5. 日本の主要輸入先国の動向
最終更新日:2013年10月10日
5. 日本の主要輸入先国の動向
2013年10月
2012年の砂糖輸入量のうち、甘しゃ糖・分みつ糖(HSコード1701.14−110)は140万7174トンと、全体の97.7パーセントを占める。そのうち、タイ(58.6%)、豪州(33.6%)、フィリピン(3.0%)、南アフリカ(2.1%)の4カ国で97.3パーセントを占めている。(財務省「貿易統計」)
タイ
【生産見通し】
2013/14年度の砂糖生産量は3年連続で1000万トン超の見込み
2013/14砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、135万ヘクタール(前年度比0.2%増)と前年度から微増するものの、単収はやや減少見込みとなっていることから、生産量は9731万トン(同2.7%減)と見込まれている(表5)。砂糖生産量は、歩留まりの向上により1064万トン(粗糖換算、同2.8%増)と増加し、3年連続して1000万トンを超える見込みとなっている。
【貿易・政策動向】
2013/14年度砂糖輸出量は、前年度比16.6パーセント増の見込み
2013/14年度の輸出量は、砂糖の増産予測を受け、747万トン(同16.6%増)と前年度から大幅に増加する見込みとなっている。なお、2013年7月の粗糖・白糖輸出量は、90万トン(前年同月比15.7%減)となり、主要輸出先はスーダン、インドネシア、カンボジアであった(図14)。
資料:Agra CEAS Consulting “WORLD SUGAR SUPPLY BALANCES, PRICE AND POLICY TREND ANALYSIS, September 2013”
豪州
【生産見通し】
2013/14年度の砂糖生産量は、前年度からわずかに減少する見込み
2013/14砂糖年度(7月〜翌6月)のサトウキビ収穫面積は、36万4000ヘクタール(前年度比1.1%増)で、生産量は3045万トン(同0.2%減)と予測されている(表6)。同国農業資源経済科学局(ABARES)による報告では、バンダバーグ地域における、葉が黄変し根を腐敗させるサトウキビの病気「イエローキャノピーシンドローム(YCS)」の発生と、植え付け時の洪水によるサトウキビ生産への影響があるとしている。しかしながら、いまだ発生メカニズムが解明されていないYCSは、現在のところ、発生は、生産地域内の飛び地で、かつ発生後の大規模な拡散も認められていないことから、被害は限定的という見方が多い。サトウキビ生産量の減少予測を受け、同年度の砂糖生産量は410万トン(粗糖換算、同5.0%減)と前年度から減少する見込みである。また、前述の減産要因により、砂糖生産量は前月予測から2万トン下方修正された。
また、同国サトウキビ生産量の90パーセント以上を占めるクイーンズランド州では、晴天が続き収穫条件も良く、製糖工場の操業も順調であることから、例年よりも1カ月近く早く製糖期間が終了すると同国サトウキビ生産者団体(CANEGROWERS)は予測している。
【貿易・政策動向】
2013/14年度の輸出量は、減産予測により前年度比10.0パーセント減の見込み
2013/14年度の砂糖消費量は、135万トン(粗糖換算、前年度比0.7%増)とわずかに前年度を上回るとされている。輸出量については、生産量の下方修正をうけ、前月予測から3万トン減少し、285万トン(粗糖換算、同10.0%減)と見込まれている(図15)。
資料:Agra CEAS Consulting “WORLD SUGAR SUPPLY BALANCES, PRICE AND POLICY TREND ANALYSIS, September 2013”
フィリピン
【生産見通し】
2013/14年度の砂糖生産量は、前年度並みの見込み
2013/14砂糖年度(9月〜翌8月)のサトウキビ収穫面積は43万ヘクタール、生産量は2500万トンと、どちらも前年度並みとなる見込みである。また、砂糖生産量も前年度並みの254万トン(粗糖換算)と予測されている(表7)。
【貿易・政策動向】
2013/14年度輸出量は、前年度並みの見込み
2013/14年度の砂糖消費量は223万トン(粗糖換算、前年度比1.2%増)、輸出量は30万トン(粗糖換算、同1.3%増)と予測されている。2013年6月の粗糖・白糖輸出量は、7万1000トン(前年同月比317.6%増)で主要輸出先は米国、日本であった(図16)。米国の同年度輸入割当量(TRQ)が決定され、割当国の中で3番目に多いフィリピンは13万8827トン(粗糖換算)と、割当量111万7195トン(同)の12パーセントを占めることとなった。
同国では、砂糖に対し12パーセントの付加価値税(VAT)を免除しているが、国税局(BIR)は歳入増加策として、黒糖以外の砂糖に対し免税措置を解除することを発表した。砂糖業界関係者は、この政策変更により精製糖国内価格が上昇することは必須であり、2015年に予定されているアセアン域内における完全関税撤廃が実行されれば、国内の砂糖産業の存続が危ぶまれると危機感を募らせている。
資料:Agra CEAS Consulting “WORLD SUGAR SUPPLY BALANCES, PRICE AND POLICY TREND ANALYSIS, September 2013”
南アフリカ
【生産見通し】
2013/14年度砂糖生産量は、前年度増の見込み
サトウキビ収穫面積の拡大と単収増の見込みにより、2013/14砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビ生産量は、2014万トン(同16.6%増)と大幅な増加が予測されている。今年度に入ってから天候は良好で、砂糖生産は順調に進んでおり、同年度の砂糖生産量は246万トン(粗糖換算、同18.2%増)と、前年度から増加する予測となっている(表8)。
【貿易・政策動向】
2013/14年度輸出量は、前年度から大幅増の予測
2013/14年度の砂糖消費量は、189万トン(粗糖換算、前年度比2.1%増)、輸出量は54万トン(粗糖換算、同49.0%増)と予測されている(表8)。2013年7月の粗糖・白糖輸出量は5万7800トン(前年同月比18.0%増)で、主要輸出先はインドネシア、ジンバブエ、モザンビークであった(図17)。
資料:Agra CEAS Consulting “WORLD SUGAR SUPPLY BALANCES, PRICE AND POLICY TREND ANALYSIS, September 2013”
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