IRGとメヒシバの連続二毛作体系は、夏作の播種を完全に省略できるため大幅な省力化が可能であり、種子購入費用がかからないことでコストも大幅に削減できる。また、IRG収穫後、すぐにメヒシバが自然発生するため、IRG収穫と夏作播種の作業競合を回避できる利点がある。さらに、夏季の粗飼料を毎年安定的に確保でき、地域の遊休農地の活用にも貢献するなど、多方面にわたる利点を有している。
しかし、連続二毛作体系については、解決しなければならない課題が残っている。
一つ目は、メヒシバは市販の牧草ではないため、種子を購入できない点である。メヒシバは、全国の路傍や空き地など、どこにでも見られるありふれた野草であり、遊休農地のように元来農地であった土地を耕起すれば、必ず自然発生する。しかし、長友牧場の圃場でも、メヒシバの単一植生になるには3年程度を要していた。また、南九州には、同じようにIRGの栽培後、自然発生したメヒシバを収穫している生産者は多いが、長友牧場のようにメヒシバ単一の植生になっている圃場ばかりではない。今後、多くの生産者がIRGとメヒシバの連続二毛作体系を利用できるようにするためには、IRG栽培後にメヒシバが優占する要因とメカニズムを解明し、遊休農地から1〜2年でIRGとメヒシバの単一植生に移行させる技術を開発する必要がある。
二つ目は、連続二毛作体系に有利なライグラスの品種選択の必要性である。国内のIRG種子の流通量は、「ガルフ」が4割を占め、圧倒的なシェアを誇っている。その最大の理由は、種子が安価なためである。今回の現地調査研究では「ガルフ」と同じ中生の優良品種「タチムシャ」を比較草種として利用したが、一番草の倒伏程度の違いによって収量が微増したにとどまった。「ガルフ」より種子価格に割高感のある優良品種を生産者が導入するには、「ガルフ」と比較して明確な長所を実感してもらう必要がある。連続二毛作体系では、梅雨入り前の暖地型牧草の播種の期間を省略できることから、中生の「ガルフ」よりも出穂時期が遅く、収量性と再生力に優れる晩生品種の導入についても検討する必要がある。
三つ目は、自給粗飼料の生産量と消費量のバランスが崩れ始めている点である。長友牧場では、生産した粗飼料を自らが飼養している家畜に給与するだけでなく、地域の畜産農家に低価格で販売している。農地を使ってほしいという要望は年々増えているが、作付けを行う手が回らなくなってきていた。また、地域の畜産農家の廃業が増加してきたため、粗飼料の生産量を上げても売り先が減少してきていた。この問題は、宮崎県だけでなく、全国的な傾向であると考えられることから、農地の保全と自給飼料の消費先の確保のバランスをいかに保っていくかが、今後の粗飼料生産と消費の重要な課題となるであろう。
参考文献
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