を支える人材の裾野を広げていく。
 今後は、外国人材の定着と受け入れ側の負担軽減を両立させるため、教育内容や支援体制のさらなる整理を進めるとともに、日本人の人材育成・配置を含めた現場ごとの問題を共有し、改善につなげていく方針だ。
 外国人材と日本人材が補完し合いながら機能する体制を構築することが、中・長期的な農業現場の安定と成長につながると考えている。

7 おわりに 〜持続可能な生産体制の構築に向けて〜

 YUIMEの人材派遣は、単なる人手不足への対応にとどまらず、人材の受け入れから育成までを見据えた仕組みとして運用している。人を「補う存在」としてではなく、「共に現場を支え、育っていく存在」として迎え入れること。その前提に立ち、現場に寄り添った人材支援を重ねてきた。人材を計画的に配置することで、作業体制の安定化だけでなく、日々の業務を通じた技術伝承や人材育成の環境づくりが可能となる。作業が属人化せず、経験が積み重なっていくことで、生産現場における業務の継続性は高まり、中・長期的な生産計画も描きやすくなっていく。高齢化や人手不足が進む中で、農業の持続的な発展を支えるためには、地域や分野ごとの実情に即した人材活用の仕組みが欠かせない。
 YUIMEは、これからも生産現場と真摯に向き合いながら、人が育ち、現場が続いていくための仕組みを、共につくり続けていく。
 
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