最も一般的な家庭用砂糖製品である。粒径0.1〜0.2ミリメートルの砂糖結晶に、分蜜するときに転化糖(砂糖の一部をぶどう糖と果糖に分解したもの)をコーティングして、しっとり感を出している。ショ糖の含量は、94〜96%で、転化糖の含量は1〜3%である。水分は0.8%とグラニュー糖より多い。そのために保存中に固結しやすい。
上白糖は、家庭で調理用途に利用される。その理由は、転化糖の含量が高いためである。転化糖が加わっていると、ショ糖だけでなくぶどう糖や果糖が加わっているので、甘味に濃さと深みが出る。そのために料理に使うと、仕上がりの味にいわゆるコクが出る。
転化糖に含まれるぶどう糖と果糖は、ともに還元糖に属する。いっぽうショ糖には還元性が無い。糖には、還元性を持つ還元糖と、持たない非還元糖があり、化学的性質が異なる。還元性を持つと、食品の加熱褐変反応であるメイラード反応の原因物質となる。したがって転化糖を含む上白糖を使うと、加熱調理によって、料理に褐色を付けることができる。褐変反応のメイラード反応生成物は、着色物質を生成するだけでなく、最近の研究で料理にコクを出すことも明らかになっている。これが、上白糖が料理に用いられる理由である。
同じく、上白糖は、パンやカステラ、クッキーなどの焼き菓子類に使われるが、その理由は着色のためである。