砂糖類の国内需給
最終更新日:2014年4月10日
砂糖類の国内需給
2014年4月
1.需給見通し
農林水産省は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」(昭和40年法律第109号)により、砂糖などに関して適切な価格調整を図るため、四半期ごとに砂糖および異性化糖の需要見通しを公表することとしている。3月に公表した「平成25砂糖年度における砂糖及び異性化糖の需給見通し(第3回)」の概要は以下のとおりである。
(1)砂糖の消費量
前年度比1.2パーセント増加の202万3000トンの見通し
平成25砂糖年度の消費量は、202万3000トン(前年度比1.2%増、前回見通しから2万トン減)と見通している(表1)。内訳を見ると、分蜜糖は、上半期の消費実績と4月からの消費税引き上げなどの影響を勘案し、199万トン(前年度比1.2%増、前回見通しから2万トン減)と見通している。含蜜糖は近年の消費動向を勘案し、3万3000トン(前年度並み、前回見通しから増減なし)と見通している。
(2)砂糖の供給量
前年度比1.5パーセント減少の198万5000トンの見通し
平成25砂糖年度の供給量は、198万5000トン(前年度比1.5%減、前回見通しから4,000トン増)と見通している。内訳を見ると、分蜜糖は、 196万6000トン(前年度比1.5%減、前回見通しから5,000トン減)、含蜜糖は、1万9000トン(前年度並み、前回見通しから1,000トン減)と見通している(図1)。また、国内産糖は、68万7000トン(前年度比0.6%減、前回見通しから4,000トン減)、輸入糖は、129万8000トン(前年度比2%減、前回見通しから8,000トン増)と見通している。
(3)異性化糖の需給見通し
前年度比1パーセント減少の81万9000トンの見通し
異性化糖の消費量は、近年の消費動向などを踏まえ、81万9000トン(前年度比1%減、前回見通しから1万トン増)と見通す。異性化糖の供給量は、消費に見合った量が供給されるものと見通している。
2.異性化糖の移出動向
2月の移出量は過去5年間で最大の6万377トン
2014年2月の異性化糖の移出数量は、6万377トン(前年同月比5.3%増、前月比10.1%増)と、前月および前年同月数量を上回り、同月の移出量としては、過去5年間で最大となった(図2)。これは、同月に異性化糖の市中価格が1キログラム当たり2円程度下落したことや、消費税の増税前の駆け込み需要が影響していると考えられる。
規格別の移出量は、果糖含有率40パーセント未満のものが297トン(前年同月比2.6%減、前月比0.3%減)、果糖含有率40パーセント以上50パーセント未満のものが1万7160トン(前年同月比5.7%増、前月比6.1%増)、果糖含有率50パーセント以上60パーセント未満のものが4万1215トン(前年同月比6.2%増、前月比12.2%増)、果糖含有率60パーセント以上のものが1,705トン(前年同月比13.2%減、前月比4.2%増)であった(図3)。
3.輸入動向
【分蜜糖の輸入動向】
1月の輸入量は、前月から大幅減の6万8927トン
財務省「貿易統計」によると、2014年1月の分蜜糖の輸入量は、6万8927トン(前年同月比6.5%増、前月比43.9%減)となった(図4)。砂糖の最需要期である12月を過ぎ、1月の輸入量は前月から大幅に減少した。輸入先国は、タイ、フィリピン、米国の3カ国であった。豪州から輸入がなかったのは、2013年6月以来となった。これは、豪州の製糖期間が終了したことなどによるためでる。
2014年1月における国別の輸入量を見ると、タイが6万3568トン(前年同月比52.3%増、前月比1038.4%増)と最も多く、次いで、フィリピンが5,345トン(前年同月比55.4%減、前月比73.7%減)、米国が14トン(前年同月比100%増、前月比41.7%減)であった(図5)。
2014年1月の1トン当たりの輸入価格は、 4万6208円(前年同月比5%高、前月比4.7%安)であった。2013年10月以降、前月を上回る水準で推移していたが、同月の輸入価格は、前月水準を下回る結果となった(図6)。1月の国別の1トン当たりの輸入価格は、タイが4万6235円(前年同月比6.1%高、前月比2.2%安)、フィリピンが 4万5487円(前年同月比7.8%高、前月比1.7%安)、米国が19万8643円(前年同月比8.2%高、前月比15.5%高)であった。
