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3.世界の需給に影響を与える諸国の動向 (2014年2月時点予測)

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最終更新日:2014年3月10日

3.世界の需給に影響を与える諸国の動向 (2014年2月時点予測)

2014年3月

 
【生産動向】
2013/14年度サトウキビは増産するも、砂糖仕向け割合は前年度よりも減少

 2013/14砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビの生産量は、収穫面積が889万ヘクタール(前年度比4.8%増)と前年度から増加することや単収が1ヘクタール当たり4.1トン増加見込みとされていることから、6億5380万トン(同11.0%増)と前年度から大幅な増加が予測されている。一方、砂糖生産量は、サトウキビの砂糖仕向け量の減少や歩留まりの低下見込みにより、3970万トン(粗糖換算、同1.3%減)の見通しである(表2)。

 サトウキビ産業協会(以下「UNICA」という)によると、サトウキビ生産量の9割を占める中南部地域のサトウキビ生産量は、2月16日現在、 5億9616万トン(前年度同期比12.0%増)と、前年度同期よりも大幅に増加している。一方、砂糖生産量は3427万7000トン(同0.6%増)と前年度同期から微増となっている。これは、サトウキビの砂糖仕向け割合が前年度同期から4.3ポイント低い、45.2パーセントとなっていることや、サトウキビの品質指標となる1トン当たりの回収糖分の値(TRS)が、前年度同期比1.7パーセント減の133.4キログラムと減少していることによるとされている。

 同国では、昨年11月以降、高温および降水量不足が続いている。中南部地域の主要生産州であるサンパウロ州およびミナスジュライス州の12月の降水量は、例年より27パーセント少なく、また1月上旬の降水量は例年の半分程度となっており、2014/15年度サトウキビ生産への影響が懸念されている。
 
【貿易・政策動向】
2014年のBNDESによる融資額は前年から減額

 2013/14年度の輸出量は、前年とほぼ同水準となる2700万トン(粗糖換算、前年度比0.9%減)と見込まれている。2013年12月の粗糖・白糖輸出量は、234万3000トン(前年同月比4.5%減)となった(図4)。主要輸出先はロシア、中国、マレーシアであった。

 2013年の粗糖・白糖輸出量は、2715万4000トン(前年比11.6%増)となり、最大の輸出先は3年連続で中国となった(図5)。

 ブラジル政府は、2012年1月から行っている国立社会経済開発銀行(BNDES)によるサトウキビの更新および新規ほ場開発に対する融資について、2014年の融資額は前年より13パーセント少ない60億レアル(2520億円:1レアル=42円)と発表した。

資料:Agra CEAS Consulting “WORLD SUGAR SUPPLY BALANCE, PRICE AND POLICY TREND ANALYSIS, February 2014”
 
 

インド

 
【生産動向】
前月から引き続き、1月末までの砂糖生産量は前年度同期から大幅減

 2013/14砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、前年度並みの528万ヘクタール、サトウキビ生産量は、モンスーンによる降雨で前年の干ばつの影響が緩和され、単収が1ヘクタール当たり1トン増加との見込みから、3億7514万トン(前年度比1.3%増)とされている。一方、砂糖生産量は、サトウキビ増産見込みにより2770万トン(粗糖換算、同1.3%増)と予測されている(表3)。

 インド砂糖製造協会(以下「ISMA」という)による最新の報告では、1月末までの同年度砂糖生産量は、前年度同期比16.6パーセント減の1154万トン(白糖ベース)と前年度同期から大幅な減少となっている。これは、州政府によるサトウキビ最低買取価格が高水準であることから、製糖工場は収益に見合わないとして製糖を開始できずにいたことに起因している。政府は、サトウキビ代金支払いのための緊急援助として2013年12月、製糖工場が銀行からの無利子借入措置を決定したものの、ISMAによると、この措置はいまだ実施されていない。

