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5. 日本の主要輸入先国の動向

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最終更新日:2012年4月10日

5. 日本の主要輸入先国の動向

2012年4月

調査情報部
 

 2011年における砂糖輸入量のうち、甘しゃ糖・分みつ糖(HSコード1701.11−190)は149万9581トンと、全体の97.7%を占める。そのうち、タイ(71.5%)、豪州(17.0%)、南アフリカ(2.0%)と、この3ヵ国で90.5%を占める。(財務省「貿易統計」)

タイ

 
 

(1)2012年3月における生産見通し

〜前年度を大幅に上回る製糖ペースで、砂糖生産量は1040万トンとなる見通し〜

 2011/12タイ砂糖年度(10月〜翌9月)のさとうきび収穫面積は、さとうきびの工場買入価格が高く設定されたことによる作付け増加を受け、129万ヘクタール(前年度比2.6%増)に増加するとみられる。一部で生産量の影響が懸念されていた主産地の東北部で発生した出穂については、被害が限定的であった。さとうきび生産量は9600万トン(同0.1%増)と、前年度並みに留まると予測される。

 一方、製糖工場は、前年度に製糖作業の終了が雨季近くにまでずれ込み、産糖量の低下を招いたため、最も早いところで前年度より2週間早い11月15日から製糖を開始した。また、工場側は、雨季に入るまでに製糖作業を終了させるため、製糖ペースを早めており、3月14日時点で砂糖生産量は844万トン(粗糖換算、前年同期比17.6%増)に達している。

 2011/12年度のさとうきび生産量は前年度並みであるが、収穫ペースを早めたことで前年度よりもさとうきびの糖度が高い時期での製糖が可能となることから、砂糖生産量は過去最高の1040万トン(粗糖換算、前年度比4.0%増)に達すると予測される。
 
 

(2)貿易・政策動向等

〜輸出量は前年度比27.7%増の780万トンの見込み〜

 2011/12年度の砂糖消費量は、前年度から4.0%減の260万トン(粗糖換算)となる見通しである。これは、OCSB(さとうきび・砂糖委員会事務局)が、2011/12年度の国内向け割当量を前年度から10万トン減らし、240万トン(白糖換算)に設定したためである。近年この割当量は、近隣諸国への不正輸出を見込んで、実際の国内消費量より多めに設定されてきた。しかし、OCSBは、国際相場の下落と国境付近の監視強化により不正輸出が抑制されているとし、2011/12年度の国内向け割当量を引き下げた。

 一方、輸出量は、国内向けの割当量を引き下げたことによる輸出余力の増加や期首在庫量を勘案すると、過去最高の780万トン(粗糖換算、前年度比27.7%増)となる見込みである。

 1月の粗糖・白糖輸出量は、製糖作業が本格化し、供給量が増加したことを受けて、52万8000トン(前月比52.6%増)となった。主要輸出先はインドネシア、マレーシアなどのアジア諸国のほかイラクなどの中東諸国であった。

資料:LMC “Monthly Sugar Report, March 2012”
 
 

豪州

 
 

(1)2012年3月における生産見通し

〜砂糖生産量は前年度から1割増〜

 2011/12豪州砂糖年度(7月〜翌6月)のさとうきび収穫作業は、2月に終了した。さとうきび収穫面積は、38万ヘクタール(前年度比24.2%増)と、大量の刈り残しが発生した前年度と比べて、大幅に増加した。しかしながら、砂糖生産量は390万トン(同9.4%増)と、450万トン以上で推移していた2009/10年度以前と比較すると、低水準にとどまるとみられる。これは、広範囲に及ぶ刈り残しのさとうきびの影響や、日照不足やサイクロン「ヤシ」の被害によるさとうきびの生育不良などから、さとうきびの単収が前年度より低下したためである。

 豪州農業資源経済科学局(ABARES)は3月上旬、2012/13年度の砂糖生産見通しを公表した。これによると、砂糖生産量は、前年度をかなり大きく上回る425万トンと予測される。増産の要因として、ABARESは、収穫面積の増加が見込まれることや、さとうきびの品質および単収が平年の水準に近づくとの予測を挙げている。
 
 

(2)貿易・政策動向等

〜11/12年度の輸出量は280万トンの見込み〜

 2011/12年度の砂糖消費量は110万トン(粗糖換算、前年度比1.5%増)と、わずかながら増加が見込まれる。輸出量は、砂糖生産量の増加を反映して、280万トン(粗糖換算、同10.6%増)とかなりの程度の増加が見込まれる。しかし、過去5年平均(340万トン)と比較すると、依然として低水準である。

 2012/13年度の砂糖輸出量についてABARESは、砂糖生産量が増加することから前年度からかなり増加の300万トンと予測している。

資料:LMC “Monthly Sugar Report, March 2012
 
 

南アフリカ

 
 

(1)2012年3月における生産見通し

〜砂糖生産量は前年度比5.5%減の見込み〜

 2011/12南アフリカ砂糖年度(4月〜翌3月)の生産は終了した。同年度のさとうきび収穫面積は27万ヘクタール(前年度比2.1%減)と前年度からわずかに減少したが、単収が増加したため、さとうきび生産量は1700万トン(同6.1%増)に増加の見通しである。しかしながら、糖度が低下したため砂糖生産量は200万トン(粗糖換算、同5.5%減)と、4年連続の減少が見込まれている。糖度の低下は、前年度の干ばつの影響により2011/12年度に収穫されるさとうきびが生育不良となり、一部のほ場で植え替えを行った結果、生育期間が短くなり、登熟前に収穫されるさとうきびが増加したためとされる。なお、同国の業界関係者は、2012/13年度の砂糖生産は前年度から回復すると見込んでいるが、2012年の1、2月が非常に乾燥した天候となり、さとうきびの生育への悪影響が懸念されるため、生産回復は依然として不透明な状況となっている。
 
 

(2)貿易・政策動向等

〜輸出量は30万トンに減少の見通し〜

 2011/12年度の砂糖消費量は、前年度からわずかに増加の180万トン(粗糖換算、前年度比2.0%増)と予測されている。砂糖生産量は前年度をさらに下回るとの見込みから、輸出量は30万トン(粗糖換算、同33.6%減)に減少の見通しである。これは、2009/10年度以前の3割程度の水準である。なお、2011年12月の粗糖・白糖輸出量は前年同月比34.5%減の1万1000トンとなり、主要輸出先はジンバブエ、モザンビーク、マダガスカルなどのアフリカ諸国であった。

 南アフリカは、主として自国を含む南部アフリカ関税同盟(SACU)に対して砂糖を供給しているが、一部の砂糖は価格がSACU加盟国を上回るジンバブエやアンゴラなどの近隣諸国に流出したとされる。これによるSACU域内での供給不足を補うため、南アフリカは2011/12年度において、ブラジルから粗糖5万トンを輸入したとみられる。

 南アフリカの砂糖産業は砂糖法によって規制されている。政府は、2001年に国内市場での競争を促進するため砂糖法の見直しを行うと発表したものの、それ以降大きな進展はみられなかった。しかしながら、新法をめぐる業界関係者の数年に及ぶ議論は決着に近い段階にあるとされ、業界関係者は今後2カ月以内に政府に新法案に向けた提案を行う見通しである。このなかで業界関係者は、さとうきび価格の設定方法の変更などを提案するとみられている。

資料:LMC “Monthly Sugar Report, March 2012”
注:ボツワナ、レソト、ナミビア、南アフリカ、スワジランドの5カ国による関税同盟。加盟国のうち砂糖を生産するのは南アフリカとスワジランドの2カ国のみ。
 
 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713