最近の砂糖の輸入動向
最終更新日:2013年9月10日
最近の砂糖の輸入動向〜粗糖以外の砂糖の輸入実態を中心として〜
2013年9月
【要約】
砂糖の供給量のうち6〜7割が海外からの輸入によるものであり、そのほとんどが粗糖として輸入され、国内の精製糖工場で精製工程を経てグラニュー糖、上白糖などの製品となる。このほかに、砂糖の輸入量に占める割合はごくわずかであるが、精製糖、角砂糖、砂糖水など粗糖以外の砂糖が輸入されている。近年、この中でも砂糖水の輸入量が増加している。
1.はじめに
わが国の砂糖の消費量は、戦後一貫して伸び続け、昭和48年のピーク時には年間318万トンに達した。しかし、昭和50年代に入り、輸入トウモロコシを主原料として安価な、かつ、甘味において砂糖と同等の異性化糖、特に、甘味の主体となる、果糖分の高い異性化糖の出現と急増により、主として清涼飲料の分野で砂糖の使用が減少した。さらに、近年においては、加糖調製品の輸入の増加、消費者の低甘味嗜好などを背景として砂糖の消費量は減少傾向にあり、最近では年間約200万トンとなっている。
砂糖の供給量のうち6〜7割が海外からの輸入によるものであり、そのほとんどが粗糖としてタイやオーストラリアなどから輸入され、国内の精製糖工場で精製工程を経てグラニュー糖、上白糖などの製品となって市場に供給されている。
このほかに、砂糖の輸入量に占める割合としてごくわずかであるが、直接、消費者などに提供される精製糖、角砂糖、砂糖水など粗糖以外の砂糖が輸入されている。
2.機構売買からみた最近の砂糖の輸入動向
機構売買が必要とされる輸入糖は「指定糖」と呼ばれ、粗糖、精製糖、氷砂糖、角砂糖、特殊糖などがある。このなかでも最も輸入量(機構売買ベース。以下同じ。)が多いのは、前述のとおり「粗糖」であり、最近の輸入量は年間130万トン程度で推移している(表)。一方、直接、消費者などに提供される粗糖以外の指定糖の輸入量は平成20年度の5,000トンから平成24年度には9,000トンと増加傾向となっている。
3.粗糖以外の指定糖の輸入動向
粗糖以外の指定糖のうち、比較的輸入量の多い精製糖、角砂糖、香味着色糖、砂糖水の輸入動向について紹介する。
(1)精製糖
精製糖は「オーガニックシュガー」として輸入されているグラニュー糖が多い。これは消費者の健康志向により、有機農産物や有機農産物を原料とした加工食品の需要が堅調であることによるものと考えられる。
最近のオーガニックシュガーの輸入先はブラジルで、精製糖輸入全体の7〜8割を占め最も多く、次いでアルゼンチンとなっている(図1)。
(2)角砂糖
角砂糖はベルギーワッフル用に使用される粒の小さなものや、四角形ではない独特な形のものが輸入食材店や高級スーパーなどでの販売用として輸入されている。輸入先のほとんどがベルギーとフランスである(図2)。
(3)香味着色糖
香味着色糖は特殊糖に含まれ、甘しゃ糖またはてん菜糖を原料とし、さまざまな色やフレーバーを付加した砂糖である。
最近はテーマパークや映画館などで販売されているポップコーンやチュロス(断面が星形で細長い棒状の揚げ菓子)の風味付けとして利用されることが多い。米国からの輸入が最も多く、香味着色糖の輸入量の9割以上を占めている(図3)。その他に、洋菓子の材料としてフランスからも輸入されている。
(4)砂糖水
砂糖水も特殊糖に含まれ、最近輸入量が急増している。平成24年度の輸入量は平成20年度と比べ約4倍となっている(図4)。
国内のカフェなどでは、バラエティ豊かなドリンクメニューが提供されるようになり、その原料であるフレーバーシロップとしての輸入量が増加している。その他、居酒屋、バーで提供されるカクテル、ショッピングセンターなどのドリンクコーナーで提供されるフルーツジュースの原料用のシロップとして輸入されている。
最近では米国からの輸入が多く、砂糖水輸入量全体の5割以上を占めている。
4.おわりに
最近は消費者の嗜好の多様化、高度化とともに、商品のライフサイクルの短期化が云われている。こうした状況に対し企業は工夫を凝らした個性的な商品の提供に常に努めており、このような動きに伴って輸入される、直接、消費者などに提供される砂糖は少量・多品種化してきていると考えられる。
このように、消費者が多様な価値を継続して求めているせいか、以前に比べて円安傾向となっている最近でも輸入量の減少は見られない。
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