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4.世界の需給に影響を与える諸国の動向

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最終更新日:2012年11月9日

4.世界の需給に影響を与える諸国の動向

2012年11月

調査情報部

ブラジル

 
 
【生産見通し】
砂糖生産量は前年度比1.9%減の見込み


 2012/13ブラジル砂糖年度(4月〜翌3月)のさとうきび収穫面積は前年度からわずかに減少し、818万ヘクタール(前年度比2.8%減)と予測されている。これは、新植ペースの上昇により今年度は収穫されないほ場が多いとの見込みに基づく。さとうきび生産量については、単収が当初予測を上回るとみられることから、ほぼ前年度並みの5億6100万トン(同0.1%増)と、前月予測から1700万トン上方修正された。これを受け、砂糖生産量は前月予測を141万トン上回る3864万トン(粗糖換算、同1.9%減)と見込まれ、前年度比の減少幅は縮小した。

 主産地中南部では、前年度の乾燥した天候によるさとうきびの生育遅れや4〜6月の平年を上回る降雨の影響を受け、収穫作業に遅れが生じている。7月から9月初めにかけては乾燥した天候が続き、収穫ペースも回復したものの、ブラジルさとうきび産業協会(UNICA)によれば、年度開始から10月16日までの同地域におけるさとうきび収穫量は4億1935万トン(前年同期比4.0%減)、砂糖生産量は2679万トン(粗糖換算、同3.7%減)、エタノール生産量は167億4420万リットル(同7.8%減)と、依然として前年度を下回っている。
 
 
【貿易・政策動向等】
輸出量は前年度比3.7%減の見通し


 2012/13年度の砂糖消費量は、前年度からわずかに増加の1344万トン(粗糖換算、前年度比1.9%増)と見込まれている。輸出量は、生産量の上方修正を受け、前月予測を141万トン上回る2520万トン(粗糖換算、同3.7%減)と予測され、減少幅は縮小した。2012年9月の粗糖・白糖輸出量は、主産地中南部の製糖遅れの影響を受け、前年同月比5.6%減の264万1000トンとなった。主要輸出先はインドネシア、アラブ首長国連邦、中国であった。

資料:LMC “Monthly Sugar Report, October 2012” ブラジルさとうきび産業協会(UNICA)プレスリリース 2012/10/24
 
 

インド

 
 
【生産見通し】
砂糖生産量は前年度比5.7%減の見込み


 2012/13インド砂糖年度(10月〜翌9月)のさとうきび収穫面積は514万ヘクタール(前年度比3.2%増)に増加が見込まれているものの、さとうきび生産量は前年度からかなりの程度減少し、3億2802万トン(同6.6%減)と予測されている。この減少は、株出し回数の増加や降雨不足の影響により単収の低下が見込まれるためとされる。さとうきび生産量に大きな影響力を持つモンスーン期の降雨量は、モンスーン期前半の降雨が不足した影響を受け、9月20日時点で過去50年間の平均を5%下回っている。中でも、西部のマハーラーシュトラ州では深刻な降雨不足により砂糖生産量は前年度から25%減少するとみられている。ただ、北部のウッタル・プラデーシュ州ではさとうきびの作付けが増加した上、降雨不足の影響も軽微にとどまっていることから砂糖生産量の大幅な増加が見込まれ、マハーラーシュトラ州の減産をある程度相殺するとみられている。インド全体の砂糖生産量は、さとうきびの糖度が前月予測を上回るとの見込みから43万トン上方修正され、2653万トン(粗糖換算、同5.7%減)の見通しとなっている。
 
 
【貿易・政策動向等】
2012/13年度は201万トン輸出の見通し


 2011/12年度の砂糖消費量は、前年度からわずかに増加の2478万トン(粗糖換算、前年度比2.2%増)と予測されている。輸出量は、前月予測から25万トン下方修正され、316万トン(粗糖換算、同10.9%増)と見込まれている。この下方修正は、7月中旬以降に国内価格が上昇したことを受け、製糖業者が輸出市場よりも国内市場を優先したことによる。政府は同年度において2回にわたり合計200万トンの砂糖輸出を許可し、さらに、5月上旬に砂糖輸出の制限を一時的に解除した。