 また、同国では、サトウキビの適正価格(以下「FRP」という)制度を2009/10年度以降導入しており、この価格を下回る水準での農家からのサトウキビ買い取りを違法としている。インド政府は2月4日、農業コスト・価格委員会(CACP)の提言に基づくサトウキビ生産コストの上昇を背景に2014/15年度FRPを、前年度から1キンタル当たり10インドルピー(1トン当たり180円:1インドルピー=1.81円)高い同220インドルピー(同4,000円)と決定した。この決定は製糖企業に対して製糖コストの上昇をもたらし、一方で、国内白糖価格は4年連続のサトウキビ豊作による砂糖の増産により下落していることから、今後の砂糖生産への影響が懸念されている。

 注:1月末日TTS相場
 
【消費・貿易・政策動向】
輸出業者へ1トン当たり3,333インドルピーの補助金交付を承認

 2013/14年度の砂糖消費量は、2609万トン(粗糖換算、前年度比2.1%増)と4年度連続で生産量が消費量を上回る見通しである。

 一方、輸出量は、150万トン(粗糖換算、同29.4%増)の見込みとなっている。2013年11月の粗糖・白糖輸出量は、18万4000トン(前年同月比254%増)となり、主要輸出先はスリランカ、イラン、ソマリアであった(図6)。

 インド政府は、昨年から国内砂糖需給の緩和に伴う市場価格下落を抑制するため、輸出促進を目的として、輸出補助金の導入を検討していた。これに関し、内閣経済対策委員会(CCEA)は2月12日、2月と3月のみ1トン当たり3,333インドルピー(6,033円)を輸出業者に輸出補助金として交付することを承認した。

資料:Agra CEAS Consulting “WORLD SUGAR SUPPLY BALANCE, PRICE AND POLICY TREND ANALYSIS, February 2014”
 

中 国

 
【生産動向】
2013/14年度砂糖生産量は、前年度から増加する見込み

 2013/14砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は、200万ヘクタール(前年度比3.4%増)、サトウキビ生産量は1億3169万トン(同3.4%増)と増産が見込まれていることから、甘しゃ糖生産量(国内砂糖生産の約9割を占める)は1350万トン(粗糖換算、同3.7%増)の見込みである。一方、てん菜収穫面積は、31万ヘクタール(同3.3%増)、てん菜生産量は1303万トン(同3.4%増)と見込まれているものの、歩留まりが前年度よりも低くなるとの見通しから、てん菜糖生産量は117万トン(同0.4%減)となっている。この結果、今年度の同国全体の砂糖生産量は、1467万トン(粗糖換算、同3.4%増)と見込まれている(表4)。

 中国砂糖協会(CSA)によると、サトウキビ主要生産地ごとの12月末までの製糖実績について、広西チワン自治区の生産量は193万トン(白糖換算、前年度同期並み)、雲南省の生産量は8万4300トン(白糖換算、前年度同期比31.7%増)、広東省の生産量は26万1000トン(白糖換算、同8.8%減)である。一方で、てん菜主要生産地ごとの12月末までの製糖実績について、新彊ウイグル自治区の生産量は39万4000トン(白糖換算、同5.6%減)である。これらのことから、全体の12月末までの製糖実績は、304万6000トン(白糖換算、同7.0%減)となっている。
 
【消費・貿易動向】
2013/14年度砂糖輸入量は、前年度から大幅減少の見込み

 2013/14年度の砂糖消費量は、1620万トン(粗糖換算、前年度比2.8%増)と見込まれている。

 一方、輸入量は、砂糖の国内在庫がだぶついていることから、270万トン(粗糖換算、同26.8%減)と前年度から大幅に減少する見通しとなっている。2014年1月の粗糖・白糖輸入量は28万9000トン(前年同月比18.9%増)となり、主な輸入先はブラジル、韓国、タイであった(図7)。

資料:Agra CEAS Consulting “WORLD SUGAR SUPPLY BALANCE, PRICE AND POLICY TREND ANALYSIS, February 2014”
 
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