地域だより
最終更新日:2013年11月20日
平成25年産てん菜の北見地区におけるほ場調査について
2013年11月
1.はじめに
近年の北海道の気象は異常と呼べるほど不安定で、平成22年産のてん菜は生育期間における高温および多雨の影響により、褐斑病、黒根病などの病気が多発したことから、収量、糖度とも平年を大幅に下回った。また、平成24年産は、8月以降の高温や多雨、褐斑病などの影響により根中糖分が上がらず、14.8パーセントと糖分取引開始以降、最低であった。
平成25年産のてん菜は、春先の低温、降雨、降雪、日照不足などの影響により、オホーツク地域では定植作業が大幅に遅れ、平年に比べ14日遅れのスタートとなったほか、上川地域で8日遅れ、後志地域で11日遅れなどとなった。一方、十勝地域の定植作業は、順調に進み平年並みのスタートであり、春作業において地域によって大きく差が発生する年となった。(北海道農政部発表「農産物の生育状況H25.5.15現在」より)
今回、移植作業が大幅に遅れたオホーツク地域の北見地区(訓子府町および北見市端野町)のてん菜収穫前のほ場調査を行ったので報告する。
2.北見地区のてん菜の生育状況
北見地区の4月下旬の気温は、低温傾向が続き、定植作業の準備などの春作業の妨げとなった。特に定植の最盛期を迎える5月上旬には、平均気温を著しく下回る異常低温で、降雨、降雪や日照不足もあいまって、ほ場に入れない状態であったことから、定植作業は平年の進捗に比べ、移植で14日、直播で15日の遅れとなった。(写真1、図1)
定植作業は、5月下旬ごろから天候が安定したこともあり、急速に進んだ。しかしながら、定植後の6月上旬には、気温は上がったものの、極端な少雨のため干ばつ傾向となり、初期生育の遅れや、移植や補植苗の枯死、直播の発芽遅れや発芽不揃いが目立つ状況となった(写真2、図1)。また、根の肥大時期にあたる7月中旬から8月初めにかけて、少雨による干ばつの影響により、生育停滞となった。
その後、まとまった降雨があったことで回復傾向となり、9月以降の気温も昨年と違い、徐々に低下し、平年並みで推移したことにより、褐斑病などの病気の発生もほとんどなく、糖分の上昇が期待された。
全般的な生育は、定植作業が比較的順調に進んだ北見地区であっても、十勝地方寄りの置戸町、訓子府町、北見市留辺蘂町などのエリアは、生育の遅れが小さく、遠軽町、紋別市や網走市寄りのエリアでは生育の遅れが大きいとのことであった(図2)。
写真3は、訓子府町のてん菜ほ場である。地上部の葉は残念ながら雪に埋もれているが、大きく成長しているように感じられる。また、収穫用に作った土場に積まれているてん菜も大きく1キログラム前後はあるように見受けられた(写真4)。
写真5は、北見市端野町のほ場である。地上部の葉の生育は、移植、直播とも遜色のないものと見受けられるが、訓子府町と比較するとやや小さく感じられた。また、土場に積まれているてん菜を見ても、訓子府町と比較すると小ぶりであった(写真6)。
3.平成25年産のてん菜の生産見込数量
平成25年9月25日付け北海道農政部公表の「平成25年度てん菜の生産見込数量(8月20日現在)」では、作付面積5万8188ヘクタール、生産量340万9000トン、1ヘクタール当たり収量58.5トンの見込みとなっている。昨年実績と比較した場合、作付面積は1,047ヘクタール減、生産量34万9000トン減、1ヘクタール当たり収量5トン減と、いずれも減少見込みとなっている。
1ヘクタール当たり収量で見た場合、各地域で昨年実績より減少しているが、十勝では、昨年と同等で、平均収量より多い見込みとなっている(図3)。
4.おわりに
てん菜の収穫作業はほぼ終盤を迎え、現在、各工場では、原料の受入と同時にサンプリングを行い、糖分計測されているところである。オホーツクでは、収量は減っているが、糖分は16パーセント以上を示しているようである。十勝では、収量はあるものの、糖分はなかなか伸びてこないようで、今後の糖分の上昇に期待したい。また、各製糖工場は現在、フル操業の状態であり、効率的に砂糖が生産されることを願いたい。
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