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地域だより

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最終更新日:2013年8月6日

伊良部地区さとうきび増産生産者大会の開催について

2013年8月

那覇事務所 井 悠輔
 


  平成25年7月25日(木)、伊良部島の宮古島市伊良部公民館において、伊良部地区さとうきび生産組合主催の増産生産者大会が開催された。

 伊良部地区さとうきび生産組合は伊良部島と下地島の生産者で構成されている。伊良部島は宮古本島から西へ約4キロメートルの海上に浮かぶ島であり、下地島は伊良部島の西隣に位置し、6本の橋で繋がっている。
 
 生産者大会には、さとうきび生産者、JA、糖業および行政などのさとうきび関係者約1,000名が参加した。

 宮古地区全体(宮古島本島、伊良部地区および多良間島)の平成24年産のさとうきび生産量は32万5500トン余りで前年期の20万2300トンを大きく上回った。そのうち伊良部地区においても平成24年産のさとうきび生産量は5万2000トン余りと昨年の3万6000トンを大きく上回り、糖度も良く、品質面でも高い実績を上げた。

 しかし、宮古地区全体ではさとうきび生産量38万トンを目標にしていることから、更なる増産に向けた取り組みが必要であり、この目標を達成するためには伊良部地区においてさとうきび生産量7万トンを達成することが必要不可欠と考えられている。

 以上を踏まえ、増産に向けた記念講演とさとうきび増産生産者大会が開催された。

○さとうきび増産に向けた記念講演

 記念講演は、優良農家の事例発表、病害虫の防除、除草剤の使用方法の3つのテーマで行われた。

 優良農家の事例発表では、伊良部島の生産者で、第42回日本農業賞を受賞した平良玄序氏により「さとうきび植付け前の土づくり及び肥培管理について」と題して講演が行われた。同氏は、高単収、高品質を維持するためには、土づくりや苗づくり、植付け後のかん水や施肥などの管理を徹底的に行うことが重要であると述べた。

 病害虫の防除では、一昨年から増加しているメイチュウ類について、沖縄県宮古農業研究センターの島谷真幸氏と砂川喜信氏により、個々の農家が行う防除方法の説明と交信かく乱法による一斉防除の効果について講演が行われた。同氏らは、交信かく乱法により一定の効果が得られることが分かってきたものの、圃場の周りの雑草の管理を徹底するなど、農家1人1人が普段から防除を行うことが重要であることについて述べた。

 除草剤の使用方法では、農薬メーカーにより除草剤の適切な使用時期と量について講演が行われた。
 
○伊良部地区さとうきび増産生産者大会

 生産者大会は主催者である伊良部地区さとうきび生産組合の渡久山毅組合長の「さとうきびがあるから生活ができる。生産量7万トンを早期に達成しよう」という力強いあいさつで始まった。その後、大会スローガンや大会宣言などが決議され、増産に向けた取り組みについて、生産者をはじめとした関係者の意識の統一が図られた。
 
大会スローガン
 
1)伊良部地区のさとうきび生産目標7万トンを達成しよう!
2)優良種苗、優良品種を活用し、生産増収を図ろう!
3)早期の株出し管理を実施し、株出し面積拡大と単収の向上を図ろう!
4)土づくりや肥培管理を徹底し、単収10アール当たり、1tの向上を図ろう!
5)適期春植え、早期株出し管理を実施するため、年内操業は毎年実現しよう!
6)機械化の推進により、効率的な作業体系を確立し、担い手育成と糖業振興の発展を図ろう!
7)TPP交渉参加に断固反対し、地域農業と地域経済を支えるさとうきびを守ろう!
8)さとうきび共済に加入し、安心したさとうきび栽培により、農業経営の安定化を図ろう!

  その後、宮古島市の下地敏彦市長(伊良部支所川満勝彦支所長代読)、沖縄県宮古農林水産振興センターの前田幹男所長の来賓あいさつに続いて、当機構の薄井久雄特産調整部長から「当機構は、今後とも生産者の皆さんが安心してさとうきびを生産できるよう、また、消費者や国民の皆さまに砂糖の価格調整制度を理解していただけるよう努力をしていくので、生産者の皆さんには一本でも多く、少しでも太く長く、少しでも砂糖の多く入ったさとうきびを作っていただきたい」と激励のあいさつがあった。

 また、宮古製糖株式会社の安村勇代表取締役社長から「来年、宮古本島と伊良部島を結ぶ伊良部大橋が開通されるが、当社は地域で生産されたさとうきびは地域で処理することを原則とし、企業としての役割を果たしていきたい」とのあいさつがあった。
 
 今回の生産者大会に参加した生産者の真剣な表情、熱気から伊良部島の生産目標7万トンは近い将来達成できるものと期待される。当機構としては、目標達成に向け生産者が安心してさとうきび生産を行えるよう、交付金の交付業務の適切な運営に努めてまいりたい。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713