地域だより
最終更新日:2014年6月27日
さとうきび講習会、講演会および南部地区競作会表彰式の開催について
2014年6月
平成26年6月18日(水)、沖縄本島南部の糸満市にて、南部地区さとうきび生産振興対策協議会主催で、さとうきび講習会、講演会および南部地区競作会表彰式が開催された。今回の講習会および講演会は、近年の単収低下を受け、雑草対策や施肥を適切な時期に適切な量行うことによって、さとうきびの生育を促し、単収向上につながることを実証ほ場やデータから生産者に実感してもらうことを目的として開催された。
講習会、講演会および南部地区競作会表彰式には、南部地区の生産者を中心に、JA、製糖企業、行政などのさとうきび関係者約100名が参加した。
1 講習会
講習会は、糸満市与座の実証ほ場で、「より効果的な除草剤の使用方法」についてと題して行われた。
実証ほ場は、3月に春植えを行ったさとうきびが発芽し、ある程度雑草が発生した5月に、さまざまな除草剤を散布し、1カ月後の効果を比較するものであった。除草剤の組み合わせは、畝ごとに17パターン用意され、「除草剤のみ」「除草剤+展着剤(除草剤の効き目を良くするもの)」「複数の除草剤の使用」など多岐にわたっていた。
除草剤には大きく分けて以下の2種類が存在する。
○土壌処理剤・・・土をコーティングし、新たな雑草の発生を防ぐ除草剤。
植え付け直後、雑草発生前に散布する必要あり。
○茎葉処理剤・・・既に発生している雑草を枯らす除草剤。
雑草が発生し、大きくなる前に散布する必要あり。
今回の実証ほ場では、既にある程度の雑草が発生している状態で、除草剤の散布を行ったため、「土壌処理剤のみ」散布した区では、新たな雑草の発生は防げるものの、既に発生していた雑草が成長するため、効果がよく表れなかった。
また、「茎葉処理剤のみ」散布した区では、既に発生していた雑草は枯らすことができたが、地中からの新たな雑草の発生により、効果が十分ではなかった。
一方、「土壌処理剤+茎葉処理剤」を散布した区では、散布から1カ月経った状態でも雑草の発生がほとんど見られなかった。多少雑草が見て取れたのは、茎葉処理剤によって、効果がある雑草とない雑草があるためと考えられる。
今回の実証ほ場での結果、除草剤を使う際は以下の点に注意する必要があるということが言える。
- 除草剤の種類によって、使用時期に注意をする。
- 土壌処理剤と茎葉処理剤を上手く併用することによって、既に発生している雑草、これから発生する雑草を処理することができる。
- 茎葉処理剤は、使用するほ場に発生している雑草の種類を見極めて、効果のあるものを選ぶ。
参加者からは、さまざまな除草剤の効果が目に見えて分かったため、非常に参考になったといった声が上がっていた。
2 講演会
講演会はJAおきなわの糸満支店で開催された。球陽製糖株式会社でアドバイザーを務める久場峯子氏を講師に迎え、「土壌を知り単収向上をめざす」という題目で講演が行われた。
久場氏は長年、さとうきびに対する肥料の主な成分(リン酸、カリウム、窒素)の効果について、土壌ごとに分析を行っており、今回の講演では、さとうきびへの理想的な施肥について話があった。講演会での要点は以下のとおり。
- リン酸、カリウムを過剰に投入しすぎてはいけない。
- 窒素を主体にリン酸、カリウムは減らしても良い。
- 堆肥を入れれば、土づくりと同時にリン酸、カリウムは十分補える。
- 窒素は複数回に分けて、与えるのが良い(夏植えの場合、基肥+追肥3回の計4回)。
- 基肥が大切。
参加者からは、自身のほ場での施肥の方法について質問があり、久場氏がそれに対し、アドバイスを行っており、リン酸、カリウムの過剰投入を抑え、その分を窒素や土づくりを兼ねる堆肥として投入する必要性について述べた。
3 南部地区競作会表彰式
講習会、講演会後に行われた表彰式では、南部地区において、収穫面積が50アール以上の生産者の中から、夏植え、春植え、株出しのそれぞれの作型において単収、甘蔗糖度に優れた生産者計9名が表彰された。また、収穫面積が20〜50アールの生産者の中から、単収、甘蔗糖度に優れた生産者1名が表彰された。
50アール以上の部門において、夏植えで1位となった波平一男氏と春植えで1位となった久手堅憲次氏は、県の競作会にも出品している。
受賞者を代表して波平氏は、「今回受賞できたことは、干ばつの中、地下ダムの水を利用して適時かん水をした成果と思っている。今後も水を大切に一生懸命頑張っていきたい」と力強く決意表明を行った。
沖縄県では、台風や干ばつなどの気象災害により不作が続いている。その中にあって、今回の講習会などに参加した生産者からは、単収向上を達成するために1つでも参考にできる情報を得ようといった真剣な姿勢をうかがうことができた。今回の講習会などの効果が来期の製糖期に表れることを期待したい。
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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