3.世界の需給に影響を与える諸国の動向 (2014年1月時点予測)
最終更新日:2014年2月10日
3.世界の需給に影響を与える諸国の動向 (2014年1月時点予測)
2014年2月
ブラジル
【生産見通し】
12月末までの製糖は引き続き順調だが、回収糖分は減少
2013/14砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビ生産量は、収穫面積が889万ヘクタール(前年度比4.8%増)と増加すること(表2)や単収の向上から、6億5380万トン(同11.0%増)と前年度から大幅に増加の見込みとなっている。サトウキビ生産指標に前月予測から変更はないが、サトウキビのエタノール仕向けの増加や歩留まりの低下見込みにより、砂糖生産量は3970万トン(粗糖換算、同1.3%減)となる見通しである。また、12月の天候は晴天が続いており、製糖は順調である。
しかしながら、サトウキビ産業協会(以下「UNICA」という)によると、1月1日時点の12月末現在までの中南部地域のサトウキビ生産量は、5億9410万トン(前年度同期比11.8%増)となっており、圧搾量は前年度同期よりも多いことから、砂糖生産量は3426万5000トン(同0.6%増)と過去最高の水準となっている。また、12月末まで稼働している工場は115となり、前年度同期よりも45工場増えている。一方で、サトウキビの品質指標となる1トン当たりの回収糖分の値(ATR)は、前年度同期比1.6パーセント減の133.4キログラムと減少している。なお、サトウキビの砂糖仕向け割合は、45.4パーセントと前年度同期よりも4.2パーセント低くなっており、エタノール生産量は、2537万3000キロリットル(同19.2%増)と大幅に増加としている。
【貿易・港湾動向等】
サントス港の原料糖倉庫火災により、1月輸出量は減少する見通し
2013/14年度輸出量は、前年とほぼ同水準となる2700万トン(粗糖換算、前年度比0.9%減)と見込まれている。2013年11月の粗糖・白糖輸出量は、226万5000トン(前年同月比20.9%減)となった(図4)。主要輸出先は米国、中国、アルジェリアであった。
10月に発生したサントス港(世界最大の砂糖輸出港)の原料糖倉庫火災による影響から、1月の砂糖輸出量は9万トンが見込まれている。これは前年1月の46万トンよりもはるかに少ないことが、倉庫所有者であるコパスカー社から発表されている。
資料:Agra CEAS Consulting “WORLD SUGAR SUPPLY BALANCE, PRICE AND POLICY TREND ANALYSIS, January 2014”
インド
【生産見通し】
引き続き製糖開始工場は、前年同期より少ない
2013/14年砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、前年並みの528万ヘクタール(前年度比0.1%減)(表3)、サトウキビ生産量は、前年の干ばつの影響がモンスーンの降雨により緩和したことから、単収増となる見通しであり、3億7514万トン(同1.3%増)と見込まれている。一方、砂糖生産量は2770万トン(粗糖換算、同1.3%増)と見込まれている。
インド砂糖製造協会(ISMA)による最新の報告では、12月末までの同年度の砂糖生産量は、570万トン(白糖ベース、前年度同期比29.0%減)と前年度同期から大幅な減少となった。これは、製糖開始前から続いているサトウキビ価格決定の遅れにより、製糖を開始している工場が、前年度同期から4.6パーセント少ない476工場となっていることに起因する。主要生産州であるマハーラーシュトラ州では、154工場(同4.3%減)が稼働し、2170万トン(同21.9%減)のサトウキビが圧搾され、220万トン(同24.1%減)の砂糖が生産されている。歩留まりは10.2パーセント(同2.6%減)と前年度同期より低い。
【貿易・政策動向等】
サトウキビ代金遅延解消のため、政府は製糖工場への緊急援助を決定
2013/14年度の砂糖消費量は、2609万トン(粗糖換算、前年度比2.1%増)と、依然、4年度連続で生産量が消費量を上回る見通しである。
