平成25年度さとうきび・甘蔗糖関係検討会の概要について
最終更新日:2013年12月10日
平成25年度さとうきび・甘蔗糖関係検討会の概要について
2013年12月
はじめに
当機構那覇事務所は、平成25年10月17日から18日の2日間、沖縄県島尻郡久米島町で「平成25年度さとうきび・甘蔗糖関係検討会」を開催した。
本検討会は、沖縄・鹿児島両県のさとうきび生産者、生産者団体、国内産糖製造事業者、研究者、行政などの関係者が一堂に会し、さとうきび栽培および甘蔗糖製造における諸問題の現状とその対応状況、今後の展開方向などについて意見交換を行い、共通認識の醸成を図ることなどを目的として毎年度開催しているものである。本年度は関係者約200名が参加した。
1.1日目(17日)の概要
1日目は、「砂糖政策をめぐる現状と課題について(農林水産省地域作物課)」「平成25年産対象甘味資源作物生産者要件審査申請書の提出状況(当機構鹿児島事務所)」「沖縄県および鹿児島県における品目別経営安定対策などの取り組み(沖縄県農林水産部、公益社団法人沖縄県糖業振興協会、鹿児島県農政部)」「タイの砂糖生産動向〜国際砂糖価格の下落を背景に〜(当機構調査情報部)」「砂糖の価格調整制度とさとうきび生産の課題(鹿児島大学)」について情勢報告および意見交換を行った。午後には、沖縄県および鹿児島県の各地域の生産者代表による「さとうきびの生産回復などに向けた取り組みについて」の意見交換を行った。
各地域の生産者代表による意見交換では、久米島町の農業生産法人有限会社久豊会の喜久里猛代表と鹿児島県徳之島町の大広さとうきび営農改善組合の山口弘治組合長から、両地域における生産回復などに向けた取り組み状況を報告した後、各地域の生産者代表14名が各地域の情勢報告を行った。各代表からは、「生産者の高齢化が進み、担い手不足が深刻化し耕作放棄地が増加している」との声が多く挙げられ、改めて「担い手の確保」が今後のさとうきび生産振興の最大の課題であることが浮き彫りとなった。
また、鹿児島県大島郡喜界町の城久集落受委託部会の生駒弘部会長からは、同部会における集落営農の取り組み(砂糖類・でん粉情報2013年11月「城久集落受委託部会における集落営農の取り組み」参照)や、沖縄県島尻郡八重瀬町の八重瀬町具志頭さとうきび生産組合の福地栄盛組合長からは、福地組合長が集落の遊休地を借り受け、さとうきびの栽培に取り組んでいることなど、各代表から各地域における担い手確保や生産維持に向けた取り組みが紹介されるなど、課題克服に向けて活発な意見交換が行われた。
その後、現地視察として、旧具志川村カンジン地区のカンジンダムと、久米島製糖株式会社実験ほ場を見学した。カンジンダムは地表湛水型地下ダムで、貯水量約150万トン、受益面積338ヘクタール、受益農家366戸であり、島西部の農業振興に大きな力を発揮している。また、久米島製糖株式会社実験ほ場では、作型ごとの栽培試験中の品種・系統の特性などについて説明を受け、参加者はほ場に入り込んで、担当者と熱心に意見交換する姿も見られた。
2.2日目(18日)の概要
2日目は、製糖事業者の取り組みとして、北大東製糖株式会社(沖縄県北大東島)と生和糖業株式会社(鹿児島県喜界島)が行うさとうきび増産に向けた取り組みなどについて事例報告を行った。
また、さとうきびに係る研究成果発表として「適正なさとうきび機械化体系の推進(沖縄県農業研究センター)」「砂糖・バイオエタノール逆転生産プロセスの開発(アサヒグループホールディングス株式会社)(
注)」「南西諸島の未来に向けたさとうきび育種の方向性(農研機構九州沖縄農業研究センター)」の講演を行った。参加者は、逆転生産プロセスと多収性さとうきびによる周年収穫体系の実現など、さとうきびの将来に向けた研究発表に興味深く聞き入っていた。
(注)砂糖類・でん粉情報2013年6月「砂糖の生産性を飛躍的に高めるバイオエタノール生産技術〜逆転生産プロセス〜」参照
おわりに
今回の検討会で報告された事例や研究成果などの概要は、当機構ホームページ「地域だより」にも掲載しているので、各地域での取り組みの参考として活用していただき、今後のさとうきび生産振興の一助となれば幸いである。
開催に当たり、開催地である久米島の関係者をはじめ、数多くの皆様から多大なご協力をいただいたことに深く感謝いたします。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713