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4. 世界の需給に影響を与える諸国の動向

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最終更新日:2011年6月10日

4. 世界の需給に影響を与える諸国の動向

2011年6月

調査情報部

ブラジル

 
 

(1)2011年5月における生産見通し

〜砂糖生産量、前年度を上回る見込み〜

 米国農務省(USDA/FAS)によると、2011/12ブラジル砂糖年度(5月〜翌4月)のさとうきび収穫面積は889万ヘクタール(前年度比4.7%増)と予測され、さとうきび生産量は6億3100万トン(同2.1%増)と前年度の過去最高記録を上回る見通しである。ただし、単収は、2008年金融危機の影響により2009年および2010年のほ場の更新が低調であったため、前年度から3.8トン減の1ヘクタール当たり71トンと予測されている。さとうきびの増産を受け、砂糖生産量は3960万トン(粗糖換算、同3.8%増)と、過去最高となった前年度からさらに増加する見通しである。エタノール生産量は前年度並みの2740万キロリットル(同0.3%増)と予測されている。

 ブラジルさとうきび産業協会(UNICA)によると、生産の約9割を占める中南部地域では、大半の砂糖・エタノール工場が2011/12年度注の生産を開始した。5月15日までの同地域におけるさとうきび生産量は5670万トン(前年同期比39.5%減)、砂糖生産量は240万トン(同46.7%減)、エタノール生産量は220万キロリットル(同42.3%減)といずれも前年度を大きく下回っている。前年度の干ばつによりさとうきびの生育が遅れ、製糖開始が1カ月遅れた影響とされる。さとうきびの砂糖、エタノールへの仕向け割合は40.13%:59.87%と、前年同期(42.25%:57.75%)に比べエタノール向けが高まった。国内需給のひっ迫によりエタノール価格が高騰し、工場がエタノール生産を優先する傾向が強まったためとみられている。

注:中南部地域の砂糖年度は4月〜翌3月
 
 

(2)貿易状況

〜輸出量は前年度比6.4%増の見込み〜

 2011/12年度の砂糖消費量は、人口増加と食品加工分野の拡大を背景に1260万トン(粗糖換算、前年度比4.6%増)に増加すると見込まれている。増産により、輸出量は前年度からかなり増加の2730万トン(粗糖換算、同6.4%増)と予測されている。

 4月の砂糖輸出量は130万トンと、前月(140万トン)および前年同月(140万トン)のいずれの実績も下回った。今年度の生産開始が遅れた影響とみられている。主要輸出先はロシア、アルジェリア、ナイジェリアであった。

資料:USDA “GAIN Report, Brazil Sugar Annual” 2011/4/14 ブラジルさとうきび産業協会(UNICA) “Media Center” 2011/5/27記事
 
 
 
 

インド

 
 

(1)2011年5月における生産見通し

〜砂糖生産量は前年度比29.1%増の見込み〜

 2010/11インド砂糖年度(10月〜翌9月)の生産は終了しつつある。米国農務省(USDA/FAS)によると、さとうきび収穫面積は481万ヘクタール(前年度比14.5%増)、さとうきび生産量は3億4050万トン(同22.6%増)、砂糖生産量は2670万トン(同29.1%増)と、いずれも前年度から大きく増加する見通しである。

 国際砂糖機関(ISO)によると、4月末までの砂糖生産量は前年同期比24.2%増の2260万トン(白糖換算)に達したとされる。このうち、最大生産地マハーラーシュトラ州では、前年同期比23.8%増の820万トン(白糖換算)となり、最終的には前年度(710万トン)から大幅増加の920万トン(白糖換算)に達すると予測されている。製糖作業はモンスーンによる降雨が始まる6月中旬まで行われる見通しである。一方、ウッタル・プラデーシュ州ではすでに生産が終了した。同州の砂糖生産量は590万トン(白糖換算)と前年度(520万トン)を上回ったが、モンスーン期の降雨が長引き、さとうきびの品質が低下したため当初予測の620万トンには達しなかった。

 USDA/FASは、インドの国内砂糖価格は豊作による供給増で前年度の水準を下回っているものの(図13)、製糖工場から農家への代金支払いに目立った遅延は生じていないことから、農家の生産意欲は引き続き高いと見込む。このため、2011/12年度におけるインドのさとうきび収穫面積は520万ヘクタール(前年度比8.1%増)、さとうきび生産量は3億5000万トン(同2.8%増)に増加し、砂糖生産量も前年度を上回る2830万トン(粗糖換算、同6.2%増)と予測されている。
 
 
 
 

