世界第2位の砂糖輸出国であるタイは、国内の砂糖不足に対応するため、7月中旬に白糖7万4350トンを国際市場から買い付けた。この異例の事態は、国内供給用に割り当てられた砂糖の一部が、2010年はじめの国際砂糖価格高騰時に国外へ流出したことが原因である。
タイ国内の砂糖価格は政府の管理下にあり、卸売価格は1トン当たり約600ドル(5万3688円、1ドル=89.48円)と定められているが、国際価格高騰時にミャンマーなど周辺国の砂糖価格がこれを上回ったため、国内供給用の砂糖が流出し、その結果、現在の砂糖不足が発生している。これを受け、LMCは2009/10年度の輸出量を前月予測から10万トン下方修正し、480万トン(粗糖換算、前年度比5.9%減)とした。
2010/11年度の輸出量については、生産量が750万トン(粗糖換算、前年度比5.6%増)、消費量が250万トン(粗糖換算、同4.2%増)と見込まれることから、500万トン(粗糖換算、同4.2%増)と前年度を上回るとみられる。主要な輸出先はアジア諸国であり、国内供給の不足から2年連続で増加したインド向けは、生産回復に伴い輸入量を減らしているため、輸出先に占める比率は低下するとみられる。
資料:LMC “Monthly Sugar Report, July 2010”