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国内需給【食肉の需給動向】畜産の情報 2026年8月号

食肉販売動向(令和7年度下半期実績見込みおよび令和8年度上半期見通し)について

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畜産振興部 畜産流通課

【要約】

 令和7年度下半期の卸売業者の取扱状況は、前期(7年度上半期)と比較して、牛肉全体では、「同程度」が最も多くなった。品目別に見ると、すべての区分で「同程度」が最も多くなった。和牛は「小売向け需要の増加」などから「増加」が4割以上を占めた一方、乳用牛は「他畜種/品種との需要シフト」、輸入品(冷蔵・冷凍)は「相場高」などから「減少」が「増加」を上回った。
 小売業者(量販店)では、国産豚肉が「販促強化」、国産鶏肉が「消費者の低価格志向」などから「増加」となった一方、輸入牛肉が「原価高」などから「減少」となった。また、小売業者(食肉専門店)では、すべての区分で「同程度」が最も多い中、和牛、交雑牛、乳用牛、国産豚肉・鶏肉で「増加」が「減少」を上回った一方、輸入牛肉・豚肉・鶏肉で「減少」が「増加」を上回った。

1 調査概要

 当機構では、食肉の販売動向を把握するため、年に2回、主要な食肉の卸売業者および小売業者の協力を得て、食肉の取り扱いや販売見通しに関する調査を実施している。
 今回、令和8年4月に公表した「食肉販売動向調査結果(2026年度上半期公表)」から、7年度下半期(7年10月〜8年3月)の実績見込みおよび8年度上半期(8年4〜9月)の見通しの一部について、報告する。なお、本調査は、8年2月2〜20日にかけてアンケート方式により実施したものである。

2 卸売業者における食肉の取扱状況

 令和7年度下半期の卸売業者における食肉の取扱状況(重量ベース。以下同じ)について、前期(7年度上半期。以下同じ)と比較した結果は、次の通りであった。
 

(1)牛肉

 牛肉全体では、「同程度」が50.0%と最も多い中、「減少」が「増加」を10.0ポイント上回った(図1)。減少理由としては、「相場高」が最も多く、次いで「小売向け需要の減少」、「消費者の低価格志向」が挙げられた。
 品目別に見ると、すべての区分で「同程度」が最も多い中、和牛は「増加」が4割以上を占めた一方で、乳用牛および輸入品(冷蔵・冷凍)はそれぞれ「減少」が「増加」を上回った。なお、和牛は「減少」がゼロ、乳用牛は「増加」がゼロであった。
 増加理由については、和牛は「小売向け需要の増加」が最も多く、次いで 「外食向け需要の増加」、「他畜種/品種との需要シフト」、「補助事業の活用」が挙げられた。一方、減少理由については、乳用牛は「他畜種/品種との需要シフト」、輸入品(冷蔵・冷凍)は「相場高」がそれぞれ最も多く挙げられた。
 


 

(2)豚肉

 豚肉全体では「同程度」が50.0%と最も多い中、「増加」が「減少」を30.0ポイント上回った(図2)。
 品目別に見ると、国産豚肉は「増加」が最も多かった。また、輸入品(冷蔵)は「同程度」が最も多い中、「増加」が「減少」を上回り、輸入品(冷凍)は「同程度」と「減少」が同率であった。
 増加理由については、国産豚肉で「業務用需要の増加」、輸入品(冷蔵)で「小売向け需要の増加」がそれぞれ最も多く挙げられた。一方、輸入品(冷凍)の減少理由については、「相場高」が多く挙げられた。


3 卸売業者における食肉の仕向け先別販売割合

 令和7年度下半期の卸売業者における食肉の仕向け先別販売割合(重量ベース)は、次の通りであった。
 

(1)冷蔵牛肉

 すべての区分で「量販店・食肉専門店」が最も多かった(図3)。
 なお、「外食店」の内訳を見ると、すべての区分で「焼き肉店」が最も多かった。次位は、和牛で「しゃぶしゃぶ・すき焼き店」、交雑牛で「ファミリーレストラン」、乳用牛で「ステーキ店」および「しゃぶしゃぶ・すき焼き店」、輸入品で「ステーキ店」であった。


 

