4.世界の需給に影響を与える諸国の動向
最終更新日:2013年7月10日
4.世界の需給に影響を与える諸国の動向
2013年7月
ブラジル
【生産見通し】
2013/14年度砂糖生産量は前年度比2.8パーセント増の見込み
生産の約9割を占める中南部地域では、2013/14砂糖年度(4月〜翌3月)の収穫が4月に開始された。同年度におけるブラジル全体のサトウキビ収穫面積は、889万ヘクタール(前年度比4.8%増)に増加の見通しである。一方、サトウキビの単収は、2年連続で低水準となったが、同年度は1ヘクタール当たり73.5トン(同5.9%増)と回復の見込みである。収穫面積拡大と単収の増加により、今年度のサトウキビ生産量は、6億5380トン(同11.0%増)と前年度から大幅な増加が見込まれている。
サトウキビの増産見通しから、砂糖生産量は4133万トン(粗糖換算、同2.8%増)に増加と見込まれている。今年度から8つの製糖工場が新たに稼働し始めたことから、中南部地域では計268の製糖工場が稼働することとなった。
ブラジルサトウキビ産業協会(UNICA)によると、4〜5月末までの同地域におけるサトウキビ圧搾量は1億1611万トン(前年同期比64.0%増)、砂糖生産量は561万トン(同59.0%増)、エタノール生産量は482万キロリットル(同84.6%増)と、いずれも前年度に比べ2倍近い水準に達した。また、トン当たりの回収糖分の値(TRC)は、121.45キログラム(同5.8%増)となった。サトウキビ収穫が開始された4月初旬は、降雨により収穫が遅れ気味となっていたものの、中旬以降は、産地で乾燥した天候が続いたため、収穫作業は長雨により収穫が遅れた前年度に比べ進んでいる。
【貿易・政策動向等】
北東部の干ばつ被害に対し、政府は支援金の給付を決める
2013/14年度の輸出量は増産が予測されることから、2831万トン(粗糖換算、前年比3.9%増)と見込まれている。2013年4月の粗糖・白糖輸出量は、169万トン(前年同月比206.9%増)となった。輸出の増加要因として、天候不順などの影響により2012/13年度初めの輸出ペースが低調であった反動とみられる。主要輸出先はアラブ首長国連邦、アルジェリア、インドであった。
政府は、国内のサトウキビ生産量の1割を占める北東部地域で、干ばつの被害にあったサトウキビ農家に対し、1億2500万レアル(約56億6300万円)の支援金を給付することを決めた。被害にあったサトウキビ収穫量1万トンを上限に、1農家あたり、トン当たり12レアル(約544円/トン)が支給される。この地域は降雨が少ないため、度々干ばつの被害を受けてきた。2008/09年度の干ばつ被害の際も、政府は同5レアル(約230円)を農家に支給している。
資料:Agra CEAS Consulting “WORLD SUGAR SUPPLY BALANCE, PRICE AND POLICY TREND ANALYSIS, JUNE 2013”
注:1レアル=45.3円 6月24日TTS相場
インド
【生産見通し】
2012/13年度の砂糖生産量は、前年度比4.8パーセント減の見込み
2012/13年度(10月〜翌9月)におけるインド全体のサトウキビ生産量は、作付けの増加により3億7016万トン(前年度比3.4%増)と増加が予測されている。一方、糖度が前年度を下回っているため、砂糖生産量は2725万トン(粗糖換算、同4.8%減)に減少との見通しである。インド製糖協会(ISMA)によると、4月末に製糖を行っている工場は、国内522工場のうち45工場(前年度同期は100工場)となり、同年度の製糖は終了しつつある。4月末までのサトウキビ圧搾量は2億4300万トンで、砂糖生産量は2452万トン(白糖換算、前年同期比3%減)となった。また、同期までの歩留りは、前年度から0.2パーセント低下し、10.1パーセントとなった。同国で最大の砂糖生産地であるマハーラーシュトラ州では、4月末までのサトウキビ生産量は6990万トンで、砂糖生産量は797万トン(白糖換算、同11.4%増)と増加した。製糖が終了目前のウッタル・プラデーシュ州では、4月末までのサトウキビ生産量は8080万トン(同9.1%増)で、砂糖生産量は743万トン(白糖換算、同9.2%増)と増加した。既に製糖が終了しているカルナータカ州では、砂糖生産量は336万トン(白糖換算、同13.2%減)と、糖度の低下により前年度から減少した。製糖がまだ行われているタミル・ナードゥ州では、砂糖生産量は158万トン(白糖換算、同1.0%減)であった。
2013/14年度のサトウキビ生産量は、作付面積の拡大から3億7349万トン(前年度比0.9%増)、砂糖生産量は2750万トン(粗糖換算、同0.9%増)と見込まれている。
【貿易・政策動向等】
2012/13年度の輸出量は前年度から大幅減の見通し
2012/13年度の輸入量は、モンスーン期の降雨不足による減産予測から製糖開始前の国内価格が高騰したことで、140万トン(粗糖換算、前年度比480.9%増)と大幅増が予測されている。
一方で、今年度の輸出量は、110万トン(粗糖換算、同70.1%減)と前年度から大幅減の見込みである。輸出量の大半は、輸入粗糖を精製した後、再輸出されるとみられている。2013年3月の粗糖・白糖輸出量は、5万9000トン(前年同月比84.6%減)となり、主要輸出先はアラブ首長国連邦、チュニジア、ソマリアであった。
資料:Agra CEAS Consulting “WORLD SUGAR SUPPLY BALANCE, PRICE AND POLICY TREND ANALYSIS, JUNE 2013”
中国
【生産見通し】
2012/13年度の生産量は、前年度比7.8パーセント増の見込み
国内砂糖生産の約9割を占める南部のサトウキビ生産地である広西自治区と雲南省では、現在、多くの製糖工場が稼働を終えて、2012/13年度(10月〜翌9月)製糖は終了しつつある。北部のてん菜生産地では、既に同年度の製糖が終了している。4月末までのサトウキビ生産量は1億1819万トン(前年同期比13.1%増)、てん菜生産量は109万トン(同7.7%増)、砂糖生産量は1290万トン(白糖換算、同12.7%増)といずれも前年同期を上回った。今年度における中国全体の最終的な砂糖生産量は、1350万トン(粗糖換算、前年度比7.8%増)が見込まれている。
2013/14年度の砂糖生産量は、原料作物の増産が見込まれることから、前年度からわずかに増加し、1375万トン(粗糖換算、同1.9%増)と予測されている。
【貿易・政策動向等】
2012/13年度輸入量は、前年度から大幅な減少見込み
2012/13年度の輸入量は、270万トン(粗糖換算、前年度比37.1%減)と前年度から大幅な減少が見込まれている。2013年4月の粗糖・白糖輸入量は、36万トン(前年同月比8.8%増)となり、主な輸入先はグアテマラ共和国、ブラジル、キューバであった。
資料:Agra CEAS Consulting “WORLD SUGAR SUPPLY BALANCE, PRICE AND POLICY TREND ANALYSIS, JUNE 2013”
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