(2)貿易状況

〜輸出量は80万トンの見込み〜

 砂糖需要の約6割は飲料メーカー、製パン・製菓メーカーなどの大口ユーザーが占め、消費量は経済成長と人口増加を背景に年々増加している。2010/11年度は、増産により国内供給が改善されたことも影響し、前年度からかなり増加の2550万トン(粗糖換算、前年度比8.5%増)と見込まれている。

 政府は3月下旬、OGL方式注による国産原料由来の砂糖50万トンの輸出を許可した。インドは今年度において約100万トンの余剰が見込まれることから、同方式による最終的な輸出量は80万トン(粗糖換算)と予測されている。ただし、政府は国内食料価格上昇への懸念から、輸出の追加には慎重ともされる。

 2011/12年度の消費量は、前年度の経済成長率が8.5%、人口増加率が1.8%との見込みから、2650万トン(粗糖換算、前年度比3.9%増)に増加すると予測されている。輸出量は、増産見込みを受け、前年度比約2.3倍の180万トン(粗糖換算)に増加の見通しである。

資料:ISO “Market Report & Press Summary, April” USDA “GAIN Report, India Sugar Annual” 2011/4/15
注:OGL(Open General Licence)とは、登録を行った業者に対し、個別のライセンスを取得せずに輸出を許可する制度。
 
 

中国

 
 

(1)2011年5月における生産見通し

〜砂糖生産量は前年度並みの1130万トン〜

 中国における砂糖生産の約9割は南部で生産されるさとうきびを原料とし、残りは北部のてん菜に由来する。2010/11中国砂糖年度(10月〜翌9月)の生産はほぼ終了した。米国農務省(USDA/FAS)によると、さとうきび収穫面積は、前年度の砂糖価格高騰による作付け増加を受け178万ヘクタール(前年度比4.8%増)、さとうきび生産量は1億2400万トン(同7.3%増)に増加の見通しである。しかし、甘しゃ糖生産量は、夏季の干ばつや昨年12月から1月にかけて発生した寒害の影響によりさとうきびの糖度が低下したため、前年度からやや減少の1040万トン(粗糖換算、同3.1%減)と予測されている。

 同年度のてん菜収穫面積は26万ヘクタール(前年度比39.8%増)、てん菜生産量は980万トン(同36.5%増)と、いずれも前年度から大幅な回復が見込まれる。このため、てん菜糖生産量は90万トン(粗糖換算、同32.4%増)と、前年度から大幅な増加が予測されている。

 これらのことから、中国全体の砂糖生産量は前年度並みの1130万トン(粗糖換算、前年度比1.1%減)と見込まれている。

 2011/12年度のさとうきび収穫面積は、砂糖価格が高水準で推移していることを背景に、187万ヘクタール(前年度比5.1%増)に増加すると見込まれている。天候が良好なことから、さとうきび生産量は1億3000万トン(同4.8%増)、甘しゃ糖生産量は1100万トン(粗糖換算、同5.4%増)といずれも増加が予測されている。一方、てん菜収穫面積は28万5000ヘクタール(同9.6%増)、てん菜生産量は1100万トン(同12.2%増)、てん菜糖生産量は100万トン(粗糖換算、15.9%増)と前年度に引き続き増加すると見込まれている。中国全体の砂糖生産量は前年度からかなり増加の1200万トン(粗糖換算、同6.2%増)と予測されている。
 
 

(2)貿易状況

〜輸入量は前年度比18.6%増の見込み〜

 2010/11年度の砂糖消費量は、砂糖価格の高騰により食品・飲料メーカーなどの大口ユーザーを中心に需要が異性化糖などへシフトしていることから、1390万トン(粗糖換算、前年度比2.8%減)に減少すると予測されている。政府は国内価格の上昇を抑制するため、今年度において4回にわたり合計77万トン(白糖換算)の国家備蓄を放出した。なお、前年度においては、8回にわたり合計171万トン(白糖換算)が放出されている。

 消費量は減少が見込まれるものの、依然生産量を大きく上回り、また、前年度からの放出により国家備蓄も減少していることから、輸入量は前年度から大幅増加の180万トン(粗糖換算、前年度比18.6%増)と予測されている。2011年3月の粗糖・白糖輸入量は、国際価格の下落が影響し、4万5000トンに増加した。輸入先の大半はキューバであった。

 2011/12年度の砂糖消費量は前年度から微減の1360万トン(粗糖換算、前年度比2.2%減)、輸入量は前年度並みの190万トン(粗糖換算)と予測されている。

資料:USDA “GAIN Report, China Sugar Annual” 2011/4/15
 
 
 
 
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