(2)冷凍牛肉

 和牛、交雑牛および輸入品で「外食店」、乳用牛で「量販店・食肉専門店」がそれぞれ最も多かった(図4)。
 なお、「外食店」の内訳を見ると、和牛、交雑牛および乳用牛で「しゃぶしゃぶ・すき焼き店」、輸入品で「ファストフード」がそれぞれ最も多かった。次位は和牛、交雑牛および乳用牛で「焼き肉店」で、いずれも上位二つで過半数を超えている。一方、輸入品の次位は「ファミリーレストラン」で、上位二つで4割台となっており、他の区分と比較して、仕向け先の割合が分散されている。


 

(3)豚肉

 輸入品(冷凍)を除いたすべての区分で「量販店・食肉専門店」が最も多かった(図5)。輸入品(冷凍)については、「外食店」および「食肉加工業者」が25.0%と最も多かった。
 なお、「外食店」の内訳を見ると、国産品(冷蔵)および輸入品(冷蔵)は「とんかつ・ステーキ店」が、国産品(冷凍)は「焼き肉店」が、輸入品(冷凍)は「ホテル」がそれぞれ最も多かった。


4 小売業者における食肉の取扱状況

 令和7年度下半期の量販店および食肉専門店における食肉の取扱状況について、前期と比較した結果は、次の通りであった。
 

(1)量販店

 国産豚肉・鶏肉は「増加」が最も多かった一方、輸入牛肉は「減少」が最も多かった(図6)。また、乳用牛は「同程度」と「減少」、輸入豚肉は「増加」と「同程度」がそれぞれ同水準となり、それ以外の区分では「同程度」が最も多かった。
 増加理由については、和牛および国産豚肉は「販促強化」、国産鶏肉は「消費者の低価格志向」がそれぞれ最も多かった。一方で減少理由については、乳用牛および輸入牛肉で「原価高」がそれぞれ最も多かった。


 

(2)食肉専門店

 すべての区分で「同程度」が最も多く、和牛、交雑牛、乳用牛、国産豚肉・鶏肉でそれぞれ「増加」が「減少」を上回った一方、輸入牛肉・豚肉・鶏肉でそれぞれ「減少」が「増加」を上回った(図7)。
 増加理由については、和牛は「販促強化」、交雑牛は「消費者の赤身志向」および「景気の状況」、乳用牛は「消費者の赤身志向」、「輸入との需要シフト」、「値上げ/値下げによる影響」、国産豚肉・鶏肉は「消費者の低価格志向」がそれぞれ最も多かった。一方で減少理由については、輸入牛肉は「値上げによる影響」および「原価高」、輸入豚肉・鶏肉は「値上げによる影響」がそれぞれ最も多く挙げられた。


5 小売業者における食肉の販売量の増減見通し

 令和8年度上半期の量販店および食肉専門店における食肉の販売量の増減見通し(重量ベース)について、今期(7年度下半期)と比較した結果は、次の通りであった。
 

(1)量販店

 交雑牛、国産豚肉・鶏肉は「増加」がそれぞれ最も多かった一方、輸入牛肉は「減少」が最も多かった。また、乳用牛は「同程度」と「減少」、輸入鶏肉は「増加」、「同程度」、「減少」がそれぞれ同水準であった。なお、それ以外の区分は、「同程度」が最も多かった(図8)。
 増加理由については、交雑牛、国産豚肉・鶏肉は「販促強化」がそれぞれ最も多く、次位は交雑牛で「消費者の低価格志向」および「原料安」、国産豚肉で「輸入との需要シフト」、国産鶏肉は「消費者の低価格志向」であった。一方で減少理由については、乳用牛および輸入牛肉で「原価高」がそれぞれ最も多かった。

 

(2)食肉専門店

 すべての区分で「同程度」が最も多く、交雑牛、乳用牛、国産豚肉・鶏肉でそれぞれ「増加」が「減少」を上回った一方、和牛、輸入牛肉・豚肉・鶏肉でそれぞれ「減少」が「増加」を上回った(図9)。
 増加理由については、交雑牛、国産豚肉・鶏肉は「消費者の低価格志向」、乳用牛は「消費者の赤身志向」、「値上げ/値下げによる影響」、「原価高/原価安」がそれぞれ最も多かった。一方で減少理由については、和牛は「消費者の低価格志向」、輸入牛肉・鶏肉は「値上げによる影響」および「原価高」、輸入豚肉は「値上げによる影響」がそれぞれ最も多かった。


