5. 日本の主要輸入先国の動向
最終更新日:2010年5月6日
5. 日本の主要輸入先国の動向
2010年5月
2009年における砂糖輸入量のうち、甘しゃ糖・分みつ糖(HSコード1701.11‐190)が128万3443トンと全体の98.8%を占め、そのうち57.8%をタイ、27.3%を豪州、11.7%を南アフリカと、この3カ国で96.8%を占める(財務省通関統計)。
◆タ イ◆
〜2009/10年度は生産減にもかかわらず、輸出は500万トン維持の見通し〜
(1)2010年4月における見通し
2009/10年度(10月〜翌9月)のさとうきび生産量は当初予測の7100万トンから下方修正され、6800〜7000万トンにとどまるとみられる。歩留まりも低下が予測され、砂糖生産量は前年度を下回る726万トンとみられる。一方、輸出量は生産減にもかかわらず、強い白糖需要を背景に前年度並みの500万トンを維持するとみられる。
2010/11年度の生産については、同国で発生している干ばつ被害の影響が懸念されている。インドシナ半島を流れるメコン川流域各国で構成されるメコン川委員会(MRC:The Mekong River Commission)によれば、タイ北部のメコン川水位は1992年の干ばつの影響を受けた1993年以来の低さとなっている。2009年の雨期が通常より1カ月半も早く終了したことに加え、9月以降の降水量が平年を大幅に下回っていることが原因とみられる。
(2)粗糖・白糖貿易状況
2010年2月の輸出量は、日本向けが3万8000トン(前年同月比5%減)とやや減少したものの、インドネシア向けが27万2000トン(同423.1%増)と大幅に増加し、また前年同月には輸出がなかったインド、バングラデシュ向けの輸出がそれぞれ11万3000トン、6万トンとなったことから、全体は65万6000トン(同66.1%増)と大幅に増加した。
2010年3月16日、タイの製糖協会(TSCM:Thai Sugar Millers Corporation)はインドネシアの製糖協会(IRSA:the Indonesian Refined Sugar Association)と了解覚書を締結し、両国の砂糖貿易について双方で協力することで合意した。これにより、今後、タイのインドネシア向け砂糖輸出が加速すると見込まれている。インドネシアは同国の主要輸出先であり、2009年における輸出の約20%はインドネシア向けであった。
資料:LMC “Quarterly Statistical Update” 2010年3月
メコン川委員会HP “News Releases” 2010年3月13日
◆豪 州◆
〜サイクロン被害により、2010/11年度の生産に影響の可能性〜
(1)2010年4月における見通し
3月下旬、サイクロンUluiがクイーンズランド州北東部のマッカイとその周辺地域を襲った。同地域は毎年、900万トン程度のさとうきびを生産し、豪州全体の約26%を占める主要産地である。同州の砂糖生産者組合Canegrowersのプレスリリースによれば、サイクロンによる強風と浸水被害によってさとうきびの歩留まり低下が懸念されるが、その被害規模の正確な把握は、6月末の収穫開始後になるとされる。天候が回復すれば、被害を受けたさとうきびの歩留まりは回復すると見込まれる。一方で、クイーンズランド州では長引く雨期による歩留まりの低下が以前から予測されており、今回のサイクロン被害により、同地域の歩留まりはさらに悪化する可能性もある。
豪州農業資源経済局(ABARE)によれば、2010/11豪州砂糖年度(7月〜翌6月)における生産量は480万トン(前年度比6.2%増)、輸出量は345万トン(同6.2%増)とみられるが、サイクロン被害の状況によっては、今後下方修正される可能性がある。
資料:Canegrowers “Media Releases 2010” 2010年3月22日記事
ABARE “Australian commodities, March quarter”
(2)粗糖・白糖貿易状況
主要な輸出先はアジア諸国であり、最近では韓国、インドネシア向けが増加傾向にある。2008/09年度における両国向けの輸出量は、それぞれ102万9000トン(2001/02年度比80.5%増)、59万トン(同780.6%増)となった。一方、日本向けは減少傾向にあり、2008/09年度における対日輸出量は51万トン(同33.2%減)となった。日本は豪ドル高の影響を受け、輸入先を豪州からタイへシフトした。
2005/06年度以降、同国の生産は干ばつや洪水、病虫害の発生などの影響により低迷し、輸出量も減少傾向にある。消費量は毎年105万トン程度と安定していることから、生産が上向けば、それに伴い輸出も増加するとみられる。
◆南アフリカ◆
〜生産コスト増加により、2009/10年度は減産〜
(1)2010年4月における見通し
2009/10南アフリカ砂糖年度(4月〜翌3月)は終了し、砂糖生産量は大幅な増加が見込まれた当初予測に反して、前年度比10万トン減の235万トンとなった。減産の主な原因は、肥料や除草剤の価格が高騰し、生産者が十分な量を購入することができなかったためである。減産に伴い、輸出も前年度から減少するとみられる。
(2)粗糖・白糖貿易状況
2010年1月の輸出量は1万5000トン(前年同月比78.6%減)と、大幅に減少した。モザンビーク向けが2000トン(同88.2%減)に落ち込んだほか、今年は前年と異なり、韓国向けの輸出が行われなかったことが影響した。韓国は輸入先を南アフリカから豪州にシフトしたとみられる。
資料:LMC “Quarterly Statistical Update” 2010年3月
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