 2012/13年度の砂糖消費量は、前年度からやや増加の2528万トン(粗糖換算、同2.0%増)と見込まれている。減産が予測されているものの、生産量は消費量を上回るとみられ、さらに、在庫水準も高いことから輸出量は201万トン(粗糖換算、同36.3%減)と見込まれ、インドは前年度に引き続き純輸出国になるとみられている。

資料:LMC “Monthly Sugar Report, October 2012”
 
 

中国

 
 
【生産見通し】
さとうきびの増産により、砂糖生産量は前年度比12.5%増の見込み


 中国における砂糖生産の約9割は南部で生産されるさとうきびを原料とし、残りは北部のてん菜に由来する。2012/13中国砂糖年度(10月〜翌9月)のさとうきび収穫面積は前月予測から4万ヘクタール引き上げられ、162万ヘクタール(前年度比3.0%増)とみられている。これを受け、さとうきび生産量は9503万トン(同6.2%増)、甘しゃ糖生産量は1292万トン(粗糖換算、同13.8%増)と前月予測からそれぞれ279万トン、50万トン上方修正された。国内砂糖生産の約7割を占める広西チワン族自治区では、さとうきびの作付けが増加した上、良好な天候により生育が順調なことから、砂糖生産量は前年度に比べ100万トン以上増加すると見込まれている。

 今年度の製糖が開始されたてん菜の生産量については、前年度からやや減少し、873万トン(同3.5%減)と予測されている。これは、天候に恵まれた前年度に比べ、単収が低下するとみられるためである。ただ、糖度の上昇が予測されることから、てん菜糖生産量はほぼ前年度並みの109万トン(粗糖換算、同0.4%減)と見込まれている。

 これらのことから、2012/13年度における中国全体の砂糖生産量は前月予測を50万トン上回る1401万トン(粗糖換算、同12.5%増)と、前年度からかなり大きく増加の見通しとなっている。
 
 
【貿易・政策動向等】
2012/13年度の輸入量は前年度から大幅減少の見通


 2011/12年度の砂糖消費量は1489万トン(粗糖換算、前年度比1.5%増)に増加し、前年度に引き続き国内生産量を上回るとみられている。国内供給の不足と政府による備蓄積み増しを背景に、2012年8月の粗糖・白糖輸入量は前年同月比37.5%増の58万3000トンとなり、月間輸入量としては過去最高水準となった。なお、輸入の大半はブラジル産であった。同年度の最終的な輸入量は前年度から倍増し、464万トン(粗糖換算、同101.7%増)と見込まれている。

 2012/13年度について、消費量は1522万トン(粗糖換算、同2.2%増)に増加の見通しとなっている。輸入量は、増産が見込まれる上、在庫水準が高く国内供給は豊富とみられることから129万トン(粗糖換算、同72.3%減)と、前年度から大幅な減少が予測されている。なお、輸入量の予測値は生産量の上方修正を受け、前月から50万トン引き下げられた。

 政府は、9月20日に2011/12年度において2回目となる国内市場からの砂糖買い上げを実施した。最低買付価格はトン当たり6200元(約7万8740円:1元=12.7円注)、数量は50万トンと設定された。2回目の買い上げは1日で完了し、3カ月を要した1回目とは対照的となった。これは、国内の砂糖卸売価格が2010年10月以来の安値水準となっていることが背景とみられる。政府による買い上げは、国内砂糖価格の下落を抑制し、生産者の作付け意欲を維持することが目的とされる。

資料:LMC “Monthly Sugar Report, October 2012”  注:9月20日TTS相場
 
 
 
 
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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