砂糖類の国内需給
最終更新日:2014年6月10日
砂糖類の国内需給
2014年6月
1.需給見通し
農林水産省は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」(昭和40年法律第109号)により、四半期ごとに砂糖および異性化糖の需給見通しを公表することとしている。3月に「平成25砂糖年度における砂糖及び異性化糖の需給見通し(第3回)」を公表した。その概要は以下のとおりである(詳細は
2014年4月号参照)。
2.異性化糖の移出動向
4月は6カ月ぶりに前年同月比を下回る水準となる
2014年4月の異性化糖の移出数量は、8万3867トン(前年同月比3.5%減、前月比10.4%増)となった(図1)。2013年11月以降、前年同月を上回る水準で推移してきたが、6カ月ぶりに前年同月を下回る水準となった。これから異性化糖の最需要期である夏場に向けて移出量の推移が注目される。
規格別の移出量は、次のとおりであった(図2)。
果糖含有率40%未満 393トン(前年同月比12.1%減、前月比2.4%減)
果糖含有率40%以上50%未満 2万2022トン(同1.8%減、同6.8%増)
果糖含有率50%以上60%未満 5万7903トン(同3.7%減、同12.7%増)
果糖含有率60%以上 3549トン(同9.0%減、同0.5%増)
3.輸入動向
【分蜜糖の輸入動向】
3月の輸入価格は前年同月および前月をともに上回る
財務省「貿易統計」によると、2014年3月の分蜜糖の輸入量は、9万2225トン(前年同月比10.3%増、前月比33.8%増)となった(図3)。輸入先国は、タイ、豪州、南アフリカ、フィリピン、米国の5カ国であった。豪州および南アフリカからの輸入は、前年12月以来3カ月ぶりとなった。
同月における国別の輸入量は次のとおりであった(図4)。
タイ 3万4203トン (前年同月比46.3%減、前月比42.8%減)
豪州 2万6010トン (前年同月および前月輸入実績なし)
南アフリカ 2万5982トン (前年同月および前月輸入実績なし)
フィリピン 5998トン (同69.9%減、同34.0%減)
米国 32トン (同128.6%増、同18.5%増)
2014年3月の1トン当たりの輸入価格は、4万7284円(前年同月比5.7%高、前月比8.7%高)となった(図5)。
3月の国別の1トン当たりの輸入価格は、次のとおりであった。
タイ 4万6398円 (前年同月比2.8%高、前月比5.8%高)
豪州 4万3827円 (前年同月および前月輸入実績なし)
南アフリカ 5万3359円 (前年同月および前月輸入実績なし)
フィリピン 4万457円 (同6.5%安、同0.5%安)
米国 15万781円 (同32.7%安、同12.3%高)
【含蜜糖の輸入動向】
3月の輸入価格は前月から上昇
財務省「貿易統計」によると、2014年3月の含蜜糖の輸入量は、1527トン(前年同月比4.3%減、前月比20.5%増)となった(図6)。輸入先国は、タイ、中国、ボリビア、ブラジル、フィリピンであった。
国別の輸入量は次のとおりであった(図7)。
タイ 1020トン (前年同月比0.8%増、前月比2.0%減)
中国 405トン (同20.7%減、同272%増)
ボリビア 51トン (前年同月同数量、同50.5%減)
ブラジル 38トン (前年同月および前月輸入実績なし)
フィリピン 13トン (前年同月輸入実績なし、同7.1%減)
3月の1トン当たりの輸入価格は、11万6078円(前年同月比10.9%高、前月比0.6%高)と、前月から上昇し、3月の輸入価格としては、直近3年間で最高額となった(図8)。国別の1トン当たりの輸入価格は、次のとおりである。
タイ 11万2833円 (前年同月比10.1%高、前月比1.7%安)
中国 11万1931円 (同1.9%高、同4.1%安)
ボリビア 10万8569円 (同7.5%高、同0.3%安)
ブラジル 22万6974円 (前年同月および前月輸入実績なし)
フィリピン 20万5154円 (前年同月輸入実績なし、同7.1%高)
【加糖調製品の輸入動向】
3月の輸入量は前月から18.4%増と大幅に増加
財務省「貿易統計」によると、2014年3月の加糖調製品の輸入量は、4万8071トン(前年同月比4.4%増、前月比18.4%増)であった(図9)。
品目別の輸入量は、次のとおりであった。
ミルク調製品 1万1288トン (前年同月比4.6%減、前月比2.9%増)
ソルビトール調製品 1万302トン (同14.7%増、同20.2%増)
ココア調製品 7348トン (前年同月比22.5%増、前月比26.1%増)
調製した豆(加糖あん) 7185トン (同1.8%増、同62.1%増)
その他調製品 7042トン (同13.2%増、同15.1%増)
4.価格の動き
【市場価格】
4月の砂糖の上白糖大袋価格(日経相場)は、東京は1キログラム当たり185〜186円、大阪は同186円、名古屋は同189円と、前月と同水準で推移した。3月の異性化糖の大口需要家向け価格(果糖分55%、東京、タンクローリーもの)は、1キログラム当たり140円〜141円の水準で推移した。
【販売価格】
日経POSデータの小売店販売価格調査によると、4月の小袋のスーパーにおける平均小売価格は、以下のとおりであった。
上白糖 1キログラム当たり185.7円 (前年同月比3.4円安、前月比0.5円安)
グラニュー糖 同220.3円 (同1.7円安、同1.8円安)
三温糖 同220.0円 (同1.1円安、同1.2円安)
上白糖の販売価格を地域別に見ると、最も安かったのは関東など(茨城県、栃木県、群馬県、長野県、山梨県、静岡県)の同178.5円で、最も高かった中国四国の同206.0円と比較すると、同27.5円の価格差があった(図10)。
グラニュー糖の販売価格を地域別に見ると、最も安かったのは北海道の同184.8円で、最も高かった関東などの同239.1円と比較すると、同54.3円の価格差があった(図11)。
三温糖の販売価格を地域別に見ると、最も安かったのは関西の同200.5円で、最も高かった関東などの同227.4円と比較すると、同26.9円の価格差があった(図12)。
【購入金額および購入量】
総務省「家計調査」によると、2014年3月の1世帯当たりの砂糖に係る支出金額は、149円(前年同月比38.0%高、前月比46.1%高)となった(図13)。また、同月の1世帯当たりの砂糖の購入数量は、679グラム(前年同月比39.1%増、前月比45.1%増)となった(図14)。支出金額および購入数量ともに、前年同月および前月比で大幅に増加し、3月の数値としては、直近3年間で最大となった。これは、2014年4月から消費税が増税されることに伴う駆け込み消費が原因であると考えられる。この動きが今後の消費動向にどのような影響を与えているか注目される。
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