6 小売業者における食肉の販売拡大に向けた対応

 量販店および食肉専門店における店頭での食肉の販売拡大のための対応について、選択式で回答してもらったところ、次の通りの結果となった。
 

(1)量販店

 各畜種の1位(最多)は、牛肉では「特定の年齢層・家族構成を対象とした商品の品揃えを増やす」、豚肉では「大容量パックの拡充」、鶏肉では「時短・簡便商品の取り扱いを増やす」および「大容量パックの拡充」となった(図10)。
 豚肉および鶏肉において、「大容量パックの拡充」の回答が最も多く、物価上昇が続く中、消費者の生活防衛意識が高まり、その結果としてまとめ買い需要が増加していると考えられる。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大以降の内食需要の高止まりなどから「時短・簡便商品の取り扱いを増やす」も前回調査から引き続き多く挙げられた。一方、牛肉において、1位と2位は前回調査と同様であったが、3位の「時短・簡便商品の取り扱いを増やす」が4位の「差別化商品の取り扱いを増やす」と、前回調査から順位が入れ替わった。


 

(2)食肉専門店

 各畜種の1位(最多)は、牛肉では同率で「差別化商品の取り扱いを増やす」、「低価格部位(モモ肉など)や切り落としを増やす」、「保存性の高い冷凍タイプの商品の品揃えを増やす」、豚肉および鶏肉では「総菜商品の品揃えなどの強化」となった(図11)。
 全体的には「差別化商品の取り扱いを増やす」や「総菜商品の品揃えなどの強化」が多く、競争下における他店との差別化を図る動きが見られた。
 牛肉では前回調査と比較して、「差別化商品の取り扱いを増やす」が2位から1位となった一方、「特定の年齢層・家族構成を対象とした商品の品揃えを増やす」が1位から2位と変動があったものの、おおむね前回と同様の結果となった。


コラム 和牛の販売のための取り組み(量販店)

 本調査では、量販店における和牛の販売のための取り組みについて回答を得たので紹介する。
 量販店における和牛の販売のための取り組み(複数回答)については、1位(最多)が「特売の実施」(85.0%)、2位が同率で「焼肉セット(複数部位、畜種)販売」、「低価格部位や切り落としを増やす」(70.0%)となった(コラム―図1)。
 4位の「ハレの日需要の訴求」の具体的なイベント(複数回答)の内訳を見ると、「年末年始」(93.8%)が最も多く、次いで、「母の日」(81.3%)、「父の日」(75.0%)、「ゴールデンウイーク」および「クリスマス」(68.8%)などとなった。「等級を指定する」の等級(複数回答)の内訳を見ると、「4等級」(66.7%)が最も多く、次いで「5等級」(33.3%)となった。
 



 
 また、量販店が実施している和牛の販売拡大の取り組みについて、販売数量は「数量増加」、「数量維持」、販売単価は「単価上昇」、「単価維持」、「単価低下」として実施方針をスコア化した。散布図(コラム―図2)の上に寄るほど販売単価の上昇を、右に寄るほど販売数量の増加を意図した取り組みとなる。
 これによると、1位(最多)の「特売の実施」は、販売数量および販売単価のスコアは他の項目と比べて高くなく、販売数量と販売単価の「維持」を主な目的とした取り組みとして位置付けられる。特売は集客の目玉としての役割が大きく、他の項目と比較して、数量や販売単価のスコアには現れにくい面があるものと考えられる。
 前回調査では、販売単価維持または販売単価低下を意図する傾向の強まりが見受けられたが、今回はその傾向が弱まり、販売単価の上昇と販売数量の増加が同時に期待されている状況が見受けられる。物価上昇によって生活防衛意識が高まる中でも、消費者が価格以外の価値を求めていることが反映されていると考えられる。


※小売価格の実績・見通しなどを含む調査結果の全体については、機構ウェブサイトにて掲載しております。
https://www.alic.go.jp/r-nyugyo/raku02_000060.html
 
 
 

 
(参考)調査の概要

1 調査方法
   アンケート調査
2 調査対象者数、回収数および回収率
  下表の通り。
3 調査期間
   令和8年2月2〜20日