26年3月の若齢牛価格、天候の乱れにより不安定化
豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、肉牛生体取引価格の指標となる東部地区若齢牛指標(EYCI)価格は、直近2026年3月25日時点で1キログラム当たり873豪セント(975円:1豪ドル=111.68円
(注1))と高値を維持しているものの、3月を通じて価格変動を繰り返し、不安定に推移している(図1)。
報道によると、3月第1週目に主要肉用牛生産地域であるクイーンズランド(QLD)州を含む豪州北部地域で広範囲に豪雨が発生し、複数の競売場が開催を取りやめたことで一時的に出荷頭数が急減し、価格が上昇したとされている。その後、競売場の再開で出荷頭数が回復して下落トレンドに移行し、直近では、また上昇の兆しを見せている。
今後については、中東情勢による軽油の高騰により、長距離家畜輸送の料金は1キロメートル当たり10豪ドル(1117円)上昇しているとされており、家畜の売買が停滞する可能性があると報じられている。また、生活コストの上昇による牛肉需要の減少など、多方面での影響が懸念されており、牛価格の見通しも不透明なものとなっている。
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2026年3月末TTS相場。
豪州の成牛と畜頭数、26年は過去最高を更新する予測
2026年3月第3週の成牛と畜頭数は、15万9113頭(前年同期比6.8%増)と、先月から引き続き高水準で推移している(図2)。
MLAが3月24日に発表した業界見通しによると、26年のと畜頭数は945万頭に達するとしており、これは過去最高を記録した25年を上回る水準となっている。MLAは、以前の予測では26年のと畜頭数は減少に転じる見込みとしていたが、年初来の処理頭数は前年同期比で約5%増加と、予測とは異なる動向を示しており、これは肥育牛の堅調な需要と価格が生産者の出荷意欲を高めているためと分析している。この結果、牛肉生産量も過去最高を更新すると予測されている。
26年の牛肉輸出量、堅調に推移も中国向けや中東情勢に不透明感
豪州農林水産省(DAFF)によると、2026年2月の牛肉輸出量は13万884トン(前年同月比11.4%増)となり、2月としては過去最高を記録しており、引き続き高い水準で推移している(表)。
この結果は、米国向けが3万9952トン(同13.8%増)と引き続き堅調であることに加え、中国向けが2万7018トン(同26.4%増)と大幅に増加したことが背景にある。一方で、1月に引き続き、中国の新たなセーフガード措置
(注2)による駆け込み需要から予測されていた急増には至っておらず、輸出業者がリスク低減のため早期に他市場へシフトしているという見方や、本格的な荷動きの変化は3月以降とする予測もある。また、5月ごろにはセーフガード枠が埋まるという観測もあり、その際に北米やアジア、中東市場がどこまで受け皿となれるか、現地アナリストも動向を注視している状況にある。
なお、中東向けについては、3098トン(同19.0%増)と大幅に増加したものの、今般の中東情勢を受け、3月以降の動向は不透明とされている。中東経由で欧州などへの貨物ルートもあるとされており、影響が長期化すれば、燃料や肥料の価格高騰も牛肉輸出全体に悪影響を及ぼすとみられている。
(注2)詳細については、海外情報「中国の新たなセーフガード措置に対する豪州の反応(豪州)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_004262.html)をご参照ください。
(調査情報部 国際調査グループ)