26年6月の若齢牛価格、継続する降雨を背景に価格の上昇止まらず
豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、肉牛生体取引価格の指標となる東部地区若齢牛指標(EYCI)価格は、直近2026年6月28日時点で1キログラム当たり1019豪セント(1157円:1豪ドル=113.56円
(注1))と、1000豪セントの大台を突破した(図1)。
現地報道によると、5月からの継続的な降雨により牧草の生育状態が良好であることを背景として、牧草肥育業者の需要が高まっており、フィードロット業者と若齢牛の確保競争が激化しているとされている。
一方、今後の見通しについて、次の四半期(7〜9月)は、1)中国の豪州産輸入牛肉に対するセーフガード(以下「SG」という)および韓豪の自由貿易協定(FTA)に基づく豪州産輸入牛肉に対する特別SGの発動、2)中国のブラジル産輸入牛肉に対するSG発動による影響で他市場に仕向けられるブラジル産牛肉との競合−などの不確定要素が多く、牛価格は下落局面に転じる可能性があると報じられている。
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2026年6月末TTS相場。
26年6月第3週のと畜頭数は前年同期比1.7%増、牛価格の上昇が懸念材料
2026年6月第3週の成牛と畜頭数は、15万6022頭(前年同期比1.7%増)と、引き続き高水準で推移している(図2)。
一方、業界関係者によると、牛価格の高値傾向に伴い、現在の肥育もと牛の価格では採算が取れないとして、肥育群の補充を行わないフィードロット業者も出てきているとされており、今後のと畜頭数に影響する可能性がある。
26年5月牛肉輸出量は過去最高を更新も、中国がセーフガード発動
豪州農林水産省(DAFF)によると、2026年5月の牛肉輸出量は15万2438トン(前年同月比17.7%増)と、単月の数値としては過去最高を記録した(表)。
5月の輸出量を輸出先別に見ると、米国向けは4万7034トン(同22.4%増)と大幅に増加しており、引き続き輸出量の約3割を占める最大の輸出先となっている。
米国に次ぐ輸出先となった韓国向けも2万9886トン(同71.7%増)と大幅に増加し、単月の数値としては過去最高を記録した。26年6月29日時点で、韓豪FTAに基づく韓国の豪州産牛肉の輸入に対する特別SG枠
(注2)の消化率は92.3%に達しており、MLAは過去最速のSG発動を見越した輸出業者の積極的な出荷計画が反映されたものと分析している。
三番手の輸出先である中国向けは、2万7187トン(同13.9%増)とかなり大きく増加した。一方、SG発動基準数量を超過したことにより、6月20日から同国に輸入される牛肉に55%の追加関税が課せられたことから、今後の輸出を不安視する見方が広がっている
(注3)。現地報道によると、一部の需要部位は輸入継続の余地があるものの、事実上、対中向け輸出は停止状態にあるとされている。また、この影響は豪州国内にも及んでおり、中国向けの牛肉が国内市場に流入し、特にロイン系などの高級部位の価格に15〜20%の下落が見られるほか、米国や日本など他の輸入先も、今後の価格下落を見込んだ買い控えの動きが出ているとされている。
(注2)詳細については、海外情報「韓豪FTAは2014年内に発効予定、豪州牛肉産業に恩恵(豪州)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_001150.html)をご参照ください。
(注3)詳細については、海外情報「中国、豪州産牛肉に対しセーフガードを発動(豪州)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_004383.html)をご参照ください。
(調査情報部)