26年の豚肉生産量は前年比3.3%増の見込み
米国農務省海外農務局(USDA/FAS)は2026年2月26日、25年および26年におけるメキシコの豚肉需給見通しを発表した。これによると、25年は24年に発生した豚繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)や豚流行性下痢(PED)といった疾病の影響や収益性の悪化により、中・小規模の農家を中心に飼養頭数が十分に確保できなくなったことから、豚と畜頭数は1770万頭(前年比3.0%減)とやや、豚肉生産量は136万5000トン(同2.2%減)とわずかに、いずれも減少が見込まれている(表1)。26年は、生産コストの安定化、25年後半の耐病性を考慮した品種の導入による1腹当たりの産子数の増加が見込まれることなどから、飼養頭数が回復し、と畜頭数が増加するとみられる。このため豚肉生産量は141万トン(同3.3%増)とやや増加すると見込まれている。
また、25年の豚肉消費量は、所得の向上に加え、観光や外食需要が継続的に回復していることなどから、277万トン(同4.6%増)とやや増加すると予測されている。また、牛肉価格が過去最高水準を記録した中、豚肉は比較的安価である点も消費の追い風となっている。26年は、25年と同様の理由に加え、特に国内外での観光客の増加に伴い、外食をはじめとする食品産業による需要が高まっていることにより、豚肉の消費量は290万トン(同4.7%増)とやや増加すると予測されている。
豚枝肉価格は高止まり、26年2月は前年同月比2.4%高
メキシコ国家情報市場統合システム(SNIIM)によると、2026年2月の豚枝肉価格は、1キログラム当たり86.0ペソ(845円:1ペソ=9.82円
(注)、前年同月比2.4%高)とわずかに上回った(図)。国内の供給不足を背景に豚枝肉価格は高止まりしているものの、牛肉と比べると比較的手頃な価格を維持している。一方、同月の生体豚価格は、同45.9ペソ(451円、同17.9%安)と大幅に下回った。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2026年3月末TTS相場。
25年の豚肉輸出量は前年比10.5%減、輸入量は同10.4%増
2025年の豚肉輸出量は、15万2000トン(前年比10.5%減)とかなりの程度減少した(表2)。輸出先別に見ると、ロースなどが中心となる米国向けは3万トン(同6.8%増)となった。一方、メキシコ国内での価格が高止まりする中で、円安による購買力低下もあり輸出メリットが薄れた日本向けは10万7000トン(同13.9%減)、スペインからの豚肉輸入量を増加させている韓国向けは9000トン(同16.0%減)と、それぞれ減少した。同年の豚肉輸入量は、国内需要の高まりから、153万4000トン(同10.4%増)とかなりの程度増加した(表3)。輸入先別に見ると、地理的優位性のある米国やカナダからは米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)により堅調な輸入が続く中、ブラジルからは7万5000トン(同76.9%増)と大幅に増加した。これは、メキシコ政府によるインフレ率上昇抑制策(PACIC)の下で、一時的にブラジル産豚肉の輸入関税が撤廃されていたことが有利に働いた。26年も国内需要が堅調に推移することから、収益性の高い国内向けの販売に注力する意向で、輸出量は減少が見込まれている。
(調査情報部)