平成25 年産甘味資源作物(さとうきび)生産者要件審査結果の概要などについて
最終更新日:2014年6月3日
平成25 年産甘味資源作物(さとうきび)生産者要件審査結果の概要などについて
2014年4月
【要約】
平成25年産の要件審査を経て、平成25年12月16日までに対象生産者として登録された者は2万3219人と、平成24年産からやや減少した。県別では、鹿児島県が8,211人、沖縄県が1万5008人となった。
はじめに
当機構では、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」に基づき、さとうきび栽培を行う生産者のうち、一定の要件を満たす者(以下「対象生産者」という)に対し、さとうきびの生産コストを償う収入を確保し経営安定を図るために交付金を交付している。その要件は、 1)認定農業者など(A−1) 2)一定の収穫面積を有する者または協業組織(A−2) 3)一定の基幹作業面積を有する共同利用組織に参加している者(A−3) 4) 1)もしくは 2)の要件を満たす者または一定の基幹作業面積を有する受託組織などに基幹作業(「耕起および整地」「植え付け」「株出管理」「防除」「中耕培土」「収穫」)を委託している者(A−4)−の4つの区分のいずれかに該当するとともに、当該生産者を構成員とする地域の生産者団体などにより、さとうきび生産に関する中期的な生産見通しとその実現に向けた取組計画が作成されていることおよび当該生産者が環境規範を遵守することとされている。
なお、生産者が要件の審査を受ける場合は、原則として、毎年7月1日から9月30日までの間に機構の鹿児島事務所または那覇事務所に対し、要件審査申請書を提出することとなっており、機構は、審査の上、上記要件を満たしていると認めた場合は、申請を行った生産者を対象生産者として登録している。
今般、対象生産者として登録された生産者の状況がまとまったので、さとうきびの生産概況と併せて、その概要を報告する。
1. 平成25年産さとうきび生産概況
(1)鹿児島県
生育状況は、春先には、3月の少雨、4月〜5月の低温・日照不足により春植えの発芽に遅れが生じるとともに、株出しの初期生育についても不良となった。その後も、7月〜8月の干ばつにより春植え・株出しの生育不良の状況が続き、夏植えについても、生育が停滞した。さらに、10月には、度重なる台風の襲来により、折損、葉片裂傷、塩害の被害を受けた。
これらの結果、鹿児島県における平成25年産のさとうきびの生産量は、50万3110トン(前年比16.5%増)と過去最低の生産量を記録した平成24年産から増加するものの、過去3番目に低い水準となる見込みである(表1)。
(2)沖縄県
生育状況は、3月下旬から降雨が多かったため、春植えの発芽不良や発芽の不揃いが目立ち、4月〜5月には低温・日照不足により、春植えの生育に遅れが生じるとともに、株出しの初期生育も不良となった。その後も、6月中旬〜10月まで降雨がほとんどない干ばつ状態が続き、このため春植え・株出しの生育は不良の状況から回復せず、夏植えについても生育が停滞した。さらに、10月上旬には、台風の襲来により、折損、葉片裂傷、塩害などの被害を受けた。
これらの結果、沖縄県における平成25年産のさとうきびの生産量は、68万7575トン(前年比1.8%増)と平成24年産に比してわずかに増加するものの、過去4番目に低い水準となる見込みである。
2.年齢別生産者数および面積別生産者数の割合
(1)年齢別生産者数の割合
年齢別生産者数の割合は、平成25年産においては60代以上の割合が、鹿児島県56.3パーセント、沖縄県63.7パーセントとなっており、このような60代以上が過半を占める状況は今後も続くと推察される(図1)。
(2)面積別生産者数の割合
鹿児島県では、平成24年産において、病害虫や度重なる台風の被害により、過去最低の生産量を記録した。
このため、平成25年産においては、さとうきび栽培の作型を台風の被害が少ない夏植えに変更する生産者の増加や春植え用の苗不足に伴い、植え付け作業ができない生産者が増加し、鹿児島県全体の収穫面積が減少するとともに、1人当たりの収穫面積も減少した。
また、収穫面積が「0.5〜1ヘクタール未満」と「1ヘクタール以上」の生産者の割合は、平成25年産でそれぞれ30.1パーセント、39.4パーセントで、平成24年産から変化は見られなかった(図2)。
一方、沖縄県では、収穫面積が「1ヘクタール未満」の生産者の割合が75.2パーセントと大宗を占めている。これは、県内の生産者の半数近くを本島地域で占めているが、その都市化に伴い、1人当たりの収穫面積が縮小している状況にあるためで、前年産とほぼ同様の割合となっている。
3.対象生産者の状況
(1)対象生産者数
平成25年産の要件審査を経て、平成25年12月16日までに対象生産者として登録された者は2万3219人で、平成24年産と比べ584人(2.5%)減少した(表2)。県別では、鹿児島県が8,211人、沖縄県が1万5008人となっており、平成24年産と比べそれぞれ317人、 267人減少している。
平成22年産からA−3の対象生産者の割合は増加傾向で推移してきたが、平成25年産においては、逆に、対前年で388人(4.2%)減少と、減少した人数全体(584人)の約6割を占めている。
(2)地域別・要件区分別対象生産者数
鹿児島県の対象生産者数8,211人を要件区分別にみると、A−1が960人(構成比11.7%)、 A−2が343人(同4.2%)、A−3が1,540人(同18.8%)、A−4が5,368人(同65.4%)となっている(表3)。
地域別の特記すべき状況としては、沖永良部島では、畜産や他作物などとの複合経営が比較的多いことから、他の島と比較してA−1が多く、鹿児島県のA−1全体の約3割を占めている。また、同島において、平成24年産ではA−3は310人であったが、25年産では、該当要件を収穫作業などの委託に切り替えA−4区分へシフトしたことに伴い、0人となった。
沖縄県の対象生産者数1万5008人を要件区分別にみると、A−1が243人(構成比1.6%)、A−2が1,381人(同9.2%)、A−3が7,421人(同49.4%)、A−4が5,963人(同39.7%)となっている。
地域別の特記すべき状況としては、南大東島では、収穫作業の委託によるA−4が約9割を、北大東島ではA−1が約7割を超えており、いずれも平成24年産と同じ傾向を示している。また、伊良部島を含めた宮古地域では、ハーベスタ収穫による委託に加えて、手刈り収穫によるさとうきびの搬出作業の委託により、従来同様ほとんどA−4となっている。
おわりに
さとうきびは、台風、干ばつの常襲地帯として厳しい自然環境下にある鹿児島県南西諸島や沖縄県における基幹作物であり、その生産状況如何による関連産業への影響は大きく、地域経済を支える重要な役割を果たしている。台風、干ばつ、害虫などによる連年の不作に対しては、国が、病害虫防除支援や農業機械リースの導入支援を実施しているところであり、今後、生産者をはじめ関係者の努力と相まって生産量が回復するよう期待している。
当機構においても、関係者の皆さまのご理解とご協力のもと、今後も申請生産者の要件審査や交付金交付を的確かつ円滑に実施し、甘味資源作物生産者の経営安定に資するよう努めてまいりたい。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713