【含蜜糖の輸入動向】
1月の輸入価格は前月から大幅に下落したものの依然として高水準
財務省「貿易統計」によると、2014年1月の含蜜糖の輸入量は、1,170トン(前年同月比13.7%減、前月比142.7%増)と前月から大幅に増加した(図7)。輸入先国は、タイ、ボリビア、中国、ブラジルであった。国別の輸入量を見ると、タイが730トン(前年同月比25.3%減、前月比3,376.2%増)と最も多く、次いで、ボリビアが191トン(前年同月比12.4%減、前月比11%増)、中国が173トン(前年同月比51.8%増、前月比116.3%増)、ブラジルが76トン(前年同月比300%増、前月比60%減)であった(図8)。
1月の1トン当たりの輸入価格は、12万1183円(前年同月比21.8%高、前月比21.3%安)と、前月から大幅に下落したものの、1月の輸入価格としては、依然として高水準の状態が続いている(図9)。国別の1トン当たりの輸入価格は、タイが11万5181円(前年同月比18.7%高、前月比27%高)、ボリビアが10万7529円(前年同月比16.5%高、前月比2%高)、中国が11万3815円(前年同月比10.5%高、前月比5.4%高)、ブラジルが22万9921円(前年同月比25.1%高、前月比4.2%高)であった。
【加糖調製品の輸入動向】
ミルク調製品の輸入量が前月から大幅に増加
財務省「貿易統計」によると、2014年1月の加糖調製品の輸入量は、4万5955トン(前年同月比0.9%増、前月比1.7%減)であった(図10)。品目別の輸入量は、ミルク調製品が1万1541トン(前年同月比3.4%増、前月比21.4%増)と最も多く、次いで、ソルビトール調製品が7,939トン(前年同月比9.6%減、前月比20.5%減)、ココア調製品が7,763トン(前年同月比4.9%増、前月比13.6%減)、調製した豆(加糖あん)が6,723トン(前年同月比0.5%減、前月比3.2%増)となった。
4.市場の動き
2月の砂糖の上白糖大袋価格(日経相場)は、東京は1キログラム当たり185〜186円、大阪は同186円の水準で推移した。名古屋は同189円の水準で推移した。
日経POSデータの小売店販売価格調査によると、2月の小袋のスーパーにおける平均小売価格は、上白糖が1キログラム当たり186.3円(前年同月比3.8円安、前月比0.3円高)、グラニュー糖が同222.1円(前年同月比0.4円安、前月比0.6円高)、三温糖が同223円(前年同月比0.9円高、前月比0.6円高)であった。上白糖の小売価格を地域別に見ると、最も安かったのは関東など(茨城県、栃木県、群馬県、長野県、山梨県、静岡県)の同180円で、最も高かった中国四国の同207.2円と比較すると、同27.2円の価格差があった。
2月の異性化糖の大口需要家向け価格(果糖分55%、東京、タンクローリーもの)は、同月に市中価格が2円程度下落したことに伴い、1キログラム当たり140円〜141円の水準で推移した。
株式会社東京商品取引所
◎2月中 粗糖商況
月初3日、新甫3月限は、米国経済指標の悪化などを受けた円高の進行もあり、他市場よりも1,050円安い1トンあたり4万1450円で発会した。その後は、世界最大の生産国であるブラジルの天候不安や、インド政府による輸出向け粗糖生産に対する補助金承認の延期などを材料として、NY市場が上昇し、円相場も円安基調で推移したことを受け、当社市場も上昇して、4日には一時4万6400円をつけた。
中旬は、市場の注目を集めていたインドの補助金の承認により、インドの粗糖輸出促進との見方から、NY市場が下落したことに加え、円相場も円高に転じるなど価格下落要因があったものの、依然としてブラジルの天候懸念を受けて、当社市場は方向感に乏しい動きとなり、おおむね3万9000円台で推移した。
下旬は、ブラジルの天候懸念が強まり、国際砂糖機構や世界最大の砂糖・エタノール関連企業による収穫量減少観測から、NY市場が上昇するも、円相場がドルに対し堅調に推移したこともあり、当社市場は4万4000円台で取引を終了した。
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