一方、輸出量は、150万トン(粗糖換算、同29.4%増)の見込みとなっている。2013年10月の粗糖・白糖輸出量は、14万8000トン(前年同月比142.6%増)となり、主要輸出先はスリランカ、アフリカ北東部のジブチ、サウジアラビアであった(図5)。
インドでは、製糖工場からサトウキビ生産者への支払いは14日以内に行わなければならないとされているが、製糖工場は2013年11月時点で300億ルピー(561億円 1ルピー=1.87円注)の損失を抱えているとされ、生産者へのサトウキビ支払い代金を遅延している。このため、同国政府は12月、生産者への支払いを条件として、660億ルピー(1234億2000万円)の無利子ローンによる工場への緊急援助を行うことを決定した。具体的には、工場が過去3年間で納めた物品税を上限に、12パーセントの利子を砂糖発展基金(SDF)が負担することで、製糖工場は銀行からサトウキビ代金支払いのための借り入れができるというものである。
資料:Agra CEAS Consulting “WORLD SUGAR SUPPLY BALANCE, PRICE AND POLICY TREND ANALYSIS, January 2014”
注:12月末日TTS相場
中国
【生産見通し】
12月末までの製糖実績は、前年度に比べ減少
2013/14砂糖年度(10月〜翌9月)サトウキビ(国内砂糖生産の約9割を占める甘しゃ糖の原料)の収穫面積は、200万ヘクタール(前年度比3.4%増)(表4)、サトウキビ生産量は1億3169万トン(同3.4%増)と見込まれている。また、甘しゃ糖生産量は1350万トン(粗糖換算、同3.7%増)とされている。一方、てん菜収穫面積は、31万ヘクタール(同3.3%増)、てん菜生産量は1303万トン(同3.4%増)と見込まれているものの、歩留まりが前年度よりも低くなるとの見通しから、てん菜糖生産量は117万トン(同0.4%減)の見通しとなっている。この結果、今年度の同国全体の砂糖生産量は、1467万トン(粗糖換算、同3.4%増)と見込まれている。
今年12月末までの製糖実績は、天候不順による生育の遅れなどから製糖開始が遅延したことで、甘しゃ糖で前年度同期比6.4パーセント減、てん菜糖で同9.1パーセント減と、どちらも前年度同期より減少した。サトウキビ主要生産地ごとの12月末までの生産状況は、広西チワン自治区では、糖度は前年度よりも0.4パーセント高く、サトウキビ圧搾量は1681万トン(前年度同期比10.9%減)、雲南省では、糖度は前年度よりも0.3パーセント低く、圧搾量は81万トン(同35.2%増)、広東省では、糖度は0.1パーセント低く、圧搾量は266万トン(同7.4%減)と11月に襲来した台風の影響を受けている。一方で、12月末までのてん菜主要生産地である新彊ウイグル自治区のてん菜処理量は、339万トン(同8.6%減)である。
【貿易・政策動向等】
2013年砂糖輸入量は、前年比21.3パーセントの大幅増
2013/14年度の砂糖消費量は、1620万トン(粗糖換算、前年度比2.8%増)と見込まれている。同国で廃止を検討されている備蓄プログラムは、1月20日の国務院の発表によると、2014年は継続されるとしている。
一方、輸入量は、270万トン(粗糖換算、同26.8%減)の見通しとなっている。中国国家評議会では、政策面からフィジーの製糖産業を支えていくことを提案しており、毎年10万トンのフィジー産粗糖を輸入する意向を示した。
2013年12月の粗糖・白糖輸入量は43万5000トン(前年同月比62.3%増)となり、主な輸入先はブラジル、韓国、タイであった(図6)。
2013年の粗糖・白糖輸入量は、454万5900トン(前年比21.3%増)と過去最高となり、最も多い輸入先国はブラジルであった(図7)。2013年のタイからの輸入は、前年比86.3パーセント減と前年から大幅に減少した。一方、グアテマラからの輸入は、CIF価格が前年から1トン当たり220米ドル(23,400円 1ドル=106.4円注)も下落したことから、同392パーセント増と急増した。
資料:Agra CEAS Consulting “WORLD SUGAR SUPPLY BALANCE, PRICE AND POLICY TREND ANALYSIS, January 2014”
注:12月末日TTS相場
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