26年5月の若齢牛価格、降雨の影響で価格が急上昇
豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、肉牛生体取引価格の指標となる東部地区若齢牛指標(EYCI)価格は、直近2026年5月27日時点で1キログラム当たり926豪セント(1075円:1豪ドル=116.12円
(注1))と、22年11月以来の高水準を記録した(図1)。
MLAや現地報道によると、主要肉用牛生産地域であるニューサウスウェールズ(NSW)州、クイーンズランド(QLD)州が継続的な降雨に恵まれたことにより、1)乾季に入り牛の早期出荷を検討していたQLD州の生産者の多くが牛の留保を選択したこと、2)牧草の生育状況の改善により牧草肥育業者からの需要が高まったこと−で需給がひっ迫し、価格上昇につながったとされている。
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2026年5月末TTS相場。
26年第1四半期の牛肉生産量、第1四半期ベースで過去最高を記録
2026年5月第4週の成牛と畜頭数は、16万6446頭(前年同期比9.1%増)と引き続き高水準で推移しており、牛肉需要の高さを裏付けている(図2)。また、豪州統計局(ABS)が26年5月に公表した統計によると、26年第1四半期(1〜3月)の成牛と畜頭数は230万頭(同6.0%増)、牛肉生産量は73万77トン(同7.5%増)となり、第1四半期の生産量としては過去最高となった(図3)。特筆すべきは、穀物肥育牛のと畜頭数が104万6717頭と史上初めて四半期ベースで100万頭を突破した点である
(注2)。穀物肥育牛のと畜頭数全体に占める割合は45.5%と上昇傾向で推移しており、牛肉サプライチェーンにおけるフィードロット部門の重要性は、より高まっていると言える。
(注2)詳細については、海外情報「26年3月末のフィードロット飼養頭数は163万頭と過去最高を記録(豪州)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_004362.html)をご参照ください。
26年4月の牛肉輸出量は堅調、中韓セーフガードの発動間近
豪州農林水産省(DAFF)によると、2026年4月の牛肉輸出量は14万943トン(前年同月比10.8%増)と、休日などによる稼働日数減の影響はあったものの、引き続き堅調に推移している(表)。
輸出先別に見ると、特に米国、中国、韓国向けが輸出の伸びをけん引している。米国向けは4万1173トン(同10.6%増)と、かなりの程度増加しており、引き続き安定した需要が見込まれている。
中国向けは、2万9583トン(同37.1%増)と大幅に増加した。中国商務省の告示によると、26年5月16日時点の1月からの豪州産牛肉輸入量は同国に対するセーフガード(以下「SG」という)枠(20万5000トン)
(注3)の80%に到達しており、6月中旬にもSG発動が見込まれている。また、報道によると、豪州連邦政府は中国当局と5月中旬に協議を行い、冷蔵牛肉のSG対象からの除外、他国の未使用割当枠の再配分といった制度見直しを要望したとされており、今後の措置見直しの動向に注目が集まっている。
また、韓国向けも、2万2365トン(同11.4%増)とかなり大きく増加した。韓豪FTAによる牛肉貿易において、26年5月29日時点の1月からの豪州産牛肉輸入量は、同国に対するSG枠(19万6050トン)
(注4)の79%に到達しており、これまでで最速となる7月中のSG発動が見込まれている。
なお、日本向けについては、2万504トン(同4.4%減)とやや減少している。豪州メディアが日本の輸入業者に取材したところ、現在は当面の需要分のみを輸入しており、中韓に対するSGが発動し、日本に供給が振り向けられるのを待っている状況とコメントしたと報じられている。
(注3)詳細については、海外情報「中国の新たなセーフガード措置に対する豪州の反応(豪州)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_004262.html)をご参照ください。
(注4)詳細については、海外情報 「韓豪FTAは2014年内に発効予定、豪州牛肉産業に恩恵(豪州)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_001150.html)をご参照ください。
(調査情報部)