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地域だより

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最終更新日:2010年8月5日

2010年8月

那覇事務所

 
 
 平成22年7月21日(水)、糸満市米須において、南部地区さとうきび生産振興対策協議会主催による「南部地区さとうきびかん水推進大会」が開催された。
 
 この大会は、さとうきび生育旺盛期の7、8月にかん水を推進し、干ばつによる生育不良での単収低下を防ぐことを目的としている。
 この会には、生産者をはじめとして、製糖企業、JA、役場など約80人の関係者が集まった。
 
 開催に当たり、南部地区さとうきび生産振興対策協議会会長の比屋根方次氏から、「さとうきびは、沖縄県の基幹作物であり、今回のかん水推進大会を期に農家の皆様にかん水を行っていただき、さとうきびの増産につなげていただきたい。」とのあいさつが述べられた。
 
 
 
 また、優良事例として南城市玉城さとうきび生産組合副組合長の大城善徳氏から事例発表があり、この時期のかん水の重要性について「私の畑は、畑のそばに井戸を掘って、かん水チューブでかん水させている。また、井戸が枯渇したときは、市内の下水場を回って水を集めることもある。7、8月のこの時期は、さとうきびの生長期で、きちんとかん水すれば、日に約2センチ伸びる。その結果、昨年の平均単収は9トンを確保した。」とのコメントがあった。
 
 
 続いて、スプリンクラー、かん水チューブ及びトラックに積んだタンクを利用した放水でのかん水の実施方法の実演会が行われた。参加した生産者からは、それぞれの利用方法、利用コストなどの質問があった。かん水についての重要性を改めて認識する機会を提供する大会となった。
 
 
 
 
スプリンクラーの長所:かん水能力は高い
           短所:購入コストが高い
 
かん水チューブの長所:土壌を傷めず、均一にかん水できる
            短所:きびが生長するとかん水にムラができる
 
タンクを利用した放水の長所:圃場の外からかん水できる、コストは安い
               短所:水がかかる範囲が限られる
 

札幌事務所

 
 
 
 平成22年7月23日(金)、札幌市の北農ビルにおいて、NPO法人グリーンテクノバンク・てん菜研究会の主催により、第8回てん菜研究会(技術研究発表会)が道内の農業試験場、糖業関係者など120名の参加の下、開催された。
 
 今回は一般講演のほかに北海道農業研究センターの田口和憲氏による「2009年の多雨・寡照に伴う十勝地域テンサイの湿害調査報告」と題した特別講演が行われた。
 
 平成21年度のてん菜生産実績のうち、単収はヘクタール当たり56.63トン(対前年比▲20%)と過去10年間でみると病害が多発した平成12年に次ぐ2番目の低収となった。その結果、総生産量は作付面積の減少(64,442ヘクタールと対前年1,518ヘクタール減)の影響もあり364万9千トンと過去10年間で最低となった。この原因は、全道的に6〜7月にかけて降雨が多かったことであり、特に十勝地域における降水量が平年比で約3倍となり、芽室研究所の近隣ほ場でも畦間の湿害(滞水)が見られ、生育停滞などが懸念された。
 
 これを受けて道庁から湿害に関する調査依頼があり、十勝地域を中心に幕別、芽室、池田町の計15ほ場(43地点)でてん菜ほ場の現地調査を行ったところ、河川近くの排水不良畑などを中心に生産現場に多大な湿害の被害が認められた。
 
 てん菜の湿害は、これまでも1981年や1993年にも発生しており、収量の年次間差に基づいた解析や被害調査が実施されているが、広範囲に及ぶ定量的な調査事例がなかったことから、衛星リモートセンシング技術(衛星画像情報を用いて、作物の生育情報の把握に有効な技術)により、てん菜の湿害被害マップを作成することとなった経緯が説明された。
 
 その結果、平成21年の十勝地域ではてん菜ほ場の一部に畦間の長期滞水や黒根病の発生などが確認され甚大な被害が確認できたこと、衛星情報のNDVI(Normalized Difference Vegetation Index:植生の分布状況や活性度を示す指標)からてん菜の草丈×SPAD(Soil & Plant Analyzer Development:葉緑素含有指標)値を推定し、湿害が発生したほ場を示す「湿害マップ」が作成できたこと、乾性土壌では有効土層が浅い土壌において湿害の発生が多く、収量低下の要因は水没、枯死、黒根病のほかに養分流出であることが報告された。
 
 講演後の質疑応答の中では、衛星画像は目視よりも劣るものの、草丈×SPAD値から算出される推定値が実物に極めて近いもので、ほ場の状況を把握するには十分であることなど補足説明もあり、今後もこのような技術の活用が期待されるところであるが、土地の特性に合った適切な品種、栽培技術の導入も不可欠であることも同時に指摘していた。
 
 また、この特別講演の前に行われた技術研究発表会(一般講演)では、以下の12件の発表が行われた。
 
1.北海道におけるテンサイ増収の軌跡
〜糖分取引後のテンサイ品種の育種的進歩〜
  (野村技術士事務所 野村信史氏)
 
2.テンサイ黒根病抵抗性に関する汚染圃場を用いた10年間の取り組み
(農研機構北海道農業研究センター 寒地バイオマス研究チーム 田口和憲氏ほか)
 
3.テンサイの収量水準と栽植密度に関する考察
(ホクレン農業協同組合連合会てん菜生産部 原料課 鷹田秀一氏)
 
4.テンサイ直播栽培における風害軽減を目的とした被覆作物栽培方法
〜麦類の同時播種方式〜
(道立総合研究機構農業研究本部北見農業試験場 大波正寿氏)
 
5.テンサイ新品種「パピリカ」の諸特性について
  (ホクレン農業協同組合連合会女満別種子工場農務技術課 小貫大輔氏)
 
6.テンサイ新品種「リボルタ」の特性について
  (北海道糖業株式会社農務部農事技術課長 根津隆治氏ほか)
 
7. テンサイ新品種「リボルタ」を用いた減防除栽培の可能性
  (北海道糖業株式会社農務部農事技術課主任 柏木浩二氏ほか)
 
8.高糖分なテンサイ新品種「北海98号」の特性とその利用について
 (農研機構北海道農業研究センター寒地バイオマス研究チーム 岡崎和之氏ほか)
 
9. テンサイ生産力検定試験にみる移植直後の降雪の影響
 (農研機構北海道農業研究センター寒地バイオマス研究チーム 橋宙之氏ほか)
 
10.テンサイの抽苔・開花へ春化・日長が及ぼす効果
 (農研機構北海道農業研究センター寒地バイオマス研究チーム 黒田洋輔氏ほか)
 
11.テンサイにおけるシロイヌナズナA9プロモーター活性の評価
 (北海道大学大学院農学院 倉田昌幸ほか)
 
12.平成21年の黒根病発生に関する考察
 (日本甜菜製糖株式会社総合研究所農技開発グループ 眞柳正昭氏ほか)
 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:情報課)
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